top of page
検索
  • 相澤

Habari za Dar es Salaam No.39   "Serengeti in Rainy Season" ― 大雨季のセレンゲティ ―

根本 利通(ねもととしみち)

 (先月の「大地溝帯を行く」の続編です)

 ナトロン湖から大地溝帯をよじ登って、セレンゲティ国立公園のロボ地区に入った。豪雨の中、必死に走って何とか昼食に間に合ったロボ・ワイルドライフ・ロッジは、昼食を摂っている国立公園の役人はいたものの、泊まりは私たち一行9人の貸切だった。ロッジはコピエ(岩山)を利用した造り(セロネラ・ロッジも同じ)で、ハイラックスがよく見られる。明るい造りで魅力的なのだが、このロボ地区は野生動物が少ないせいか、余り人気がない。

📷  私たちが行った時も、大雨季のせいで草丈が高く、ヌーやガゼルのような草食獣はいなかった。キリン、シマウマなどに時々出くわすだけ。期待しないでロッジの周りを走っていると、車の前を若いオスのライオンが横切る。その向こうには6頭ほどのシマウマの群れ。確かに草丈は高いが匍匐前進するでもなく、堂々と歩いてゆく。オスの後方には、メスが4~5頭見える。これは失敗するな、ほれ見ろ、シマウマたちが気が付き、身を翻そうとした瞬間、逆方向からやはりメスが4~5頭姿を現し、一斉にシマウマを追った。あっという間にシマウマが倒され、ライオンが殺到する。至近距離でハンティングを見て興奮する。ライオンたちが血まみれになって肉を食う音、すぐ骨をバリバリかみだす音が聞こえる。ざっと数えて14~15頭、これはシマウマ1頭では足りまい。先ほどの包囲網を敷いたハンティングは複数のシマウマ狙いだったのかもと見るうちに、ジャッカル、ハゲコウ、最後にはハイエナもやってきたが、果たして食べるところが残ったかどうか。物音に驚いて、ライオンがいったんワッと散った時に数えたら、なんと20頭もいた。

 セロネラ周辺にも動物がそれほど多くない。ハーテビースト、トピといったレイヨウ類は見かけた。雨は思い出したように降り、夕方には雷雨になったから急いでロッジに向かう途中、ゾウの大群(約60頭) を見かけた。セロネラ周辺に動物、特にヌーを見ないのは、雨が遅れたためだという。翌日はランチボックスを持って、ヌーを探しに一気に南下する。

 セロネラから、モル・コピエの脇を抜けて南下する。ヌーの100頭くらいの群れに出くわすが、未だ主力ではない。どんどん南下すると、100頭単位で移動する群れに遭う。ヌーの一列行進がサバンナの中を行く。ぽつんと大きな樹があり、その下にライオンの数頭の群れが昼寝している。ヌーの一列もライオンの群れも無関心だ。そのヌーの群れが遠ざかっる時に、最後尾にいた子どものヌーがどういうわけか隊列からはぐれる。しばらく母親らしいヌーが後ろを振り返ってみているが、やがて隊列に戻る。はぐれ子どもヌーは方向を失いひたすら走る。「あれは今晩のハイエナの餌だ」とガイドはつぶやく。

📷  本道に戻り、ナービ・ゲートを目指す。道路脇に寝ている立派なたてがみのオス・ライオンとメスが3頭。またライオンかと飽きつつもしばらく眺めていると、1頭のメスがちょっと移動して、オスが付いて行って交尾。堂々と早い。ナービの手前で一面シマウマだけが1万頭はいるかと思える大群。ヌーの大群に混じったシマウマはたくさん見たが、シマウマだけの構成の大群は初めて。

 ナービ・ゲートからそのまま本道を出ずに、左折してゴル・コピエに向かう。とマイグレーションの本体かと思われるヌーの大群に遭遇する。一面にヌー、混じってシマウマ、ガゼル、なだらかな斜面に数万頭が広がる。その中をエランドの大群を見かける。エランドは逃げるから追っても追いつかない。150頭まで数えて諦めたが、200頭の大群と呼ぶことにする。こんな大群はもちろん初めて。縦隊で逃げていくエランドの巨体が美しい。

   その後、ゴル・コピエでランチボックスを使い、セレンゲティからンゴロンゴロへサバンナを突っ切る。この地区は特別許可料を払えば、ラフロードを走れる。グランツ、トムソン・ガゼル、チーター、ジャッカルなど眺めながら、3月には鉄砲水でサファリ車両が流されたというオルドヴァイを横に見て、ンゴロンゴロへ登りだした。ンゴロンゴロの手前のサバンナも、未だマイグレーションの残留部隊がいて、マサイの牛、ロバと混じって草を食んでいた。

📷  実は大雨季のセレンゲティは初めてだった。スタックとか草丈の高さが嫌で出かけたことはなかった。このサファリの前に、ベテランの人に言ったら、「雨季のサファリは格別です。至る所でハンティングに出くわすでしょう。ハイエナは周囲えさだらけで丸々していることでしょう」と返事をもらったのだが、正しくそうだった。

 ンゴロンゴロがコンパクトに美しく、動物たちも幸せそうなのだが、余りにも車に慣れていて、ヌーやシマウマ、トムソンガゼルすら逃げないのにはややガッカリした。「サファリパークだ」と日本からの観光客がつぶやく。彼らは携帯で撮れるヌーを楽しんでいた。サイもヒョウも見られたし、フラミンゴもピンクが綺麗に映えて、楽園であった。

 マニヤラ湖は森林が、1998年のエルニーニョで湖が増水して、枯れてしまった樹木が点々と残っていてサバンナが広がっていた。動物数は少ない。やはり、セレンゲティよ、永遠なれという感を強くした大雨季のサファリであった。

  おまけの写真もあります。→

(2005年7月1日)

閲覧数:0回0件のコメント
記事: Blog2_Post
bottom of page