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タンザニアからの手紙 No.30 アクアマリンふくしま

金山 麻美(かなやまあさみ)

アクアマリンふくしま  昨年、福島県はいわき市にある水族館、アクアマリンふくしまから、シーラカンスの調査隊3名がタンザニアにやってきた。彼らは日本から特別な水中カメラを持ってきて、タンガの海の底に生息するシーラカンスの映像を撮ることに成功した。タンザニアの生きたシーラカンスが映像になるのは初めてのことである。

 いろいろ縁があって、わたしはダルエスサラームで彼らにお会いしたのだが、今回、自分たちが撮ったシーラカンスの映像を写真にしたものを見せられ、「かわいいでしょう?」と調査隊の一人のYMさんに問いかけられたときには、なんとリアクションしたものか悩んで?しまった。わたしから見れば、ぬーぼーっとした感じのシーラカンスだが、普段からお魚に接している人たちの目にはかわいく映るのだろうか?というなぞを解決すべく、今回の一時帰国でアクアマリンふくしまに潜入してみることに。

 調査隊のチーフ、Iさんは海外出張でいらっしゃらなかったが、YM さんとYOさんにアクアマリンで再会!「なんで水族館に行くのに東京から福島まで出かけなけりゃならないの?」とのたまう母や父や義父や子供たちも一緒である。

 海のすぐそばにあるガラス張りの潜水艦のような形をしたアクアマリンの建物には太陽の光がいっぱい入る。一歩入った館内はとても明るい。そこから一転、深海にもぐっていくような神秘的な「海・生命の進化」のコーナーとなる。さすがにシーラカンスはいないが、(生きたシーラカンスがいる水族館は世界中どこにもありません)「生きた化石」と言われるオオムガイ、オオサンショウウオなどとご対面できる。

アジアアロワナ そして圧巻なのが、まず、この水族館、水の中だけでなく、周りの植物たちまでも「それぞれがすむ環境をできるだけ自然に近い状態」で展示してあることだ。YOさんは植物の世話をする係だそうだ。そして次のコーナーが「ふくしまの川と沿岸」というテーマで展示されていることからもわかるように、地域に密着していること。川といっても上流、中流、下流と海につながるようすがたどれるようになっていて、湧き水がでているところや池もある。それぞれ魚だけでなくアメンボなどの虫や水草も共生しているようすが見て取れるようになっている。よく見ていると小石の影から小さなドジョウなどが現れたりするからなかなか次に進めなくなる。

 次の「北の海の怪獣・水鳥」のコーナーでは、エビトリカ、ウミガラスなどの水鳥たちが水の中に入ってまるで水の中を飛び回る小型飛行機のように自在にえさを求めて泳ぎ回る様子がとてもおもしろかった。翼が銀色に光ってまるで別の生物のように見えるから目が離せなくなる。

 「熱帯アジアの海辺」のコーナーでは本当に湿度が高いアジアの気候の中にいるような気分になってくるから不思議。アジアアロワナはオレンジ色の印象的な魚だ。

   「さんご礁の海」の大きな水槽の中は、様々な色が交錯していて見惚れてしまう。どんどん変化する絵をみているようだ。まるで絵本の「スイミー」のように巨大な生き物のような形に大きな群れが動いていくキンメモドキ、底のほうには砂の間から細いひもが何本も出ているようなチンアナゴがゆらゆらしている。こっちはムーミンに出てくるニョロニョロを思わせる。水槽の前に座り込んで見ていても大丈夫な雰囲気もうれしかった。(平日でお客さんが少なめだったからできたのかもしれない)ところどころに水族館のスタッフがいて質問に答えたり、説明をしたりしている。YMさんたちによると地域のボランティアスタッフもいるとのことだった。なかなかやるじゃないか。ここは「環境水族館」と銘打っている。環境保護っていうのは地域密着型でないと成り立たないと思うから。

 「オホーツク海のコーナー」は今までに比べてぐっと暗い感じになる。水の中は冷たいのだろうなと想像したりした。ここではナメダンゴの大ファンとなった。かみなりおこしを思わせる小さなからだ。ちょっとブルドックに似ているような愛嬌のある顔立ち。ひれを忙しく動かしながら泳ぐ姿には微笑まずにいられない。ほんとはげらげら笑っていたんだけど。

さんご礁の海のキンメモドキ 福島県沖で出会うという黒潮と親潮とそこにすむ海の生き物たちの間をトンネルのように潜り抜けられる「潮目の海」のコーナーでは水の中にいるような気分になる。黒潮の中を泳ぐイワシの群れやマグロたち。親潮の中は暖かいのでもっとカラフルだ。

 そして「ふくしまの海」。「水族館での飼育や展示が難しいとされてきた海洋生物の調査研究に積極的に取り組んでいる」アクアマリンふくしまでは、福島の海の生き物、メヒカリなどは地域の漁師さんの協力も得て、飼育可能な状態に持って行ったそうだし、水族館で飼育困難だといわれていたサンマも卵を水槽内で産んで孵化し、育てるまでになったそうだ。水槽の中でぐるぐる泳ぐサンマやイカは、おいしそうというより、美しかった。

 マリンシアターでは、いまより若きIさんやYMさんYOさんが活躍するインドネシアでのシーラカンス調査のフィルムを観た。2006年に初めてインドネシアで海底にすむ生きたシーラカンスの撮影に成功したのだ。ここで見た前向きのシーラカンスはの顔はかわいかった‥ような気がする。わたしもアクアマリンふくしま色にに染まってきたのだろうか。  次に来るときにはタンザニアのシーラカンス調査編が見られることだろう。乞うご期待。

 午前9時ころからお昼ころまでいたのだが、館の外にある「かっぱの里」と「蛇の目ビーチ」には時間切れで行くことができなかった。残念。次の機会には是非。

   冒頭でぶーたれていた母も帰るころには「すばらしい水族館だわ」と大絶賛していた。あまり海洋生物などに興味がなかった息子も「おもしろかった」と楽しんでいようすだ。  「海を通して『人と地球の未来』を考える」がここの理念だそうだ。海の生き物たちがもっと好きになる、もっと知りたくなる水族館、そして生きものはみな、つながりあって生きているのだということをあらためて気づかせてくれる水族館、それがアクアマリン福島なのだろう。

 ぜひ訪れてみてほしい。

   アクアマリンふくしま:福島県いわき市小名浜港:電話:0246-73-2525  アクアマリンふくしまのホームページ→http://www.marine.fks.ed.jp

                (2008年8月3日)

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