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タンザニアの片隅で 第1回 タンザニアに戻って

鈴木沙央里(すずき さおり)

 タンザニアに戻って3ヶ月。なれない仕事に奮闘している日々だが、奮闘しているのは仕事だけではない。日々いろいろなことを考える。

 ダルエスサラームという大都会で一人の生活者として暮らすということは、当然のことながら一人の気ままな旅人として滞在するのとは違ったものがある。ここダルエスサラームで、これまでとは違ったタンザニアの側面をみながら戸惑いつつ、驚きつつ?日々を過ごしている。

 まず驚いたのは金銭感覚の違い。ダルエスサラームは物価が高い。例えばムベヤの村では、野菜一束50tsh、100tsh、トマト4個で100tsh、これが大体の相場だった。そんな感覚になれていた私は、野菜の高さにびっくりした。これ一束で300tsh?500tsh?それはムズング(スワヒリ語で白人:お金もち的なニュアンスが含まれる)プライスか?と思いきや、隣でタンザニア人が同じ値段で買っているではないか。そうか、これが相場なのかとまだ半信半疑ながらも購入する。

 それから食事代。お昼はオフィス付近のホテリ(食堂)で食べることが多いが、ダルエスサラームのビジネスマンが行くようなところだと一食で2000tsh前後。外国人が行くようなインド料理、中華料理レストランなどに行くと一食5000~10,000tshである。一回の食事で10,000シリング??田舎では 10,000シリング札を目にすることもめずらしかったので、なんだか不思議な感じである。それでもやはりダルエスサラームでもちょっと小道を入っていくと、一食600tshで食事ができるところもある。(US$1=約1,250tsh:2007年4月現在)

 ダルエスサラームの街中に行きかう人々。そこには生活環境が大きく異なる人々が行きかう。オフィスで働く外国人。同じくオフィスで働くタンザニア人。ビジネスをしているインド人。小さな商売をするタンザニア人。仕事柄、私が触れ合うタンザニア人はオフィスで働く人がほとんどだ。けれど、タンザニアでは、毎月決まった収入を得ている人の方が少ない。

 街中に目をやると、さまざまな形で「仕事」をしている人々をみかける。靴の修理をする人、洗車をする人、毎朝同じ場所でマンダジ(揚げパン)を売る人、小さな店をかかえて新聞を売る人、車道の真ん中にたって新聞を売り歩く人、大きなリアカーにいっぱいの果物をのせて売り歩く人、観光客相手にみやげ物を売る人…。それから中国製のDVDを売り歩く人もいる。

 この前オフィスの目の前で、スタッフの一人がいわゆる「ネイルアート」をしてもらっていた。後で聞くと、その人は「仕事がないなーと思って家で寝ていた時に思いついてこの仕事を始めた」ということだそうだ。  そんな風に仕事ができるのか。なんだかそんな単純さに感心してしまう。それでも一日一体何人の人が彼にネイルアートを頼むかは不明である。でも彼はそうやって生活をきり開いている。ダルエスサラームの街中に行きかう人々。そこには生活環境が大きく異なる人々が行きかう。オフィスで働く外国人。同じくオフィスで働くタンザニア人。ビジネスをしているインド人。小さな商売をするタンザニア人。仕事柄、私が触れ合うタンザニア人はオフィスで働く人がほとんどだ。けれど、タンザニアでは、定職について毎月決まった収入を得ている人の方が少ない。

 街中に目をやると、さまざまな形で「仕事」をしている人々をみかける。靴の修理をする人、洗車をする人、毎朝同じ場所でマンダジ(揚げパン)を売る人、小さな店をかかえて新聞を売る人、車道の真ん中にたって新聞を売り歩く人、大きなリアカーにいっぱいの果物をのせて売り歩く人、観光客相手にみやげ物を売る人…。それから中国製のDVDを売り歩く人もいる。

 彼らのように、ストリートで仕事をする人々にとって、ダルエスサラームでの商売は厳しくなった。私が3年程前に来たときには、ダルエスサラームでも道端にダンボールを広げてものを売ったり、木に古着をぶらさげて売るような人々の姿がみてとれた。 しかし政府の方針で、そういった小さな商売をする人々の「店構え」が一掃されてしまったらしい。それでも最近少しずつ戻りつつあるのがわかる。

 なれない仕事の中で疲れを感じつつオフィスを出て車を走らせると、いつもの人々が目に留まる。信号待ちの車の横で「仕事」をする車椅子の人たち。ああ、彼らもこんな遅くまでがんばっているのか、と思うと自分も愚痴など言ってられないな、と思うのだ。

 今はなかなかそんな彼らのような、ストリートに生きる人々と触れ合う時間はあまりもてない。単純に暇がないこともあるけれど、自分が躊躇している、という面もある。仲良くなりたいけれど、いまやオフィスで働く一人の日本人である。仲良くなってもいろいろ要求されると思うと正直しんどいな、とも思うからだ。  それでも毎日、家とオフィスの間を車を走らせているだけではなかなか「別のタンザニア」は見えてこないし、なんだか味気ない。そんな私は土日はぎゅうぎゅうづめのダラダラ(タンザニアの乗り合いバス)にのって、汗をかきながらもカリアコー(ダルエスサラームの下町?)や市場、時にはちょっと郊外の田舎に出かけると、ちょっと安心した気持ちになる。  なかなかむずかしいけれど、まだまだ時間はある。タンザニアの人々のように、あせらずゆっくり私のタンザニアを開拓していきたいと思う。

(2007年4月15日)

  *このコーナーでは、鈴木沙央里がタンザニアの片隅で、日々感じ、思ったことをつづっていきます。

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