白川
Habari za Dar es Salaam No.24 SENSA(3) ― 国勢調査(3) 報告―
根本 利通(ねもととしみち)
2002年8月~9月の実施であったから、もう1年半も経ってしまったが、国勢調査の印刷された報告書をやっと入手できた。2003年1月発行となっているが、どうも2004年2月に出たらしい。 昨年は気になって何度か探しに行った政府の統計局の本屋さんでは見つからなかったので、もうすっかり忘れていたのだが、知り合いの日本人研究者が見つけてきてくれた。正確な発行日は分からない。
ちなみに今政府の統計局には日本のODAが入っていて、日本人専門家も複数いる。その一人の方が統計局が発行して、整理されず埋もれていた各種資料を引っ張り出してくれて、一般にも利用しやすくしてくれたようだ。非常にありがたいことで、他にもデータ入力などの指導がなされているのかと想像しているが、タンザニアでは元のデータの信憑性に疑問があり、統計がそのままでは信用できないが、でも統計なしには経済を語ることはできないという問題は残る。
報告書の要旨を紹介しよう。
(1)人口:34,569,232人(本土33,584,607人、ザンジバル984,625人 (男16,910,321人、女17,658,911人) (2)人口増加率(1988年~2002年):2.9%(本土2.9%、ザンジバル3.1%) (3)世帯数:6,996,036世帯(本土6,811,087世帯、ザンジバル184,949世帯) (4)世帯毎の人数:4.9人(本土4.9人、ザンジバル5.3人) (5)人口密度:39人(本土38人、ザンジバル400人)
人口増加率で見ると、キゴマ州(4.8%)、ザンジバル都市西州(4.5%)、ダルエスサラーム州(4.3%)、アルーシャ州(4.0%)、マニヤラ州(3.8%)の順になる。 ダルエスサラームやザンジバルといった大都市は分かるが、キゴマ州が目を引く。難民の定住化だろうか?また昨年分割されたアルーシャ州とマニヤラ州が4~5位に入っているのも面白い。マサイの居住区を分割すると反対があった地域だが、急に人口が増えたのか、それとも把握される人口が増えたのか?伸びの低いのはリンディ州(1.4%)、イリンガ州(1.5%)、キリマンジャロ州(1.6%)の順になる。
人口密度でいうと、まずダルエスサラーム州で1,793人、次いでザンジバルの各州となり、ザンジバル都市西州は1,700人、ペンバ南州(531人)、ペンバ北州(324人)、ザンジバル北州(291人)となる。本土でダルエスサラーム州に次いで密度が高いのはムワンザ州(150人)、キリマンジャロ州(104人)である。逆に密度が低いのは、リンディ州(12人)、ルクワ州(17人)、ルヴマ州(18人)の順になる。
都市人口の比較は難しい。どこまでを都市と規定するかは正確に調べないといけないのだが、国勢調査では、都市(Urban)と表記された県を取り上げて比較してみた。ただし、ダルエスサラーム州は3県に分けられるが、これはまとめてダルエスサラーム市として扱った。 (1)ダルエスサラーム:2,497,940人 (2)ドドマ:324,347人 (3)アルーシャ:282,712人 (4)ムベヤ:266,422人 (5)タンガ:243,580人 (6)モロゴロ:228,863人 (7)ムワンザ:210,735人 (8)ザンジバル:206,292人
以上が20万人以上の都市である。ドドマ市は「首都」という体裁のために実力以上に出ているかもしれない。つまりドドマ市域は広いのだが、市街化は進んでいなくて、この国勢調査には、県の下の単位の郡を市街化のレベルに応じて「Urban」「Mixed」「Rural」に分類しているのだが、Urbanは30郡の内8郡に過ぎず、Ruralと分類されているのが16郡もある。 ザンジバルなどは40郡(地区)に分けられているが、全部Urbanである。また上記で少なく出ているのはムワンザであろう。実は100%Urbanであるニャマガナ県の数字を挙げたが、元々ムワンザ市を構成していたイレメラ県を合わせると47万都市となる。
他で名のある都市は、モシ(14万)、ソンゲア(13万)、イリンガ(10万)、タボラ(18万)、キゴマ(14万)、ブコバ(8万)、ムソマ(11万)といった感じになる。私の感覚ではタボラ、キゴマの数字が多いが、これはドドマと同じく市域の設定の関係かと思われる。
(2004年4月1日)