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  • 執筆者の写真白川

オルタナティブツアーを終えて/ルカニ村滞在記・2016年8月

小松 広恵さんより

学生時代からの憧れの国、タンザニア。行ってきました。

 今回このツアーに参加する目的として ・子どもと触れあって子どもたちの姿をみてタンザニアの未来をみたい ・タンザニアの社会、家族、コミュニティから学びたい ・絵本の読み聞かせで子どもと繋がりたい ・あと美味しいビール飲みたい この4つをあげていました。

 ちょうど親の介護が終わって仕事も一段落ついて、なんだかポッカリと心に穴があき これからの自分のジンセーとか今の日本の閉塞感や先細りな未来について乗り越えるなにか 手がかりが欲しいなという思いがありました。 そして美味しいビールが飲みたい気持ちがありました。  長く司書をしてきた体験からこどもたちになにかすることが一番自分が元気を貰える方法だ とわかっていたので、自分のためにこの4つを実行しようと決めたのです。 今までの自分へのご褒美、そしてこれからの自分への起爆剤としてのタンザニア旅行でした。 ビールも美味しいと有名ですし。

 今回はそういうわたしの要望をJATAツアーズさんが引き受けてくださって絵本のよみきかせが実現しました。三人のインターンの学生さんが困難な翻訳を頑張ってくださってスワヒリ語訳 をキレイに貼り付けてもらった絵本を用意できました。

<①用意した絵本>

 滞在させて頂いたルカニ村はキリマンジャロ山がよくみえる穏やかな小さな村でした。 役所とちいさなお店・コーヒー管理の事務所・コミュニティーセンターのある中心地のほかは バナナ畑とコーヒー、トウモロコシ畑、民家と牛小屋。おまわりさんもいません。  輝くような緑のなか赤い土の道を歩いていくと出会う人出会う人から挨拶と笑顔が向けられます。 「カリブ!遠くからお疲れさま!」こんな声もかかりました。

<②ルカニ村バナナ通り>

<③先生たちと>

   アレックスさんのお宅にお世話になりました。 アレックスさんはなんとも笑顔いっぱいの体も心も大きな明るい人で、こんなに優しくてタフな タンザニア人がいるのかと感動しました。 滞在中の三度の食事はアレックスさん本人とご親戚の方が作ってくれてこれがまた全部美味しい。 熱心なクリスチャンであるアレックスさんのお祈りのあといただきます。 (いつも誰かがこれを忘れて先に手を出してしまい、たしなめ合っていました)

<④アレックスさん(右)と息子のビクター>

 朝に飲む甘い紅茶(チャイ)の牛乳も目玉焼きの卵もはちみつもルカニ村で採れた新鮮なもの。 温水シャワーと水洗トイレがついた客室を用意してもらい、寒いだろうからとふかふかの毛布を たくさん用意してくれ、停電になるとオイルランプに火を点けてもってきてくれました。  朝はアレックスさんの牛の鳴き声を目覚ましにして起き、夜はこれが満天の星かと空を仰ぎ ました。よく歩いて疲れているらしくベッドに入ったらすぐに熟睡です。

<⑤アレックスさんの家と牛たち>

 絵本の読み聞かせは、幼稚園と小学校で一冊づつやらせてもらえました。 コミュニティーセンターの穏やかなキマロ先生と優秀で若いきれいなレベッカ先生から快諾を 頂きました、ありがとうございます。  初日に幼稚園の授業の様子を見学させてもらい子どもたちと一緒にお昼の甘酒のような飲み物を頂き(給食ですね)日本からもってきたシャボン玉で遊んだらものすごくウケがよかったな そして子どもたちのお行儀の良さは素晴らしかったです。 授業内容もレベルが高くてすべてレベッカ先生が担当しています、本当に優秀な先生です。

<⑥レベッカ先生と>

 幼稚園で読んだ絵本は「とりかえっこ」(さとうわきこ著) ひよこさんが散歩にでて出会う動物たちと鳴き声をとりかえっこするという簡単なくり返しが かわいらしい絵本です。

 同行してくれたインターンの橘さんが隣に座り、わたしが読んだあとスワヒリ語訳をよみあげてくれます。絵本のよみきかせの習慣がないタンザニアでどう受け止められるか楽しみでした。  鳴き声は世界でちがうもので、日本の豚の「ブーブー」がルカニでは「ンゴッンゴッ」とリアル! 橘さんが「ルカニではなんていうの?」と聞く度に子どもたちがいろんな動物の鳴き声を一斉 にしてきてかわいらしく、ページをめくる前に先読みしてみんな鳴き声をあげはじめて 笑いをこらえるのに必死でした。

<⑦幼稚園で読み聞かせ>

 よみきかせが終わると子どもたちがいきなり心を開いてくれてぱあっと笑顔になったのが 忘れられません。

<⑧絵本を見つめる子どもたち>

 用意してきた日本の絵本を何冊か図書館に寄贈させてもらいました。 図書館には今司書さんがいないため管理は難しいようですが今回の読み聞かせで「本は楽しい!」って思い出が残ってくれたらと思っています。  子どもたちからお礼の花束をプレゼントされ、レベッカ先生はご自宅の産みたて卵をくれましたゆで卵にして大事に全部頂きました。  帰り道は子どもたちがアレックスさんのお家まで見送ってくれました(授業はよかったのかな)

<⑨花束のプレゼント>

   小学校では「11匹のねことあほうどり」(馬場のぼる著) 低中学年向けの絵本で、絵柄もかわいらしく食べ物がでてくることと数字を数えることなどが 子どもには楽しめるのでないかと思い選書しました。

