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  • 執筆者の写真白川

タンザニアからの手紙 No.26  肌色

金山 麻美(かなやまあさみ)

  肌色というとどんな色を思い浮かべるだろうか?  わたしが小学生だったかれこれ30年以上前、12色入りクレヨンの中には必ず「肌色」クレヨンが入っていた。それさえあれば、みんなおんなじ色になってしまうという欠点はあったけれど、あまり何も考えずに友だちや先生などの肌の色を塗ることができた。

 いまはもうクレヨンを使う年頃ではなくなっているので「肌色」の存在はどうなっているかわからないけど、多分違う色の名前になっているのだろうな。 にんげんの肌の色はほんとうにまちまちだもの。

 タンザニア人の多くは黒人だが、褐色に近い肌の人もいれば、黒檀のように黒い肌の人もいる。

 この間読んだDaily Newsの日曜増刊であるLeisure Magazineの10月28日号に「Beauty is not Skin-deep-美しさは肌の色でなない」という記事があった。これによるとその記事のタイトルとは裏腹にタンザニア人の多くが、老若男女を問わず、より白い肌に憧れている、白いほうが美しい、異性を惹きつけると思っているというのだ。  以前は圧倒的に女性にそういう志向が強かったのだが、このごろでは男性でも増えているとか。そういった人たちは、肌を白くするための化粧品や薬をその副作用や有害性にも関わらず使っていると書いてあった。肌が荒れたりしても、白くなるほうが大切だということか。

 そういえばだいぶ以前のことだが、タンザニア製の石鹸には、肌色を白くするために水銀が含まれているものがあると耳にしたことがある。ほんとうかどうかは分からないけど、それからしばらくの間は、タンザニア製の石鹸を使うのが怖かった。

 また、今でも町中で左下の写真のような広告看板をよく見かける。「Weupe kwa njia salama」とは、「安全な方法で白くなる」という意味だ。この写真のように明白な結果が出るとは思えないけど。  私の知っているだけでもダルエスサラームでは3箇所でこの広告を見た。こういう需要はあるということなのだろう。

 タンザニア人の知人(男30代)に訊いたら 「確かに、白いほうがモテると思っている若者は多いかも。テレビに出ている若者の歌手でも白くするための努力をしているやつがけっこういるんだってさ」 と言っていた。

 マイケルジャクソンなどの例を見ると肌の色を変えるということは、全く無理なことではなさそうだけど、わたしのまわりでは、今のところ、見違えるほど肌の色が変わっていった人はいない。

 生まれたままの肌の色できれいになれるはずなのに。漆黒の肌もとても美しいと思うのになあ。

 人間は自分にないものを求めるのか、それとも、根底には根深いなにかがあるのだろうか。最近はどうだか知らないけど、日本の女性雑誌、特にファッション雑誌には白人モデルを使った広告がやたら多くてうんざりしたことがあった。白い肌志向はそういうところともつながっているのだろうか‥。ブラックイズビューティフルではなかったのか。「みんなちがって、みんないい」(By金子みすず)というふうになったらいいのにね。

                                          (2007年12月1日)

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