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Habari za Dar es Salaam No.133   "Sensa 2012-2" ― 国勢調査2012年(2) ―

根本 利通(ねもととしみち)

 2012年12月31日(大晦日!)に、待たれていた8月26日から実施されていた独立後第5回の国勢調査「国勢調査2012年」の速報値が発表された。実施の段階でいろいろ不規則なことがあったから遅れているのかなと心配されていたが、キクウェテ大統領の新年の国民への演説のネタに使われた形となった。

📷 国勢調査2012の速報値を伝える新聞 『The Citizen』2013年1月1日号  その数字によれば、タンザニア本土の人口は43,625,434人、ザンジバルは1,303,568人で、合計44,929,002人ということである。前回(2002年)の総人口は34,443,603人であったから、約1049万人の増加である。

 年の増加率は2.7%で、前回(1988~2002年)の2.9%に比べると鈍化している。うちタンザニア本土の増加は1016万人ほどで、増加率は2.7%(前回は2.9%)。ザンジバル側の増加は32万人ほどで、増加率は2.8%(前回は3.1%)だった。

 その後しばらく報告がなかったが、3月末に詳細なデータの第一報が発表された。まずは「行政区毎の人口」である。この後、「性別・年齢別」とか「世帯別」とか、「社会開発指標別」などの報告が順次発表され、2014年3月から分析報告書が各項目別に出始めして、その6月まで計20冊の印刷された報告書が出る予定となっている。大変な作業だ。

 まず、注目のダルエスサラーム州の人口であるが、436万人となっている。前回(2002年)は249万人と少ない感じだったが、今回は本土の人口のちょうど10%を占めた。人口増加率は5.6%、人口密度は3,133人/km²とともに全国最高である。

 州毎の人口でいうと、全国30州のうち、2位はムワンザ州(277万)、3位ムベヤ州(271万)、4位カゲラ州(246万)、5位タボラ州(229万)となっている。逆に少ない方はザンジバル5州を除くと、分割新設のカタビ州の56万人が最も少なく、次いでやはり新設のンジョンベ州(70万)、リンディ州(86万)、ンジョンベ州と分割されたイリンガ州(94万)となっている。100万人以下は本土ではこれだけである。

 人口密度で見ると、ダルエスサラーム州(3,133人)に次ぐのは、やはりザンジバルの都市西部州の2,581人である。前回の調査では、ダルエスサラーム州(1,786人)、ザンジバル都市西部州(1,696人)であったから、かなり人口が集中していることが分かる。さらに南ペンバ州(588人)、北ウングジャ州(399人)、北ペンバ州(369人)と続く。本土で見ると、ムワンザ州(293人)、キリマンジャロ州(124人)だけが100人を超えている。逆に低い方から見ると、リンディ州(13人)、ンジョンベ州(15人)、ルヴマ州(22人)、イリンガ州(27人)、シンギダ州、カタビ州(共に28人)と並んでいる。 

📷 「行政区毎」の人口報告書  州毎の人口増加率を比較すると、最も高いのはダルエスサラーム州の5.6%(前回4.3%)であるが、第2位はザンジバル都市西部州が4.2%(前回4.5%)。次いで、ルクワ州、カタビ州、マニヤラ州、カゲラ州、北ウングジャ州が3.2%で並んでいる。低い方を見ると、ンジョンベ州(0.8%)、リンディ州(0.9%)、南ペンバ州、イリンガ州(共に1.1%)、ムトワラ州(1.2%)となっている。前回の調査で増加率4.8%とトップだったキゴマ州は、今回は2.4%と半減している。前回の調査には、コンゴやブルンジ難民が統計に入っていたのだろうか?

 州毎の人口密度と増加率の地図(下記)を比較してみると、必ずしも人口密度の高い州の人口増加率が高いばかりではないことがわかる。もちろん、ダルエスサラーム州、ザンジバル都市西部州は別格で、人口密度も増加率も高い。ムワンザ州は元々人口密度は高かったが、さらに人口増加も多い。カゲラ州もその傾向にある。リンディ州、イリンガ州は元々人口密度も低く、増加率も低い。これはぞれぞれ、セルー、ルアハという広大な野生動物保護区を抱えているためと思われる。

 しかし、一方で従来人口密度が低かったが、増加の激しいマニヤラ州、カタビ州、ルクワ州がある。皆、ダルエスサラームから見ると辺境というか、交通不便な土地であるが、そこでも人口増加率が高いというのは、注目に値する。それだけ希少になった土地を求めての圧力が強まっているのかもしれない。

 世帯の構成人員数でみると、全国平均は1世帯4.8人(本土は4.8人、ザンジバルは5.1人)で、前回の4.7人とほとんど変化ない。多いのはシミユ州の6.9人を筆頭に、ゲイタ州(6.1人)、タボラ州(6.0人)、シニャンガ州(5.9人)、ムワンザ州とキゴマ州(5.7人)と続く。少ない方ではムトワラ州(3.7人)、リンディ州(3.8人)、ダルエスサラーム州(4.0人)となっている。。

 性別の比率でいうと、全国平均は女性100に対し男性95である。男性の方が女性より多いのは30州のうちの2州で、マニヤラ州と南ウングジャ州である。男性の方が多いのは都市型で出稼ぎの単身者が多いと思っていたが、そうではないようだ。逆に男性比率が低いのは、ンジョンベ州88、ムトワラ州89、ザンジバル都市西部州91となっている。男性が外へ出て行く出稼ぎ率が高いのだろうか。ちなみにダルエスサラーム州は95で全国平均である。

