タンザニア Tembea Tembea 第4回 バガモヨ
山田智穂(やまだ ちほ)
1.ダルエスサラームから北へ70km、ダラダラで約1時間まっすぐな道を行ったところにバガモヨという小さな町があります。その海の美しさ、また、ダルエスサラームから日帰りでも行くことができる手軽さから、海沿いにはリゾートホテルが立ち並び、観光客も少なくありませんが、町そのものは、そんなことは気にも留めずというかんじで、こじんまりした静かな漁村という雰囲気のまま、人々はのんびりと暮らしています。
2. 海には、ダウ船が点々と浮かび、砂浜では、子どもから老人まで、地元の人々が、その辺りでとったばかりの魚を売っています。近くで、素揚げされた魚を買うこともできます。
3. バガモヨは、19世紀後半には、奴隷キャラバンの大陸側の終着地として、悪名高い奴隷貿易で繁栄した町した。『バガモヨ』という町の名前のいわれも、奴隷たちの、人としての人生はここまでで、ここからは人間としてではなく、生きていかなければならないという、スワヒリ語の “bwaga moyo(我が心ここに残す)”という悲しい気持ちが語源になっていると言われています。写真は、当時の税関跡。
4.バガモヨには、タンザニア伝統芸能を保存・継承するために設立されたバガモヨ芸術大学(chuo cha sanaa)があります。ここでは、楽器、ダンス、絵画、彫刻、演劇などのコースがあり、海外からの留学生も受け入れています。大学の構内に入ると、どこからともなく、学生たちが練習する太鼓や木琴の練習の音が聞こえてきます。毎年9月には、芸術祭が催され、タンザニア各地から様々な芸術家グループが集まり、朝から夜遅くまで歌や踊りのステージが続きます。
2002年にあった火事を理由に写真撮影が禁止されているので、写真がないのが残念ですが、この写真は、町にある、バガモヨ芸術大学の学生の作品が売られているお店です。絵画、彫刻、手工芸品など、どれも個性派ぞろいで、エネルギッシュな作品ばかりです。
5.もうすぐ日本ツアーをはじめるCHIBITEのザウォセ一家もこのバガモヨに住んでいます。
写真は、オルタナティブツアーで彼らの家に演奏を聞きに行った時のもの。彼らの家の庭でのマンゴーの木の下での演奏会。その音を聞きつけて、あちこちから人々が集まり、気付けば大演奏会になっていました。
40人以上の大家族からなるCHIBITE。CHIBITEとは、彼らの母語、ゴゴ語で「一緒に行こう」という意味。大人から子どもまで、彼ら自身で作るイリンバ(親指ピアノ)や太鼓、ゼゼ(ギターのような楽器)で奏でる活気ある音楽と、彼らならではのユニークなダンスでのパフォーマンスは大好評でした。
6.バガモヨの町の少し南、カオレには、13世紀から15世紀に栄えた小さな都市国家の跡が遺跡となって残っており、モスクや当時の人々のお墓が静かに残っています。
7.教会のそばに立つ大きなバオバブの木。
Umepandwa(Planted) 1868
Unene(Circumference) 5.44m,1912
6.80m,1927
7.84m,1955
10.20m,1991
12.50m,2000
135歳。135年間のバガモヨの歴史をずっと見守ってきた、存在感ある木。
(2003年10月)
*Tembea Tembeaというのはスワヒリ語で「歩き回る」ということです。山田智穂がタンザニアを歩き回って、見所、エピソードをご紹介いたします。