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  • 執筆者の写真白川

ルカニ村滞在記・2013年8月

脇夕美子さんより

居間にはママが絞りたてのミルクやチャイを用意してくれていました。早起きをして、皆がそろうまでの間にチャイを飲みながらのんびり過ごすのが毎朝楽しみでした。

村を車で案内してくれている途中、すれ違う人にアレックスさんは必ず声をかけ、時には車を止めて会話をしていました。すると皆さん車の中の私達を覗き込んで、笑顔で歓迎の挨拶をしてくださいます。ハイキングの山道で挨拶するように、タンザニアでは目が合えば知らない人とでも挨拶をします。私達もそれに習っていると必ず返事を返してくれるので、他にスワヒリ語が話せなくてもとりあえずOK!とリラックスすることができました。

小中学校の見学で生徒さんの前に並んで立った時は少々緊張しました。ツアーに申し込むまでタンザニアの正確な位置も知らず、美しい風景に憧れてなんとなく来てしまった私は苦手な英語で短い自己紹介をするのがせいいっぱいでした。村の見学の道中で出会う動物たちにはとても癒されました。特に牛は人に良く慣れていて、まるで話しかけてきそうな気配を感じます。アレックスさんの家にも牛が3頭いたので、毎日顔を見ているうちに私はすっかり牛好きになりました。

翌日、アレックスさんのお兄さんのコーヒー畑に招かれてコーヒーの木について学んだ後、皆で少し収穫をしてコーヒー豆を煎って飲むところまでやってみようということになりました。バナナの木陰での収穫作業は緑に囲まれてとても気持ちが良かったのですが、コーヒーの実を手摘みで収穫すると知り、驚きました。これからルカニ村のコーヒーを飲むときにこの日の収穫の風景を思い出せるとは、なんて贅沢なことだろうと思います。

 ある農家では家主さんが新しい家のキッチンに引いたバイオガスの仕組みについて、実際に牛糞と水をバケツに用意して丁寧に説明してくれました。台所のコンロに火がついたのを見たときに思わず、アンビリーバブル!と言ったので笑われてしまいました。東日本大震災の後は小規模でも家庭で作れるエネルギーが羨ましく、同時に福島でたくさん殺された牛たちのことが思い出され、もう日本はこういう発想に立ち戻れないのだろうかと胸がつまる気がしました。

   午前中のいつも同じ時間帯に、お向かいの家の前で小さな姉妹を見かけました。お姉ちゃんは背負っている妹がずり落ちそうになるたびに腰を曲げて背負いなおしています。妹の世話を任されているという使命感が現れたような凛とした表情が印象的でした。なんとか仲良くなりたいと思い、3回目に会った朝に姉妹をカメラで撮って画像を見せたところ、パッと素敵な笑顔をくれたので、とても嬉しくなりました。

ルカニ村で数日過ごしているうちに、お湯が出てこないシャワーも、照明が壊れてトイレに蝋燭が立っていることも、インターネットの無い生活も、あたりまえになっていきました。そして日本での生活習慣がすっかり体から抜けた感じがして、さっぱりしたような、すがすがしい気分でした。

   (一部抜粋)    

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