
白川
タンザニア歳時記・No.12 年頭所感
金山 麻美(かなやまあさみ)
遅ればせながら明けましておめでとうございます。 果たして今年の年明けが本当にめでたいのかどうか、世の中の状況を見ていると、不安ではありますが。
年末から年明けにかけて、一時帰国していました。途中、寒さの厳しいベルギーを経由して行ったので、関東方面の冬の気候が、暖かく感じられました。真夏の太陽ギラギラのタンザニアから到着した体には、嬉しいかぎりでしたが、「冬としてはいかがなものか?」という感じだったのでしょう。 かくいうタンザニアも異常気象のなせる業なのか、昨年の大雨季、年末からの小雨季がほとんどからカラカラだったので、旱魃や断水で大変です。私の日本滞在中にダルエスサラームの我が家をはじめ、この近辺は、2週間も断水が続き、あちこちから貰い水をして何とかしのいでいたそうな。その時、ここにいなくて済んでラッキーだった!と身勝手にも胸をなでおろしてしまいました。停電もつらいけど、水がないのはほんとにつらい。ましてやこんな暑い時期に水がないと悲惨です。どうしても飲食のための水が優先されるし、衛生状態が心配だし、体を洗う事だって満足にできないのですから。朝シャンなんて夢のまた夢。日本にいた時には、想像もつかなかったけれど。 タンザニアの中心部のドドマなどは緑を見かけることができないくらい乾いていると言われます。農村部は食糧難で大変のようです。ダルエスサラームの市場には、今でも野菜や果物があふれているけれど、主食のトウモロコシ粉や米は、1.5倍から2倍の値上がりです。かといって収入が増えるわけではないから、当然生活が苦しくなります。
日本のデパートやスーパーにあふれるものたち。わたしも以前は、服を買うのが大好きだったけれど、今回、悟ってしまいました。すごくたくさんのおいしそうなものが目の前にあっても、わたしの胃袋はひとつしかないのだと。服や時計や装身具はとっかえひっかえできるかもしれないけれど、身はひとつでしかないし、限界があるし、第一誰に見せびらかしたいのだ? わたし自身は、歳をとったから、そういった欲望が衰えつつあるのかもしれません。でも、ウン十万円もする時計やブランド物のバックや服が繁栄する日本はおかしいと心底思います。不況だと言いつつもお金のある人はとことん無駄遣いをしているという感じがします。買い物でしか埋められない空虚感があるのでしょうか。
蛇口から水が出ることがどんなに嬉しいか、断水が続くとつくづく思います。たった一つのかけがえのないもの、それが何かを見極めて大切にしていかないと、大変なことになるんじゃないかなと思ったりするのです。物のあふれる日本の社会では、難しいことではあるんでしょうけど。
追記:かといってわたしはおしゃれをすることに否定的ではないのです。身につけている自分はもちろん、まわりにいる人まで楽しい気分や晴れやかな気分にすることのできるおしゃれっていうのはあると思うし、いいぞ-!って感じで応援したいです。もちろん自分もそうできればいいなって思います。まだまだ修行は続く…。
(2004年1月15日)