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  • 執筆者の写真白川

Bwaga Moyo No.4 バオバブの魅力

川田真弓(かわた まゆみ)

2008年8月 モロゴロ州キンゴルウィラ村にて

ダルエスサラームの西約195kmにある人口25万人ほどの地方都市、モロゴロ。 綿花やサイザル麻の集荷地として知られてきたが、最近はトウモロコシ、玉ねぎ、トマトなどダルエスサラームの近郊野菜の産地となっている。モロゴロ市の中心からダルエスサラームに向かって約13km走るとキンゴルウィラ村はある。 JATA Toursの目玉である「オルタナティブ・ツアー」の農村滞在で訪れることのできる村である。私も2008年にツアーに参加し初めてこの村を訪れた。

キンゴルウィラ村の魅力は、ホームページの『農村滞在』で紹介しているが、サイザル農園のサイクリングや学校見学、子どもたちとの触れ合い、マサイの集落見学、バナナ農園の散歩、タンザニア鉄道見学など本当に盛りだくさんである。今回はそんなキンゴルウィラで発見したバオバブの魅力についてご紹介したい。

強烈なインパクトのある「バオバブ」。スワヒリ語ではウブユ(Mbuyu)呼ぶ。写真や映像で一度見れば、頭にイメージが残る木ではないだろうか。太い幹、グネグネした枝、緑の葉が無く茶色と灰色を混ぜたような色。私が初めてバオバブを見たのは、ディズニーの映画『ライオンキング』である。いつか本物のバオバブに抱きついてバオバブの音を聞いてみたいという願望があったので、キンゴルウィラ村では念願のバオバブ抱擁達成。残念ながら幹の音を感じることはできなかったが、風がバオバブを通り過ぎる時の「ブオーン」という音は何とも神秘的で心が癒される。直射日光のきつい日は、バオバブの木陰で一休み。私にとってバオバブは憩いの場所である。

しかし、バオバブの魅力はそれだけではない。バオバブは胃袋も満たしてくれる。キンゴルウィラ村を訪れるまで知らなかったことだが、バオバブにはなんと実があるのだ。「バオバブの実」は想像できるだろうか。いろいろ想像してみて欲しい。りんごのようにシャクシャクと歯ごたえがある実なのか、マンゴーのように柔らかくて甘くジューシーなのか、オレンジのように酸味があるのか… おそらく普通に日本で生活していれば出会うことのない味と触感だろう。とにかく「パサパサしていて酸っぱい!」。甘さもジューシーさも無い実である。乾燥したカラッカラの皮に覆われていて、石を叩きつけてようやく割れる。中身は空洞だらけ。種の周りに乾燥した果実が少しついているだけで、味はレモンのように酸っぱい。少し食べるだけで口がカラカラになってしまう。 でも、私の感想は「なかなかおいしい」。後日調べたことだが、私の食べた実はある程度乾燥してから採ったものらしい。熟れたての実であれば皮は乾いたものよりも少し柔らかく、中身はある程度水分があるらしい。ただ、タンザニア人は乾燥した実しか食べない。タンザニアで生活している日本人の友人に勧めてみると、8割は「ん…」というコメント。あまり私の味覚は参考にしない方が良いかもしれない。でも本当においしいので信じてもらいたい。タンザニアでの食べ方は、実をそのまま食べる他に、実を粉上にして、トウモロコシの粉と混ぜて水を加えて煮込み、ドロドロのスープ「ウジ」として食べる。バターと砂糖を加えるとデザートのようになってさらにおいしい。水のみ加えジュースとして飲む方法もある。お湯でも良い。また、実に赤い着色料を加えて売られており、タンザニアでは子どもの大好物のお菓子の一つである。

農村に滞在しなければ、きっとバオバブは風景の一部として楽しむだけだったと思う。ゆっくりと散歩し、村の人と一緒にのんびり過ごせたからこそ、バオバブの実を発見できた。タンザニアで観光地を訪れるのも良いけれど、もし時間があるのなら農村での生活を満喫してもらいたい。農村へ行く時間がなければ、市場や小さな露天でバオバブの粉やお菓子が売られているので是非買って試してもらいたい。きっと素朴で心をホッとさせる味がするだろう。

(2010年1月15日)

*「Bwaga Moyo」とは、スワヒリ語で「ここに我が思いを残す」という意味です。 2005年に初めてタンザニアを訪れてからずっとこの地に思いを残してきました。 なぜこんなにも惹かれるのか… その理由を少しずつ紹介したいと思います。

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