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タンザニアからの手紙 No.43 いくぞ!Tunaweza Band

金山 麻美(かなやまあさみ)


Tunaweza(トゥナウェザ)とはスワヒリ語で「わたしたちはできる」との意味。

 トゥナウェザバンドは、2008年から活動を始めたそうだ。核になっているのは、イシャラ(Ishara)というミュージッシャン。おしゃれでガタイも愛想もいいお兄ちゃんって感じの彼はアルビノだ。年齢を聞き忘れたけど30歳前後かな。彼の元に集まってきた音楽したいwalemavu(障害者)が中心になって結成されたという。  

テンボ(Tembo:象の意味のスワヒリ語)という名前の手にカンダンビリ(ビーチサンダル)はいて、両膝もつかって歩く男性メンバーもいる。彼は昼間は家具屋で家具を売っているという。

 イシャラとかCHIBITEのメンバーでもあるジュリアスは、ほぼ音楽だけで生計を立てているけど、ほかのメンバーはバジャジ(三輪オート)の運転手とか、ホテル勤めとか、ほかの仕事を持っている人も多いらしい。  バンドメンバーは全部で12人。全員が障害者ではないという。女性が2人。そして、3人のバンド見習い?がいるという。

 だけど、毎週恒例の野外ライブの行われる土曜日のリーダースクラブでは、なかなかトゥナウェザバンドのライブが始まらず、舞台ではリハーサルをステージに持ち込むなよって感じのおばさまたちのタアラブ風のグループが歌っていたりしていまいち盛り上がらない。  ステージ付近に視線が集中したのは、サラカシ(sarakasi=サーカス)と呼ばれている一輪車による曲芸や中国雑技団なみの柔らかボーイが現れたときと、アクロバットと呼ばれていた腹筋割れてる兄ちゃんたちによる高い棒を登ったりするパフォーマンスのときであった。

 わたしはリーダースクラブに来るのに自分で運転してきたので、のどが渇いてもビールを飲むわけにもいかない…。トゥナウェザバンド、そろそろ始まってくれよおと思った夕暮れどきにやっと彼らがステージに上がった。  最初はジュリアスがイゼゼを弾きながらボーカルを取ったゴゴ語の曲であった。ジュリアス作曲という。電子ギターの音とも妙に相まってなかなか聴かせる曲であった。(曲名聞いたけど忘れた…)

   でも、テンボともうひとりの男性メンバー(サレーン)は、ステージ脇にすわったままだ。 「出ないの?」ってきくと、「次の曲には参加するから」って言う。

 イシャラが作ったというノリのいい2曲目が始まった。テンボたちは何するのかな?と見ているとステージ下にいつものように歩いていく。  そしてステージ前に陣取ると、踊り始めたのであった!くねる、ゆれる、まわる、ノリノリなのである。実は、この展開は予期していなかったから、最初ちょっとびっくりした。だけど、見ていてわたしも踊りたいぞおってムズムズしてきたよ。周りの人たちも楽しそうに観てる。まだ時間が早かったのか、一緒に踊るところまで行かなかったのはちと残念。

 昔のダルエスサラームの星空ディスコを思い出した。そこではいろーんなひとたち、老いも若きも、腹の出たおっさんも、赤ちゃん負ぶったママも、テンボのような手も使って歩くひとも、やってきた。一緒に揺れてた。心地よいディスコだったなあ。そのディスコは今はもうない。

 前触れでは30分くらいはライブ時間があるとのことだったけど、なんと2曲、15分で終わってしまった。「何で?もっと聴きたかったのに」ってジュリアスに言うと「電圧が下がってきてどうもだめだったんだよ」という答えだった。そういえば、ジェネレーターの音がする。残念…。

 テンボの姿が見えたので「ダンス、すごくすごくよかったよ」って伝えにいくと、にこっと笑って「コーヒー飲むか?」と言う。近くにアラビックコーヒー屋の兄ちゃんがいて、テンボの手には杯のような小さなコーヒーカップがあった。わたしも一杯、深みのある苦いコーヒーをピーナツの甘いお菓子と共にいただく。コーヒーの香りが体に染み渡る。コーヒー代(50シリング)を払おうとすると、テンボが「いいから、俺が払うよ」と格好よくせりふを決めてくれた。  夜空を見上げると星が瞬きはじめていた。

  ☆このお話はわたしのブログ「タンザニア徒然草」にアップしたものを再構成したものです☆

                (2011年5月15日)

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