白川
タンザニアからの手紙 No.18 エジプト旅日記ー2
金山 麻美(かなやまあさみ)
午前9時ころ歩いて考古学博物館へ向かった。昨日と打って変わって博物館周辺は大渋滞。道路を横断するのがとても大変だった。 博物館に着くと門の前から中庭にかけて観光客でいっぱいだった。出遅れたかと心配したが、チケット売り場は空いていて、チケット(50ポンド)はすぐに買えた。団体客が多く、個人の客は少ないからだろう。入り口付近は荷物チェックなどもあるので、大混雑だったが、それを抜けると、それほどでもなかった。まずは2階のツタンカーメン王に会いに行こうということで階段を上がった。
ツタンカーメンの黄金のマスクのある部屋には、まだそれほど人がいず、それぞれの陳列ケースにかぶりつきで見ることができた。黄金のマスクや棺が光輝いていたが、それよりも細かい装飾が施された身に着けるネックレスなどの宝飾品の数々に目を奪われた。とても3,500年以上も前の物とは思えない。シックでいてとても豪華だし、細工がすごいし、欠けているところやくすんでいるところがほとんどないのだ。どうやって誰がつくったんだろう。プロの誇り高き職人が数多くいたのだろうか。手にとってじっくり眺めたいと思った。一日眺めても飽きないだろうとも。
フンコロガシを崇めていた古代エジプトの人たちを、とても好きになってしまいそうだ。 フンは命の源でもあるのだもんね。フンコロガシ=スカラベの姿がとても愛らしく格好良く思えてきた。
その他にもミイラになったラムセスⅡ世の白髪を見たり、黒い肌のヌビア人弓隊の40人くらいいる人形の背の高さや髪型や表情が微妙に違うのを見つけて喜んだり、ライオンのキュートな墓守像にときめいたり、読めもしないヒエログリフを見つめてたりしていた。 何せ広い博物館で、展示物も足元から天井に届くまでたくさんのものが置かれていたりする。切りがない。一日かけてもいいと思っていたけれど、2時間もするとかなり疲れてしまった。夫と子供たちは昨日の筋肉痛が出て歩き方がギクシャクしてきたし、息子はすわってばかり…若いのにねえ。元気なのはわたしのみである。
お昼はカイロの中心街の食堂でコフタ(肉団子)サンドやスパゲティなどを食べる。2階席もあるけど、10人も入ればいっぱいになってしまうようなところ。スパゲティボロネーズの湯で加減はちょうどよかった。ミートマカロニは、くっつきあってサイコロ型になったマカロニの上にミートソースが乗っていてびっくり。英語のメニューもあったが、他の二組のお客は、エジプト人だった。
エジプト最古のイスラム寺院といわれるガーマアムルを外から見て、最後にコプト博物館へ(40ポンド)。古い聖書やフレスコ画、コプト織などが見ものらしいが、キリスト教美術にほとんど関心のないわたしにはあまり惹かれるものはなかった。
歩きつかれてホテルに戻り、シャワーを浴びようとすると石鹸がない。枕銭というものを置いていなかったので、ルームサービスが意思表示をしたのだろうか?とちらっと考えた。たんに忘れただけかもしれない。フロントに電話するとすぐにもって来てくれた。 朝食のブッフェのメニューには果物や卵がなく質素だが、ホテル自体に不満はなかった。フロントの人も感じがいいし、立地条件はとてもいい。両替屋もオープンカフェもすぐそばにあるし。夜中は静かだが、繁華街は近いし。ただひとつ問題があるとすれば、シャワーにぬるま湯しか出ないこと。 入ったときにホテルの人に聞いたときには「お湯は出る」とのことだったが。たしかに多少は温かい…。暑い時期ならいいだろうけど、夜が冷えるこの時期にぬるいシャワーはちょっときつかった。だんだん慣れたけど。
(2007年2月8日)