 性別の比率の1967年のデータを見てみた。そうすると古い解釈の都市型(男性超過)と農村型(女性超過)パターンが見てとれる。アルーシャ(131)、モシ(130)、ブコバ(121)、ムワンザ(120)、ムトワラ(120)が都市型である。逆に農村型はンジョンベ(81)、シンギダ(87)、ソンゲア(89)などであった。ちなみにこの調査でダルエスサラームは123であった。これはまだ農村から都市への男性の単身出稼ぎ型は優越していたということだ。

📷 州毎の人口密度 📷 州毎の人口増加率

 都市化の問題について少し考えてみたい。前回の調査(2002年)では都市化率は23.1%となっていた(本土22.6%、ザンジバル39.6%)。ザンジバルは独立直後から都市化率が28~32%ぐらいと高かった。本土の方は5.7%(1967年)→13.3%(1978年)→18.0%(1988年)と都市化が着実に進行してきていた。今回はどういう数字が出るのか興味を持っていたが、まだ細かい分析は発表されていない。

 前回の調査で都市化率が高かったのは、ダルエスサラーム州(93.9%)、ザンジバル都市西部州(81.9%)が双壁だった。ほかの州は農村部が多く、アルーシャ州(31.3%)が第3位で、モロゴロ州(27.0%)、コースト州(21.1%)、キリマンジャロ州(20.9%)と続いていた。そして、ダルエスサラームを除く上位州が、1978年から都市化の進行が目立っている州だった。

 では、単純に都市の人口で大きい方から並べてみよう。ダルエスサラーム(436万)に次ぐのはムワンザ市(71万)である。第3位はアルーシャが42万(前回比14万増)、第4位はドドマで41万(前回比9万増)で前回と順位が逆転している。第5位ムベヤ(39万)、第6位モロゴロ(31万)、第7位タンガ(27万)となっており、ムベヤの伸び(前回より12万増)とタンガの鈍化(前回比3万増)が比較される。  ここでザンジバル市の取り扱いが微妙である。ザンジバル都市西部州で考えると59万人となり、ムワンザに次ぎ第3位の人口を持つことになる。が、本来のザンジバル市である都市県の22万のみをカウントして、タボラ市(23万)の次の第9位にしてある。しかし、通勤圏である郊外の西部県の住宅化が進み、今回は37万人と都市県を初めて上回った。実際にザンジバルに行くと大ザンジバル市という感じである。

 この西部県の人口の増加ぶりを、都市県と比較してみたのが下の表である。都市県にはいわゆる世界遺産であるストーンタウンだけではなく、ムガンボという旧来の住宅地区を含んでいる。ストーンタウン自体には区域の狭さと、住人だったアラブ系の人たちの革命後の流出により、最盛期2万人ぐらいだった人口は1万3千人くらいまで減少している。西部県は45年間で約14倍、この10年間で倍増という急増ぶりである。 1967年1978年1988年2002年2012年(都市)68111158206223(西部)273351184371(単位:千人)

 右下のグラフはタンザニアの主要都市の人口増加の様子を示している。ダルエスサラームをはじめとして、全国にちらばる主要地方都市の人口増加の状況を見てみたい。

各都市の人口の増加📷  ダルエスサラームは1967年から45年間に、人口は27万から437万と約16倍になった。正確に言うと、途中で市域の拡大があり、キガンボーニ地区などがコースト州からダルエスサラーム州に組み込まれたから、現在の市域での比較にすれば12.5倍である。

 ダルエスサラームの増加率を上回る地方都市は、ムベヤ(30.9倍)、ムワンザ(20.3倍)、ドドマ(17.4倍)、ブコバ(15.8倍)、シンギダ(15.4倍)、アルーシャ(12.8倍)である。モロゴロはダルエスサラームと同じ12.5倍であるが、やはり途中で市域が拡大している。1967年段階では小さな町に過ぎなかったソンゲア(37.4倍)、シニャンガ(31.4倍)の増加率は目立つ。

 逆に増加率が比較的少ない地方都市は、ザンジバル(3.3倍)、タンガ(4.5倍)、ムトワラ(5.3倍)、リンディ(5.9倍)、モシ(6.9倍)という順になる。南部の2都市は別として、タンガ、モシの伸びが低いのは、植民地時代にある程度形成されていた都市ということだろう。

 それにしてもタンザニアの人口増加は激しい。1967年の国勢調査の1,231万人から見ると、今回の数字は3.65倍になっている。このままの人口増加が続けば、26年後(ということは早くも2038年)にはタンザニアの人口は倍増する。つまり8,900万人になるわけだ。2050年より前に1億人を突破するということだ。

 国連の長期人口予測では、2100年にはタンザニアの人口は日本を凌駕するどころか、世界でも第5位の3億1600万人に達するというびっくり仰天の数字もあった。インド、中国、ナイジェリア、米国に次ぐ第5位である。そして人口増加率は2010年から605%というダントツの世界一(表示されている人口の多い国のなかで)だ。なんでこうなるのだろう、平和だからだろうか?

 予測はあくまでも現在の数字を使ったものだ。当然、増加率は鈍化していくだろう。そうしないと、いかに日本の2.5倍の面積を持っていたとしても、降雨量からみて可耕地が広大にあるわけではないので、食料自給が困難になってしまう。すでに農耕民と牧畜民による土地争いは始まっている。国土の約25%を占める野生動物・自然保護区も安泰ではないだろう。ンゴロンゴロ保護区やそれに隣接するロリオンド規制区では、マサイの家畜と野生動物保護との対立が報道されている。

☆参照文献☆ ・『The Citizen』2013年1月1日号 ・Population Census(1948、1957、1967、1978、1988、2002) ・2012Population and Housing Census(Population Distribution by Administrative Units 2013) ・World Population Prospects(United Nations,2010)

(2013年5月1日)

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