白川
-ブギリ村を訪れて-2001年
今田 佳奈子さんより
このツアーで忘れてはいけないこと、目玉行事である村のステイ。私は今回、新しく追加されたブギリ村に3泊4日のステイをさせてもらった。村に着いた初日は酒(日本でいう“どぶろく”みたいな酒だった)で歓迎され、おばあさんにはスワヒリ語をレクチャーされるは、ゼナというおばさんには踊らされるは、てんやわんやだった。日が落ち始めた頃に、やっとステイ先の家に到着した。その頃には、もうヘトヘトである。私たちを迎えてくれたその家のお母さんとの握手が、今でも忘れられない。とても温かい手だった。
この日の夜は、タンザニアでの思い出で一番であろう出来事があった。それは夕食後、子どもたちと遊んでいる時、“あなたたちの歌を聞かせてほしい”とお願いしたら、それはもう素晴らしいとしか言いようがない歌を皆(10名以上はいたと思う)で歌ってくれたことだ。そのときのシチュエーションが満天の星空で、“これこそ私が思い描いていたモノだ!”と、ひどく感動したものである。歌い終わると今度は子どもたちから歌を歌ってくれとせがまれ、「ぞうさん」や「チューリップ」を歌ったが、歌のうまい子どもたちには大変申し訳なく、歌の練習をしてくれば……、と後悔した。ブギリ村に行かれる人には、歌の練習をお勧めする。
三日目は、村から30分ほどバスに揺られて出かけ、ドドマ市の市場をまわった。市場では本場のマンダジ(あげぱん)を食べた。村に戻るときには、ダラダラ(乗り合いバス)に初挑戦。日本の感覚では乗ることは決してしないだろうバスに、無理矢理乗った。しかし、これで驚いてはいけない。人であふれかえっている車内をものともせず、客はどんどん乗ってくる。私はこのとき、現地の人々に不可能や無理、限界という言葉がないのではないか?と疑ったほどだ。
この日の夜は、ヤギの解体を見学させてもらった。解体を始めたときは思わず逃げ出してしまったのだが、ヤギが命を捧げてくれているのに逃げては失礼だと気づき、解体を終えるまで自分の目でしっかりと見た。見ていて、ああ、こうして動物が命を捧げてくれることで私は生きているのだと実感した。そして、ありきたりな言葉ではあるが、神聖なものを見ている気がした。ヤギは解体後、網焼きにされ、皆の胃袋におさめられた。ヤギに多大なる感謝。そして翌日の午前中、ブギリ村を出発して村でのステイを終えた。
今回の旅では多くの方にお世話になり、自分がいかに小さな人間であるかを実感した。そして、何よりアフリカが大好きになった。「百聞は一見に如かず」という言葉の意味を今回の旅で実感した。最後に、アフリカに行ってみたい方に『アフリカよいとこ一度はおいで』という言葉を贈りたい。