• 白川

タンザニアからの手紙 No.60 シビアなマラリア顛末記

金山 麻美(かなやま あさみ)

 仲良し夫婦でもないのに?夫婦そろってマラリアになってしまった。夫は26年ぶり、わたしはたぶん20年ぶりくらいである。  わたしは20年前には3回くらいマラリアになったことがあるが、すべてキゴマなど地方都市から帰ってきてからだった。マラリアを媒介するハマダラ蚊は、水のきれいなところに卵を産むときいていた。もちろん、ダルエスサラームでもマラリアに罹る人は大勢いることも知っていたけど。

 最初にマラリアになったときはともかく、あとの2回は、高熱が出て、マラリア臭いと思ったら、自己判断でマラリア治療薬を飲んで寝ていた。内、1回は日本での一時帰国時の発病だったので、持参した治療薬が役に立った。それが正しい方法かどうか、と言われると「さあ、どうでしょう」と答えるしかないけど、今回の顛末を考えると、そうしておけばほんとによかった。

 4月20日の夕刻、夫が寒気がして職場から早退。37~8℃。職場のエアコン不調のための風邪だろうと考え、風邪薬を飲んで翌日は家で休む。  4月22日、朝、37.2℃まで下がったので、出社するも昼前に39℃まで熱が上がり、再び早退。どうもおかしいというので、マラリアチェックをすぐにやってくれるA病院へ行く。 (ほかの病院はまず、医者に会い、それから血液検査をして、また医者に会うというプロセスを経ないといけないので、とても時間がかかる)  結果は「陰性」(つまりマラリアではない)と出た。ほっとして、とりあえず家で休んでいればということに。

 4月23日朝、今度はわたしが38℃以上の発熱。夫の病気が移ったのだろうか?? 翌24日、二人とも熱が下がらず、どうもおかしいと、B病院へ行き、血液検査と尿検査を受ける。B病院には知り合いの看護師がいて、医者に会うための会計をしているわたしと傍らにいる夫を見つけ、夫だけが患者と思い込んだのか、まだわたしが会計している途中に夫だけを緊急病棟に連れていき、採血してしまう。わたしは、緊急病棟で解熱剤だけ打ってもらったが、採血は、ラボラトリーで順番待ちをすることに。1時間ほど。その間に夫の血液検査の結果は出て、「マラリア100」と言われ(つまりA病院のマラリアチェックは誤診だったということだ)、すぐに治療のための注射を開始する。12時間おきに3回打つ。  わたしの結果は3時間後に出るといわれ、いったん家で休んでからまた行くと「マラリアではなく、血液中にバクテリアがあるせいだ」と医者が言う。抗生物質の注射を受け、服用するための抗生物質も与えられ、家に戻る。

 服用を開始しても、熱は下がらず、食欲は落ちる一方なのだった。26日にもう一度B病院へ相談に行くと、先日とは別の医者しかいず、こちらをろくすっぽ見もせず、先日のデータ結果をみるだけで「マラリアじゃないんだから、今の治療を続けよ。解熱剤を打とうか?」と言うのみなのだった。

 夫は注射を終え、まだ、疲れは残っているものの、祝日明けの27日から出社。わたしは27日に別の医者の意見を求めるも、進展がなかった。  いよいよ起き上がるのもしんどくなり、28日に夫の付き添いでCクリニックへ。到着とともにベッドに寝かされ、点滴を受ける。医者にはシビアなマラリアで、このクリニックでは対応できないので、ナイロビの病院へ飛んだらどうかと言われるが、そこまでの資力はない。入院設備のあるD病院へ救急車で運ばれ、即ICUに入院した。結局マラリアだったのだ。B病院の血液検査の時にちゃんと見つけてくれていれば、と何度思ったことか。

 ICUに2泊し、その後、普通病棟へ移り3泊し、5月3日に退院できた。入院中、医者に「マラリア15,000もあったんだよ」と言われ、びっくりして何度も聞き返し、熱がある中、メモまで取った。15,000!  ICUにいたときは肉体的にはしんどかったけど、いつでもナースがいたし、空調もきいていて、守られている感じがした。  普通病棟に移ってから、医者たちや看護師たちはよくしてくれたと思うけれど、食事がかなりひどいことがあったり、日中数時間もほおっておかれたりで、熱があるのにバトルを3回くらい繰り広げた。同室者が夜じゅうエアコンをつけることを所望するので、我慢したり(サーモスタットが効かないので、寒いことこの上ない。余分のシーツを希望しても「ない」と言われるし)で、夜もほとんど眠れず、つらかった。  もう2度と入院したくない。

 夫のほうも、最初の3回の注射で完治したわけではなく、その後たまった仕事に向かっていたらぶり返しのような状況が出たため、B病院で再度3回注射をうけたあと、医者の勧めで治療薬のDuocotexsinも服薬した。やはり、最初のマラリアチェックの誤診から手当の遅れが響いてたのだ。

 ダルエスサラームでさえ、このマラリアチェックの誤診度の高さなのだから、タンザニアの地方では一体どうなんだろう。マラリア撲滅を叫ぶ前に、まず、患者にちゃんと向き合う医師や検査技師が必要だ。マラリアの手当の遅れで命を落としている人たちがいるに違いないから。

                                                           (2016年5月15日)

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