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  • 執筆者の写真白川

Bwaga Moyo No.5 ザンジバル国際音楽祭、Sauti za Busara

川田真弓(かわた まゆみ)

2010年2月

Bi Kidude 2010年2月11日~16日、第7回ザンジバル国際音楽祭Sauti za Busara(知恵の声)が開催された。2004年から毎年2月に行われているこの音楽祭は、ザンジバルをベースに活動する文化NGOが主催しており、スワヒリ音楽の豊かさと多様性のすばらしさを多くの人に知ってもらうために始まったそうだ。地元のザンジバル、タンザニアを始め、アフリカ諸国やヨーロッパなど、世界中からアーティストが集まる。音楽のジャンルもポップ、レゲエ、ヒップホップ、メタルなどの現代音楽やザンジバルのターラブ、アフリカの伝統音楽など様々である。

 今年は、2008年に参加した親指イリンバ奏者「サカキマンゴー」に引き続き、「Fresh Jumbe & Afriacn Express」というタンザニア出身で日本で活躍しているFresh Jumbe Mkuuというミュージシャンと日本の混成バンドが参加した。日本人の参加は今年で2回目である。メイン会場は、オールドフォートで毎日午後から演奏が始まり、深夜まで続く。野外コンサートなのでお祭り気分で大変盛り上がるこの音楽祭にタンザニアはもちろん他の国からも多くの人々がやってくる。

Fresh Jumbe & Afriacn Express ザンジバルは12月10日からずっと大停電が続いていたが、ジェネレーターを使用し、オールドフォートの外に設置したため騒音もなく、特に音楽祭への影響はなかった。2日目のプログラムはジェネレーターの調子が悪く1時間ほどずれ込んだが、タンザニアで生活していれば1時間くらいあまり気にならない。観客も芝生の上に寝転んだり、ビールを飲みながら会話を楽しむなど、アーティストの演奏を気長に待つ様子だった。

 私も2007年にこの音楽祭に初めて参加し、今年で2回目である。心をときめかすようなアーティストに出会えることを楽しみに全日参加した。体調が良くなかったため芝生の上で爆睡してしまい、一部見逃してしまったアーティストもいるが、印象に残ったグループ(アーティスト)を5組紹介する。

①Bi Kidude(ビ・キドゥデ) ザンジバルの歌姫、ビ・キドゥデ。彼女なしてはザンジバルを語れないというほど有名なターラブの歌い手。来日公演の経験もある。3日目の女性だけのターラブ・グループ「Tausi Women’s」で出演するとの噂があったが、まさかの初日に登場。「Ikwani Safaa Musical Club ft Tamalyn Dallal」というザンジバルとアメリカの混成バンドの特別ゲストとして出演した。紫色の衣装に身を包み、力強い歌声で観客を魅了した。

Sosolya Dance Academy②Fresh Jumbe & Afriacn Express(フレッシュ・ジュンベ アンド アフリカン エクスプレス) タンザニア出身で日本で活躍しているFresh Jumbe Mkuuというミュージシャンと日本の混成バンド。日本人の代表は伊藤宏子さん。バガモヨの芸術大学(当時Chuo Cha Sanaa/現在Taasis ya Sanaa na Utamaduniに改名)に正規留学し、タンザニアの人間宝庫ともいえる音楽家、故フクウェ・ザウォセ氏の元でも修業された方だ。日本では「ハクナターブ」というグループで活躍中。1日目のフィナーレを飾り、タンザニア人を始め、欧米人、日本人が皆一緒になって歌い踊り大変盛り上がった。衣装や表情の作り方にもこだわりがあり、音楽や踊りだけでなく力強いパフォーマンスが好評だった。

③Mari Bonie(マリ・ボニエ) ノルウェ-のボーカル、マリ・ボニエ。彼女が歌った瞬間、下半身から上半身にかけてゾワゾワっと鳥肌が立った。人間の声とは思えないような美声の持ち主である。 歌詞の意味は聞き取れなかったが彼女の天使のような声と演奏が創り出す世界観は独特で惹きつけられずにはいられなかった。

④Sosolya Dance Academy(ソソロヤ・ダンス・アカデミー) ウガンダの伝統音楽グループ。ステージの上に出てきた瞬間から思わず彼らの迫力   に圧倒された。煌びやかな衣装と大人数でのパフォーマンス。皆自由に踊っている ようだが全員の動きがぴったり合っていて見ていて気持ちが良い。小さい子どもも1 人踊っていたが、他の大人と競えるほど機敏な動きである。最後の曲は頭の上にい くつもお皿のようなものを乗せて踊るパフォーマンスも素晴らしかった。

⑤CHIBITE(チビテ)のメンバー、Julius(ジュリアス)& Msafiri(ムサフィリ)

Julius Zawose弊社のホームページの「CHIBITEニュース」でも紹介している、CHIBITEのメンバーのジュリアスとムサフィリがそれぞれ別のグループで参加した。ジュリアスは、「Tunaweza Band(トゥナウェーザ・バンド)」というグループで、手や足が不自由な人が集まり「Tunaweza(スワヒリ語で、私たちはできる)」という決意でつくられたバンドである。普段座って太鼓を叩くのがCHIBITEでの担当だが、今回はイリンバ(親指ピアノ)とゼゼ(弦楽器)の弾き語りを披露した。ドクターザウォセの長男でもある彼の歌声は力強くもあり柔らかくもある。今までなかなか彼の歌声を公演会で聞く機会がなかったが私は個人的に一番彼の声が好きである。ムサフィリは「Best of WaPi(ベスト・オブ・ワピ)」というグループでゼゼ(弦楽器)にドラムを合わせて少し現代風にアレンジした曲を披露した。

Sauti za Busaraの詳細は以下のホームページをどうぞ。 http://www.busaramusic.org/callforartists/index.php http://www.busaramusic.org(You Tube)

 今年の感想は、地元のザンジバルやタンザニアにあまりビビッとくるアーティストがいなかったのが残念だったというのが正直な気持ちだ。良いなと感じたアーティストは他のアフリカ諸国やヨーロッパばかり。タンザニアのアーティストの音楽的才能はすごいと思うが、ステージでの見せ方、パフォーマンス力に欠ける。現代音楽を聞くのならCDで十分。伝統音楽に触れるのであれば現地に出向く方が良い。しかし、わざわざ会場に足を運んで見に来る観客は、会場の雰囲気や、アーティストの衣装や踊り、表情など視覚を満足させるパフォーマンスも期待している。元々の音楽的才能にパフォーマンス力が伴えばもっとタンザニアの音楽は活性化されると私は思う。今後に期待したい。心をときめかすアーティストに出会えることを楽しみに来年も是非参加したい。

(2010年3月15日)

*「Bwaga Moyo」とは、スワヒリ語で「ここに我が思いを残す」という意味です。 2005年に初めてタンザニアを訪れてからずっとこの地に思いを残してきました。 なぜこんなにも惹かれるのか… その理由を少しずつ紹介したいと思います。

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