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タンザニア歳時記・No.13 水

金山 麻美(かなやまあさみ)

 日本では5月は新緑の季節ですね。私は日本にいたころは5月が一番好きでした。でも、ここタンザニア、ダルエスサラームは、5月は未だ大雨季の終わりが引っかかっていて、とてもさわやかとは言いがたい天気が続くのが常でした…が、今年は、大雨季が早く明けたのか、5月に入ってから、朝晩涼しく、昼間はからっと晴れた気持ちのいい毎日が続いています。何となく心もうきうき。人の気持ちが天候や気候に左右されるというのは本当ですね。(だからタンザニアの人は明るいのか?)

   ダルエスサラーム通信の2月に「Mgawo」(計画断水)の記事がありましたが、3、4月と結構雨が降り、水源のルブ川にも水がたっぷりあると聞いているのですが、未だ計画断水は続いています。我が家は、大体一日おきに水が出ます。    今の家に引っ越してきて14年目ですが、越してきた当初から1,000mlの水タンクが裏庭に備え付けてあり、ずっとそれで今までやってくることが出来ていました。庭にきている水道の水をいったんタンクに溜め込み、それをポンプで2階のタンクに上げて、家の中で使うというシステムです。

 1,000mlあれば、4人家族プラス住み込みお手伝いさん1人の我が家では、断水しても一日は余裕で足ります。洗濯をしないで貯め水(家の中のバケツなどにもいざと言う時のために水を貯めている)で食器洗いや(お風呂の代わりに)水浴びをすれば、3日くらいは持ちます。  いままでも一週間などという長い断水の時もありましたが、いざとなったら、水のあるところを探しあててもらい水をするなどして、何とかやってきました。  しかし、今回の一日おきの断水で、音を上げてしまったのです。

 一日おきといっても、確実にそうなっているわけではありません。2、3日続けて出るときもあれば、その逆もあります。

一番困ったのは、洗濯です。汗をかくので、洗濯物は結構でます。Tシャツなど木綿の薄いものばかりですが。断水の日には、明日も断水かもしれないので、水を確保しておくため洗濯を止めておきました。そしたら洗濯物のたまること、たまること。水の出る日に全部すればいいではないかと言われても、ちょうど雨季だったので、干すスペースの問題もあるし、なかなか乾かないため、そううまくはいかなかったのです。

そんな状態が2月ぐらい続いたので、腰が重い私もさすがに業を煮やして、水タンクを増やすことにしました。 タンクを増やすことを躊躇していたもうひとつの理由は、ここでタンクを足してしまうと、断水の時に困らなくなってしまうのではないかということです。困らないならいいんじゃないかと言われるかもしれないけれど、タンザニアに住んでいながら、別世界のような生活をすることに抵抗があったのです。

在住の外国人の中には、一週間以上断水しても大丈夫なほどの大きな貯水設備を自宅に持ち、水道管破裂などで長く水が止まっても、全くそれを知らぬまま日常生活を送っている人もいます。マリー・アントワネットとまではいかないだろうけど。

「2000/2001 TANZANIAN HOUSEHOLD BUDGET」によると、タンザニア全体で、水道水を使っている家庭は39%、井戸水や湧き水が16%、それ以外の水源(川など、水質が分からない水)が43%だそうです。  それを考えると、水を得るために、毎日長い時間と多くの労力を水確保のためにタンザニアの多くの女たちは費やしているのだ、と考えると、断水があったりしても、水道から水が出るのはすっごく楽なことじゃないかと。文句を言うんじゃねえって感じですよね。それなのに、タンクを増やしてもっと楽してしまっていいのかという迷いがあったわけです。  しかし、誘惑に負けて、というかあまりの洗濯物の溜まりように音を上げて、タンクをもう一つ、奮発して2,000mlのものを増やしました。そしたら物理的にはもちろんですが、精神的にすごくゆったりしました。梅干くらいの大きさでキュウキュウしていたのが、綿雲のようにふんわりふくらんだような。毎朝、今日の水はどうだろう?と心配しなくていいのですもの。洗濯も毎日できるし。もちろん、毎朝、水が出ているかどうかチェックはしていますが。

  大雨季に雨が降ったのに、なぜ「Mgawo」(計画断水)が続いているのだろうという疑問があったのですが、「今までの水配分に不公平があったため、それを均等化しようとしている」という話を聞きました。   我が家への水道管は太いらしく、計画断水前は、水圧も高く、事故断水の時以外は、ほとんど毎日水の問題はありませんでした。でも、同じダルエスサラームでも、週末にしか水が出ないとか、昼間は出ないで夜中に出るので、水を汲みおきするのも大変だという話を聞くことがありました。我が家のようにタンクを配備している家は少数派で、水道から出る水を手持ちの容器に貯めておくのがやっとという家がほとんどとでしょう。だから水道管破裂や取水口のポンプ故障などの事故断水になると、ダルエスサラームの女たちは色とりどりのプラスチックのバケツを手にして、水を探してまわるのです。 先ほどの「2000/2001 TANZANIAN HOUSEHOLD BUDGET」によると、ダルエスサラームの水道普及率は86%だそうです。

配分の均等化ということだったら、納得します。一日おき断水でも仕方がありません。しかし、「えっ?もう計画断水は終わったんじゃないの?わたしの家は毎日水が出ているよ」と言う人もいるので、この均等化という話も何処まで信憑性があるのか、または何処まで均等化しているのか疑問であります。 ともかく、我が家は一日おきに水が止まります。

(2004年5月15日)

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