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  • 執筆者の写真白川

キンゴルウィラ村 太陽と星空と赤い土・2011年8月

宗川浩子さんより

定刻を過ぎても中々出発しないバスは、結局満席になるまで出発ターミナルに停車していた。だからと言ってちっちゃいことで文句を言っても仕方ない。ここはポレポレの大陸アフリカ!一番乗りで広めの席を陣取った私達は大人しく出発を待った。

ただ過ぎていく待ち時間も、乗ってくる現地の方々を見ているだけでかなり楽しめる。日本では考えられない程きらびやかな洋服のおばさんや、どうやって編んでいるかわからないオシャレな髪の毛、暑いのにスカジャンみたいなジャンパーを着込んだ厚着のお兄さん。中には生きた鶏をビニール袋に入れて持ち込むおじさんも!

真っ直ぐに伸びる道路を飛ばすバスの中、突然目覚めた鶏が荷台の袋から飛び出す事件以外は快適なバスの旅だった。

ダルエスサラームからバスで三時間ちょっと。赤茶色の土と豊かな緑に囲まれた村は道路沿いに横長の風景を作っていた。 ここが数日間滞在させていただく、キンゴルウィラ村。

到着してすぐ、お世話になるグビさんのご家族にご挨拶。たどたどしいスワヒリ語にも笑顔で応えてくれる優しいご家族。6人の日本人のために3部屋すべてを空けてくれ、自分たちはこの村の別のお宅にバラバラにお邪魔するのだとか。私たち日本人は2人ずつ3組に分かれてお部屋を使わせていただいた。まるで寝るためだけに用意されたかの様な、ベッドしかないお部屋。余計なものはなにひとつない。これがいつもの姿なのかはわからないけど、その空間には十分だった。

そんな風にしてお借りしたお部屋だけど、結局眠る時にしか使わず家にいる時のほとんどの時間はみんなリビングで過ごしていた。近所の子どもと遊び疲れてソファーで寝たり、ごはんの時間までみんなでお喋りしたり。 数日前に出会ったばかりのツアーメンバーが、昔からの親戚の様に過ごしていた。まるで我が家の様に寛いで"団欒の時間"を過ごした。これが、ここでは当たり前の風景。情報が氾濫し、たくさんの物質に囲まれた日本とはかけ離れた生活。

そんな中で感じたのは人との接点の多さ。誰かと一緒にいる時間が多いから必然的に会話も生まれる。便利なモノがない代わりに当然の様に家事を手伝う子ども。 こういう豊かさを、私はとても羨ましく思った。家事も農作業も移動も、ゆっくり手間をかけてこなすひとつひとつの作業、それにかかる時間をとても愛おしく思った。モノに恵まれた日本と、時間に満ちたタンザニア、どちらが幸せかなんて難題には到底回答できないけれど。

村の中。 初めは遠巻きに日本人客を覗いていた村の子どもたちも、20分もすれば誰が日本人と手を繋ぐかが取り合いになる程になった。普段なかなか見かけないカメラや機械にはやっぱり興味があるらしく、撮られる事も大好きな様子。ポーズを決めて、シャッター音が聞こえたあとは必ずモニターチェック!そこらへんの日本人ギャルなんかより入念に見入っていた。

日本とはまったく違う土地・文化。 書きたいことは山ほどあるけど、ここは的を絞って学校訪問についてだけ。

着いた翌日はグビさんの家の近くにある小学校を訪問した。 ふたつの校舎からなるその学校は、コンクリートの床に格子の窓。とても殺風景な教室の中には年季の入った木製の机と椅子がある。見学させていただいた7年生の教室にはぎっしり約80人程の生徒!3人で一つの机を共有し、仲良く教科書をシェアしながら勉強をしていた。

この日は私たち日本人が来るから、と先生の計らいで授業はスキップ。日本とタンザニアの交流会となった。 自己紹介のあと、まずは緊張を解きほぐすためにタンザニアのGAMEを教えてもらった。 彼らが見せてくれたのは NCHI KAVU(=大陸)と BAHARI(=海)のGAME。道具は要らず身ひとつで出来る、日本にもありそうな簡単な遊びで場の空気は一気に温まった。

その後、日本についての質問タイム。しょせん日本なんか、彼らにとっては地球の反対側にあるちっちゃい国だもの、質問と言っても「何食べてる?」とか「どんな遊びがある?」くらいなものかと高をくくっていたら大間違い。「日本が中国を侵略していた歴史について」だったり、「仏教とは?神の存在とは?」だったり。

このツアーに参加していた英語教師のAさんや医大生のKがいてくれたから本当に助かった。自分の国の歴史や宗教、文化を知らないっていうのは恥ずかしい事だ。彼らの秀逸な質問には、日本人7人で知恵を持ち寄りやっとのことで回答した程だった。 そのくらいタンザニアの小学生(中学生?)は日本や世界について、宗教について勉強していた。「学ぶ」ということに対して前向きだった。

もうひとつ心に残ったこと。14歳の子どもが80人いても、誰一人そっぽを向いたりカッコつけてる子はいない。ちゃんと前を向いて、人の目を見て話を聞き、疑問に思ったら声に出す。当たり前の事が、そこでは当たり前に行われていた。 日本とはなぜこんなに違うのか。そもそも日本と比較するのが間違っているのか。 自分が子どもだった頃を思い出し、反省の念と羨ましさで胸がいっぱいになった。

私がこの国に来て心に残った事。 ひとつは子どもの態度。大人を敬うのは当たり前だし、学校は勉強する場所だときちんと理解している。家に帰ると水汲みや兄妹の面倒など必ずお手伝いをするし、両親に対しても甘えた行動はとらない。きちんと年齢に応じて自分の役割を理解し、大家族=村というコミュニティの中で生きている。当たり前の様だけど、自分の事にばかり目が向いていた私には子どもたちの姿がとても心に響いた。

そして大きな疑問。この村には引きこもりの子どもはいるのだろうか?

もうひとつ、挨拶について。 タンザニアの方々は、出会う人に必ず挨拶をする。「お仕事の調子どう?」「朝のゴキゲンいかが?」「チャイは飲んだ?」などなど。毎日毎日、それが繰り返される。

近所にどんな人が住んでいるかもわからない日本とは全く違うこの文化(昔の日本は違ったのかも知れないけど)に心をくすぐられた私。小さいことでも、できることから始めていきたい。まずは身ひとつで出来る挨拶から!ということで成田空港に着いてから、入国審査、税関、バス…至るところで元気に挨拶をしてみました。帰国して数週間が経った今も、キンゴルウィラ村の子ども達の写真を眺めては挨拶を心がけることにしています。

夢の様でリアルな日々、刺激的な10日間。 その後ツアーから離れてひとり過ごした20日間。 数々の出会いに感謝です! TUTAONANA TENA!

写真も全て宗川浩子さん撮影

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