<⑩小学校での読みきかせ>

 迎えてくれたクラスは1年生でひとクラスが50人はいたでしょうか。 担任の先生は本当に熱心な方でとても強い愛情をもって働いてらっしゃいました。 (ホント大変!神の御心のままに!というようなことを言ってました)  学校の都合にあわせることになるのでこちらも覚悟はしていましたが、絵本の内容がながく もうすこし上の学年向けのものなので、どうなるかまったく予想がつきません。  しかもこの人数。絵本をみんなに見えるように頭のうえにあげてぐるりとみせていくように しました。途中で先生が言葉や内容を簡単に補足してくれ、読み聞かせ終えました。  ねこたちが鳥の丸焼きたべたい!とため息をついたり、えものを狙って舌なめずりするシーン では、皆一緒に舌なめずりしたり笑い声があがったり終始がぶり寄りで聞いていてくれました。 あの人数が集中して聞くというのは驚きです。

<⑪小学生たちも夢中>

 どこの国の文化や生活が違う子どもでも、子どもが楽しいと感じることは同じなんだと心が通った瞬間を体験できました。  絵本の力はすごかった。読み聞かせをやってきたよかった、子どもたちと簡単に一緒の世界を 共有できる手段でした。 タンザニアのこどもたちの夢中になってる瞳や笑顔の前でページをめくるのは本当に夢のような時間でした。このツアーで本当に夢が叶いました。

 礼儀正しく、大人を敬い、熱心に勉強する子どもたちの姿には心を打たれました。 朝6時には学校へ向かう道を歩く制服の子どもたちをみかけました、ルカニ村は教育熱心な 村でお話できた先生たちも皆さん情熱のある先生たちでした。

<⑫小学生たち>

 中学校は特に日本からの支援などで実験室なども建てられており、先生からも日本への感謝の言葉を頂きました。中学校では授業や試験を見学させてもらい、英語訳のマンガや本を贈呈しました。JATAツアーズさんが毎年贈っている本も合わせて校長先生へお渡しできました。

目的は達成できましたので、アレックスさんの農場でバナナの葉の影で守られて育つコーヒーを収穫したり、牛に餌あげたり、村のひとに話しかけたりとのんびり過ごすことができました。 コーヒーの苗を植えたのはとても感動的でした。 キリマンジャロの見える村での体験は4泊では足りませんでした!

<⑬コーヒーの苗木を植える>

 今回、絵本や本のほかにいろんなおみやげをもっていったのですがポラロイドカメラはなかなか楽しかったです。 村の人は台所で薪を使っててもみんなスマホ持ってて自撮りもウマイです ただポラロイドは珍しかったらしくてかなりウケました。80枚ほどプレゼントできました 中学校で一枚撮ったら校長先生たちもやってきて全員撮って撮って!と先生たちが集まった のには笑ってしまいました。 さっきまで日本とタンザニアの教育制度の違いを熱く語っていたのに。

<⑭よく撮れてるかな?>

 折り紙は子どもと遊ぶ用に用意したのですが、若いあんちゃんたちが紙飛行機でキャッキャと遊びツルを折ってもらおうとじっと待ってたりしました。 キラキラ光る特別な紙でおったバラの折り紙は女性にとても喜ばれました。 時間があれば簡単なものなら一緒に折ってみたかったです

 ルカニ村でポラロイドと折り紙配りおばさんとして記憶に残る…ことはないか…。

 ただ聞いてはいましたが、タンザニアのどこでも「なんかチョーダイ」とたかられることが本当に多かったです。 ここまでこれる日本人がお金持ちに見えるのはしょうがないです。 日本に帰ったらスーパーの安売りで一喜一憂するなんて説明してもしょうがない。 そして明るく言ってくる、明るくたかってくる、言ってみてもらえたらラッキー感が伝わってくる挨拶なんだなって解釈してました。

 ただあんまり多いので、普通にたかられるのはつまらんなと思い村で若いあんちゃんに「オッケー!代わりになんか歌って」って言ってみました。 あんちゃんは照れるし仲間から冷やかされ観ていたママがやってきて一緒に歌おうって歌いはじめるしまつ。こういうのどこの若い子も一緒なんだと笑ってしまいました。 次は踊ってもらおうと思ったら、あまりたかられなくなってしまって残念。

 学生時代の私はバイト先でよくして下さったタンザニア人のひとたちと仲良くなってなんて生命力にあふれてたくましい根性で楽しもうとするひとたちなんだろうそしていつも笑顔な秘密が知りたいと、タンザニアへ憧れを懐き続けてきました。

<⑮村のあんちゃんたち>

 今回はただの観光地巡りでは得られない、人との触れ合い、心の通う体験をさせて貰えました。このATツアーのおかげで「あの笑顔のあの人のいるあの村のあるあのタンザニア」という地図が心にできました。 またタンザニア行きたい!そういう未来の夢ができました。ルカニ村の皆さんの笑顔に生きる力を貰いましたこんなに良い旅はめったにないものだと思います。 生きていると良いことがありますね。

<⑯幼稚園の子どもたちと>

 タンザニアの抱える問題は深く重いものが多くそればかりに報道や目がゆくなかで日々を生きる人たちと挨拶を交わし食事を共にできた今回の体験は力強く私のこれからのタンザニアへの意識を支え続けてくれると思います。

 写真提供:④⑦⑧⑩⑪⑬⑮は小松さん、①②③⑤⑥⑨⑫⑭⑯+キリマンジャロ山写真は橘加奈子さん

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