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  • 執筆者の写真白川

Bwaga Moyo No.2 壊れた靴だって、ちゃ~んと生きているんです

川田真弓(かわた まゆみ)

2008年8月 ダルエスサラームにて

  2008年8月、タンザニアに通い続けて5回目となるが、今回は今までとは違う特別な旅。JATA Toursでは毎年8月に大学生を対象にインターンを募集しており、今年はインターン生としてやってきた。そんな特別な旅なので、ずっと使わずにしまっておいた母親からもらった靴を履いてタンザニアの大地を歩こうと決めていた。

 インターン初日、新品の靴を履いて早速宿泊先からオフィスへと向う。ダルエスサラームの中心街は舗装された道路が多いが、中心街から少し離れた細い道に入るとまだ舗装されていない道がたくさんある。宿泊先の周辺は石が多く凸凹しているのでなかなかバランス良く歩けない。普段なら歩き易いシューズを履くが、少し底の高いサンダルなので何度もこけそうになりながら歩いた。足の皮が剥けてヒリヒリと痛むので一層のこと裸足で歩こうかと思っていたら、紐が切れてしまい必然的に裸足で歩くはめになってしまった。

 結構値段のする頑丈なものなので日本であれば簡単には切れないが、タンザニアの道には通用しないようだ。これから仕事を控えているので何とか自力で直そうと接着剤購入を試み、近くのお店まで壊れた靴を手に持ち、裸足で歩くことにした。(店までの道を)←トルゆっくり歩いていると、すれ違う人たちが皆「ポーレ」(スワヒリ語で「お気の毒に」という意味)と声をかけてくれる。中には近くのお店まで一緒についてきてくれて接着剤で直す作業まで手伝ってくれる人もいた。なかなか上手く着かないので3人以上集まり皆で靴の修理に没頭した。靴の紐が切れるだけでこんなにも助けてもらえるなんて予想外だった。

 でも結局接着剤では直らず、新しい靴を買おうかとも考えたが所持金がわずかしかなかったので途方に暮れていると、なんと幸運なことに道端に靴の修理屋を発見。修理屋といっても、小さな机を一つ置いて、その上に糸、針、靴紐などを並べた簡単なもの。今まで気付かなかったが、ダルエスサラームには靴の修理屋が本当にたくさんある。多い所では50mほどの道に10人以上が机を並べて商売をしている。料金は200タンザニアシリング(約20円)と経済的。接着剤で何度試みても直らなかったサンダルが、太い針と糸を使って縫うと3分もしないうちに新品よりもさらに頑丈なサンダルに変身した。

 今回の出来事で感じたことは、見知らぬ人でも困っていたら何のためらいもなく助けてくれるタンザニア人の精神はすばらしいなということ。特に右も左も分からない外国人にとってその優しさは有難い。それに日本なら捨ててしまうような靴でも、ここでは何度も修理し、新品よりもさらに強い靴に生まれ変わる。大切な靴が初日で壊れたのはショックだったけれど、通りすがりの多くの人に助けてもらい、普段なかなか関わることのなかった靴の修理屋さんに出会い本当に幸運だった。忙しく過ごしているとなかなか関わることのできない人たちとも、少し小道を歩くことで素敵な出会いと憩いの場がここダルエスサラームにはある。この時に直してもらったサンダルは今でも大切に使っているが、こんなにも人の温かさを感じることができるのなら、母親には申し訳ないがもう一度紐が切れたって良いかな~なんて考え中◎

(2009年8月15日)

*「Bwaga Moyo」とは、スワヒリ語で「ここに我が思いを残す」という意味です。 2005年に初めてタンザニアを訪れてからずっとこの地に思いを残してきました。 なぜこんなにも惹かれるのか… その理由を少しずつ紹介したいと思います。

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