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  • 執筆者の写真白川

Bwaga Moyo No.1 ご飯がおいしく感じられるのは、私たちがちゃ~んと幸せな証拠

川田真弓(かわた まゆみ)

2007年8月 ドドマ州ブギリ村にて

  2005年、JATA Toursの目玉である「オルタナティブ・ツアー」で初めてドドマ州ブギリ村を訪れてから今回で3度目の訪問。ブギリ村に住むゴゴの人々はタンザニアきっての音楽的才能のある民族であり、音楽家、故フクウェ・ザウォセ氏の故郷でもある。バガモヨで彼の家族からなるCHIBITE楽団と出会い、ホームステイをしながら伝統楽器イリンバの修行をしていたので、2回目以降はメンバーと一緒に訪れた。毎日音楽に溢れた生活をしているのかと期待していたが、日頃は農作業や放牧が中心の生活で毎日音楽というわけではない。特別な儀式やお祭りの際に村の人々が集まり歌い踊りながら盛大に祝う。太鼓を打ち鳴らすムヘメはものすごく迫力があり、バオバブを背景に聴くイリンバの音色は何とも言えないほど心に響く。ブギリ村に来るとなぜか故郷に帰ってきたような気持ちになりほっとしてしまう。

   そんなブギリ村で、今日はいつもお世話になっている家族に日本料理(お好み焼き)を振舞おうと思い、日本からお好み焼き粉とソース、マヨネーズ、紅しょうが、天滓、鰹節、青海苔を持参した。みんな朝からどんな料理が食べられるのかと楽しみにしているので私も気合を入れて食材の買出しに出かけた。

 村には大きなお店がないので、歩いて1時間ほど離れた小さな市場に行き、お肉、キャベツ、卵をそれぞれのお店で購入。お肉は大きな固まりがぶら下げてあり、必要な量だけ切ってくれる。何とも大胆。キャベツは村で収穫した新鮮なものを買い、卵は鶏を目の前にして頂戴する。家へ帰る途中、村を歩いていると人に出会う度に長~い挨拶が始まる。「こんにちは」だけでは終らない。家族は元気かどうか、仕事は順調かなど話し出したら止まらない。お昼にはお好み焼きを作り終えて一緒に食べようと思っていたけれど、買い物を終えて家に戻ったのは14時を過ぎていた。

   早速買ってきた食材の下準備を始めたが、日本では考えられないようなトラブルが続出… まず卵が既に割れている。ビニール袋に直接入れたので割れ易い。キャベツはまな板が無いので切るのにものすごく時間がかかる。タンザニアの女性はまな板が無くても上手にナイフを使いこなすことができるが、私はまだド素人なので椅子の上にビニールを敷いて代用。お肉は日本のように薄く切られていないので、固まりを薄く切ろうと試みるがナイフの切れ味が悪いので難しい。こんな感じで悪戦苦闘していたら焼き始める頃にはもう外は真っ暗になっていた。村には電気がないので夜の調理は避けたかったが、みんなまだかまだかと待っている。

 しかし、食材の下準備よりも焼く方がもっと難しい。ガスが無いので炭を使うが、火の調節が難しく、ベチャベチャになったり焦げてしまう。とにかく暗いので焼き具合がどうなっているのすら分からない。さらに、台所に煙が蔓延し目が痛くて開けられない状態に。もうお好み焼きがどうなっているのか全く分からず、ひっくり返す器具がないので鍋を掴んでやけどし、子どもたちは珍しい料理に興味津々でつまみ食いをするので焼いても焼いても減っていくばかり。あまりにもトラブルが続出したので疲れきってしまい「もうお好み焼きなんて二度と作るか!」と叫びたくなった。夜の10時を過ぎてようやく完成したのは、黒色スクランブルエッグ風のお好み焼き。日本から調達したソースとマヨネーズ、鰹節、青海苔を塗して何とかごまかしたが味は・・・

   こんなにもお好み焼きを作るのに苦労するとは予想外だった。日本なら簡単に作ることができる料理でも、ここブギリ村では丸1日かかってしまう。本当にくたくたになってしまった。でも今日1日、お好み焼きを作りながら感じたことは、常に人と関わりながら過ごせることって幸せだなということ。材料の買出し中は、道ですれ違う人と挨拶をかわし、お店の人と会話を楽しみ、料理中も常に誰かが手伝ってくれる.

 私はゴゴ語がほとんど話せないので何を話しているのかは分からなかったが、みんな会話中に本当によく笑う。顔だけで笑いを表現するのではなく、身体全体を使って笑い転げる。会話の内容が分からなくてもその雰囲気に飲み込まれて私も自然に笑ってしまう。お好み焼きは今までで最低のできだったけれど、みんなで食べると本当においしいかった。どんな豪華な食事を独りで食べるよりも、大切な人たちと一緒に食べるご飯が一番。今度ブギリ村を訪問する時は、もっと腕を上げておいしい料理を振舞いたいなと思う。またこりずにお好み焼きにするか、別の料理にするかはただ今検討中◎

(2009年6月15日)

*「Bwaga Moyo」とは、スワヒリ語で「ここに我が思いを残す」という意味です。 2005年に初めてタンザニアを訪れてからずっとこの地に思いを残してきました。 なぜこんなにも惹かれるのか… その理由を少しずつ紹介したいと思います。

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