
白川
タンザニア歳時記・11月 ― 断食月―
金山 麻美(かなやまあさみ)
今年は、11月6日か7日からラマダン(断食月)に入りそうです。
ご存知の方も多いでしょうが、ラマダンというのは、イスラム暦9月の断食月のことです。ムスリムたちは、この月の新月から次の新月にかけての一月間、日の出から日没の間、つまり日中の飲食を一切断つのです。日没後に軽い食事(フタリ)をとったあと、お祈りをし、本格的な食事(ダク)に移ります。 イスラム暦は、太陰暦なので、太陽暦より1年が11日ほど短くなっています。つまりラマダンは、太陽暦の上での日にちは、毎年ずれていきます。
タンザニアは、地図上で赤道よりちょっと下にあるので、今がちょうどどんどん暑くなっていく時期です。ここ何年間かのラマダンは、タンザニアの真夏である最も暑い時期にあたっているのです。
その間も、ほとんどの人が普通どおり、仕事をします。エアコンの効いたオフィスでの仕事ならまだしも、インタビューした中の一人は、庭師という炎天下の肉体労働でしたが、始業時間をいつもより1時間早くして、(つまり朝の涼しい時期に仕事を始め、)終わりをいつもより2時間早めるものの、労働内容はいつもと変わらないそうです。空腹もそうですが、「のどが渇くでしょう?」と聞いても、「大丈夫なんだ」という答えでした。強靭な精神力と申しましょうか。私のような軟弱者にはとてもまねのできないことです。それだけ神とのつながりを強めたいということなんでしょうか。
ダルエスサラームのように他の宗教の人も結構いて、レストランなどもラマダンの間も平常どおり営業しているようなところでは、なかなか断食もやりづらいものがあるとも思いますが、一月間やりとおすムスリムたちには、それが宗教上必要なこととはいえ、頭の下がる思いです。ましてやノースリーブの木綿の風通しのよいワンピースを着ていても、ちょっと体を動かすと、汗がじわっと出てくるくらい暑いのに!
この項つづく 次回は、ラマダン中のお楽しみ、食事のことなどについて書きたいと思ってます。
(2002年11月5日)