
白川
タンザニア歳時記・No.5― 猛暑―
金山 麻美(かなやまあさみ)
またまたご無沙汰してしまいました。毎月書くようにと周りからいろいろ言われているのですが、なんともはやこのていたらく。 この間に、クリスマス、新年(特に何もない)、学校の新学年の始まり‥などなどが通りすぎてゆきました。ああ。
しかし、暑い。暑い毎日です。今も厳暑の中の我慢比べのようなドライブから帰ってきたところです。
本日は晴天なり。絵の具を塗りたくったような青い空に白い雲、緑の葉に反射する光もテカテカとまぶしい。太陽にご馳走をもらって嬉しそうな葉っぱたちがうらめしい。そんな炎天下の道をまさに大粒の真珠のような汗をたくさん流しながら上半身裸でこれまた麻袋に入った重そうな荷物を目一杯載せたムココトーニ(木でできたリヤカー)を引っ張っている若者もいます。
日向38℃、日陰34℃(自己測定による)の午後2時半です。街中の郵便局の駐車場(もちろん太陽ギラギラの下。コンクリートの上)に愛車を停めて用事を足し、1時間後の3時半頃もどってくると、車の中に置いておいた温度計は限度の50℃を見事にぶっちぎってました。まさにボンネットで目玉焼きができそう。
我が家は、2階に寝室があります。2階なので、カーテンもつけていず、網戸はあるけど、窓はスライド式の長方形のガラスがたてに7、8並んでいるやつで、もちろん年中開けっ放し。いちおうエアコンも付いていますが、今までは、暑い季節でもめったに使うことがありませんでした。一番暑いと感じられる夜に年に2、3日ほど寝入りばなにちょこっと使う程度。それで、ぐっすり眠れてました。 しかし、今年は寝苦しい夜がここ2ヶ月ほど毎晩のように襲ってきます。寝入りばなのエアコンも日課となってしまいましたが、しばらくたつと暑い空気が戻ってきて、目が覚めてしまうのです。これは地球温暖化のせい?それとも今年が特別なの?そんな中でも、子供達は熟睡しているので、やっぱ年とったせいなのか‥‥‥。トホホ。
この暑さの中、タンザニアの人々はどうやって涼を取っているかというと。
なんといっても気持ちよさそうなのが木陰のお昼寝。 昼過ぎに子供を学校に迎えに行くために、くそ暑いジムニーで、ラフロードを走っている時や、用事を足しに炎天下を歩いている時、ふと道端の木陰に目を向けると、ゴザをしいてその上にカンガを巻いてゴロンと横になっているおばあさんや、いかにもひんやりとして見える土の上に敷かれた布の上では、仰向けになって熟睡しているようなおばさんもいるではないですか。掘っ立て小屋のようなキオスクのそばでは、売り子のお兄ちゃんが椅子の上でこっくりこっくりとしてるし‥‥。マンゴの木をはじめ、ここでは枝が大きく張り出して、ゆったりとした日陰を作ってくれる樹木には事欠きません。汗水たらしている私にはうらやましすぎるぞ。 木陰だけではなく、タンザニアでは、家の中が日中薄暗く、外よりも暑いことが多いので、家の前にバラザと呼ばれる玄関から突き出したコンクリートの縁側ができているところもけっこうあります。屋根の庇でバラザが日陰となる日中は、ここでのお昼寝も冷たいコンクリートが、そのときだけはとても優しく感じられたりして気持ちよさそうです。 昼寝まで行かなくても、木陰で髪を結いあう、ゴザを編む、ビンの蓋を使ったチェスのようなゲームをする、または隣近所の話から政治談義にまで花を咲かせるなど、涼を取るための木陰での過ごし方もまちまちです。木陰から生まれた文化というのもあるのでは?
(2003年2月27日)