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タンザニアからの手紙 No.54 さようなら、ムウェンゲのバスターミナル

金山 麻美(かなやま あさみ)

6月2日(月)

 ムウェンゲ(Mwenge)のいつも込み合うバスターミナル。頻発するバガモヨ行きのバスもここから出ていたし、朝食用のスープから古着のシャツや靴、ネイルアートの露天やヘアサロンから電化製品などあらゆるものを売っているマチンガ(露天商人)たちの店もあった。(商売をしてはいけないエリアだったそうだけど)※1

 そのムウェンゲのバスターミナルが、サム・ンジョマ道路の拡張工事のため、昨日の日曜日をもって使われなくなることになった。

<閑散としたムウェンゲのバスターミナル>

 以前から移転の話はきいていて、あまたいるムウェンゲのマチンガたちを移動させるには費用がかかりすぎるなどという新聞記事もあったけれども、マチンガたちの店の取り壊しもやっていたようだ。※2

 今朝、やっとできた「カリブタンザニア」の原稿を印刷屋さんに届けた帰りにムウェンゲのバス停に寄ってみたら、ダラダラと呼ばれる乗合バスは全くなく、がらーんとしていた。ムウェンゲを軸に動いていた人々には、この変更はとても痛いことだろう。

 早朝はバスの代わりに、バジャジ(オート3輪)がたくさん停まっていたそうだけど、バスだったら400 シリングで行けたところ、バジャジは初乗りでも1,000シリングはかかる。(1円=約17シリング)  マチンガたちが抗議のデモをしようとしていたというブログ情報※3があったけれど、わたしが行った午前9時半ころは静かだった。

 ムウェンゲに来ていたダラダラたちは、そこから約3kmほど離れたマクンブショ(Makumbusho)のバスターミナル※4を使うのだという。4月にそのバスターミナルに行ったときには、閑散としていた。

<4月のマクンブショのバスターミナル>

 バスターミナルの片側を取り囲むように4階建ての建物があったけれど、2階から上は何にも使われてなくてガラガラのようす。

 「この建物は、マチンガ・コンプレックス(マチンガたちが場所代を払って商売する場所)になるのだよ」と言っている人もいた。ムエンゲのマチンガがこちらに来るのか、とも思ったけど、その話の裏どりはできず。街中のイララのマチンガ・コンプレックスは(マチンガたちが入らず)成功してないのだから、その線はなさそうと思うのだけど。  その建物の1階をでーんと占めてるケニア系のスーパーマーケットUchumiは4月半ばにオープンした。バスターミナル移転を見込んでのことだろう。

 でも、ムウェンゲのバスターミナルに比べて、マクンブショのはせまいと言うことだし、本日は、どこに何行きのバスが停まっているのかが、はっきりしなくて、大混乱していたという話もきいた。

 マクンブショのバスターミナルのそばにある市場も、売っている物や売り手が少なくてやる気がなさそうだったけれど、これからは変わっていくのかな。

 マチンガたちもやってくるのだろうか。今回はバス停移転のためだったのだろうけど、無許可の商売とはいえ、長い間、本格的な取り締まりもせず、ほっておき、商売が軌道にのったころに突然、店の小屋の取り壊しなどをして、排除しようとするのは、傍目にもやりきれない感じがする。マチンガたちはどこへ行く。そして、マクンブショはにぎやかなバスターミナルになれるのだろうか。(ウブンゴのバスターミナルもやはり道路拡張工事のために移転予定。かわりゆくDSM…)

6月5日(木)

 マクンブショのバスターミナル。幹線道路(アリハッサンムウィニ道路)を折れてバスは未舗装道路を走る。2台のバスがやっとすれ違えるような幅の道なので、バスが颯爽と走る!というわけにはいかなさそうだ。朝の9時台、乗合バスのダラダラや大型バスのUDAなどがその狭めの道を行き来していた。

<マクンブショのバスターミナルへの道>

 バス停の大半を埋め尽くすようにバスが停まっていて、 初日には、無くて乗客が混乱していたというバスの行き先表示のボードもできていた。

<マクンブショのバスターミナル>

 だんだんこの環境に慣れていくのだろうか。。。。、マチンガたちはまだいないみたいだった。

 マクンブショにバス停が移されたということは、「池袋にあったものが大塚に移されたようなものだ」とダルエスサラーム大学の元留学生は言う。元バスターミナル「池袋」ムウェンゲは、少なくとも40年以上前からバスターミナルであり、郊外から街中心部、またその逆を結ぶ拠点となっていたのだと。

 大学からも歩ける距離にあり、星空が見える(つまり屋根のない)ディスコや安い食堂も市場もあったし、マコンデ彫刻家の集うマコンデ村まである。街に出かけるときには、ここから今よりも本数の少なかったバス(ダラダラがまだなかったころ)を群がる人々と押し合いへしあいしながら乗りこんだムウェンゲのバスターミナルなのだと。と、遠い目をして元留学生は語った。(わたしが感じてたより)ダルエスサラーム史にとって大きな転換点となるのかもしれない。「池袋」ムウェンゲはこれからどうなってゆくのだろうと考えるとわたしもだんだんさびしくなってきた。

※1 「Moving traders from Mwenge stand too expensive, says Dar City council」 The Guardian 9April  http://www.ippmedia.com/frontend/?l=66732

※2 「BOMOABOMOA YA SAFISHA VIBANDA VYA WAFANYA BIASHARA WADOGO WADOGO(MACHINGA) MWENGE DAR. 」bakari ngamba 3April http://bakaringamba.blogspot.com/2014/04/bomoabomoa-ya-safisha-vibanda-vya.html#.U4yc5caKDIU

※3 http://www.paparazihuru.com/2014/06/machinga-wataka-kuandamana-mda-huu.html (スワヒリ語、写真がたくさん)

※4 マクンブショ バスターミナルの場所の地図→https://goo.gl/maps/WDczy

☆このお話はわたしのブログ「タンザニア徒然草」にアップしたものを再構成したものです☆

                                                                  (2014年6月15日)

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