白川
タンザニアからの手紙 No.5 サルが来た!
金山 麻美(かなやまあさみ)
数日前にも親子連れらしい3匹のサルたちが裏庭の塀の上をつたい歩きしているのを小6の娘の知世が見つけた。2匹の大人サルの体長は、50cmくらい(尻尾を除く)。顔のまん中とと尻尾と足の先が黒く、顔の周りの毛は白、体の毛の色はグレー。子供の体長は40cm弱くらいだろうか。たぶん彼らは、ベルベットモンキーだ。東アフリカには結構いる野生のサルである。森に住み、タネや果物や葉などを食べるのだ。
こういったサルを大都会ダルエスサラームで見かけることは時々ある。童話のサルのように交通渋滞のある町のど真中に出没することは、さすがにないが、幹線道路を少し逸れるとまだ鬱蒼とした木々の残っている地帯があるので、こういったサルたちが住んでいるらしい。町中にある娘の学校近辺にも、大きな木々がいくつか残り、子供たちがサルたちに見下ろされていることもあるそうだ。
今回は、やつらは塀を乗り越えて庭まで入ってきたので、我が家の飼い犬たちが大騒ぎ。もうすでにだいぶ血は混じって雑種化しているが、もともとはローデシアンリッジバッグという猟犬の系統の大型犬が6匹いる。番犬として飼っているので、夜は庭に放しているが、昼間は犬小屋の中でぐうたらすごしている…はずだが、サルたちがやってきたので、小屋をかこっている金網によじ登らんばかりの騒ぎようである。元々猟犬なので、近所の猫などが迷い込んできた時もすごくうるさい。それが夜だったりすると、猫は必死で逃げ回らなければならなくなる。
敵もサルもので、わざわざ犬小屋の真上の木まで出向いていって、犬たちをからかうので騒ぎは広がる。犬たちはヒステリー状態のように、ヒーヒー言っている。サルが木から犬小屋の中へ落ちたら大変と心配していたけど、そこはサルもの、杞憂であった。細長い手足と尻尾を上手に使い、文字通り、木から木へとひょいひょいと飛び移る。カメラを向けると怖がってより遠くへ逃げるので、うまい写真が撮れなかった。犬たちを無駄に興奮させて満足したのか、いつの間にか彼ら は去っていき、その後、姿を見せていない。 今ごろは何処で何をしているのやら。
(2005年4月15日)