
白川
タンザニアからの手紙 No.23 仁義なき戦いー断水編ー
金山 麻美(かなやまあさみ)
調べてみると我が家の近所8軒だけが断水しているようだ。ここのご近所8軒で協力して水道管を引いたので、たまにこういうことがある。 昨年の水不足の時には道路際の水道管が掘り返されて、切断され、水が盗まれて、断水となるということがしょっちゅうあり、そのたびに、我が家と近所のタンザニア人夫人ママSとともにどこで切られているか探索し、つなぎ直すという作業をしなければならなかった。水不足は深刻な問題とはいえ、盗み水はやはり犯罪なのだ。
翌朝、ママSにもう一度相談に行くと、「断水のとき、いつも動くのはうちとあんたのところだけで、あとは人も金も出さないので、今回は動きたくない」と言う。たしかに今までの断水修復作業はママSと彼女の家の若い衆と我が家の庭師Hが中心になってやってくれ、水道局へ文句をいいに行くときはわたしとママSの二人で行ったし、コネクターなどの部品の代金も2軒で折半してやってきた。他の家に声をかけても、困っているはずなのに、なかなか動かないのだ。 でも、このままほおっておいてもきっと水は出ないので、他の家にも声をかけながら、水道管を調べてみることに。ちょうど祝日で夫も休みだったので、動員して、近所の家の声かけをしてもらった。ママSと3人で手分けして呼びかけると、他の3軒も若い衆を出してきた。まずまずの成果。
ほんとうにここの水道局は、毎月のように数字の合わない(ほとんどの場合過請求の)請求書を送りつけて来るくせに、こちらの支払いがちょっとでも遅れると、水を切るとおどかし、実際に切ることもある。水道管が通っていても、ほとんど水の出ていない地域だってあるのだ。自分たちのことは自分たちで守らねば…という気分になってくる。
水道局の職員はいつのまにかいなくなった。盗まれていた場所を修復し、断水していたときに水道管に入り込んだ空気を抜くと、うれしや、我が家の庭にも水が出はじめた!これでトイレも流せる!洗濯もできる!我が家より奥にあるママSの家にも水が出はじめ、 庭師Hたちとともにお互いを「Good Job!」と褒め称えあった。長い一日が終わろうとしていた。
(2007年5月15日)