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Habari za Dar es Salaam No.43   "Uchaguzi Mkuu 2005(4)" ― 2005年 総選挙(ザンジバル)―

根本 利通(ねもととしみち)

📷   一昨日(10月30日)に総選挙が行なわれた。複数政党制になって3回目の総選挙である。  というニュースを送る予定だったが、3日前(10月28日)に延期になってしまった。その前夜、野党CHADEMA(民主開発党)の副大統領候補が亡くなったのだ。タンザニアでは正副大統領候補のセットで選挙運動している。副大統領候補というのは名目的にはNo.2だが、儀式的な要素があり、あまり誰も気にしない。大統領候補が本土から出れば、副大統領候補はザンジバル出身者が多い。 ともあれ、亡くなった方の名前をほとんどの人は知らず、大統領選挙の行方に大きな影響はないと思うが、法の規定から言ったら選挙はできない。従ってCHADEMAは副大統領候補を選出しなおすことになり、その期限が11月18日、総選挙は12月18日となった。

 延期と聞いたとき、感じたのはただでさえ資金不足の野党は後1ヵ月半の選挙運動の延長に耐えられるのだろうかということである。また、貧しいタンザニアに選挙費用負担が増えたなということもある。

 ただ焦点のザンジバル大統領選挙とザンジバル国会選挙は予定通り行われた。ザンジバルは今回のザンジバル政府と12月18日の連合政府と2回選挙を行うことになった。選挙を分断するのは実は政権側に有利と思われるのだが、CUFはザンジバルでの選挙実施を主張したという。果たして吉と出るだろうか?

📷   ザンジバルでの焦点は、連合政府の大統領選挙ではなく、ザンジバル政府の大統領選挙である。アマニ・カルメ現大統領(CCM)が再選を目指すのに対し、三度セイフ・ハマド元ザンジバル政府首相(CUF)が挑む。今回野党統一候補ではなく他に4人野党の候補者はいるが、実質的には一騎打ちである。ザンジバルの中で冷遇されているペンバ島の星、若くしてザンジバル政府No.2まで上り詰め、その後一転して投獄されるなどを経たハマドの顔には政争の厳しさ、星霜が感じられる。ハマドも三度ということで新鮮味はなく、大きな期待はない。ただ9月5日に始まったザンジバルの選挙戦で、度重なるCCM支持者とCUF支持者間での衝突があり、死傷者が出ているのも事実である。相変わらずCCMとCUFはお互いの「陰謀」説を唱え、泥仕合をしていた。

 また投票用紙のザンジバル到着が遅れ、CUF側が「陰謀だ」と騒ぎ、ザンジバル選挙委員会が選挙結果の発表を、従来の本部一括発表から投票所毎に変更したりした。これで選挙の公正さがより透明になるかと期待されている。ザンジバル政府側も、国際監視団に三度「不公正」と断定されることは避けたいはずだ。

📷 さて、一昨日、朝からテレビを見ていたが、ザンジバルでは大きな騒乱、流血事件はなかったように見えた。ペンバの投票所で開票集計用紙がなくて、投票所の開場が遅れたとか、ザンジバルのストーンタウンで投票所に名前がなかったというニュースが散発的に流れた。が、前回のような投票用紙の不足を理由にした再選挙もなく、選挙は終了した。今は開票結果を待つのみである。

 投票翌日の新聞を見ると、投票するカルメ、ハマド両候補の写真と並んで、血を流した男の写真が一面を飾っていた。テレビでも逃げ惑う人びと、若者(子どもといっていい)が機動隊に押さえ込まれているシーンが映し出される。ストーンタウンでは警官隊とCUF支持者の間の衝突があり、機動隊が催涙ガスを発射し、数名負傷、十数名逮捕という記事、CUFの幹部が誘拐され軟禁状態という記事、ストーンタウンに大量の輸入投票者が運び込まれた話などなど。開票の最初はハマドが圧倒的にリードしていたのが、開票が進むに連れ、カルメが逆転した事が伝わるや、ダルエスサラーム市内でも不穏な情勢にになり、下町のカリアコー地区を中心にデモが起こった。車に火がつけられ、機動隊が催涙ガスを発射したという情報が流れ、街中の交通が一時マヒする。「またか、CUFは」といううんざりした人びとの顔。

 今日(1日)朝にはほとんどの選挙区の結果が出ていた。CUFはペンバの全18選挙区で圧勝した。1995年の選挙の再現である。ただ当時はペンバの割り当ては21選挙区だったが。ウングジャ(ザンジバル)島には32選挙区が割り当てられているが、その内30選挙区をCCM、CUFは1選挙区で、残り1選挙区(Dole)は再選挙になった。

 夕方になって接戦だったザンジバル大統領選挙の結果が発表になった。CCMのカルメの勝利。ハマドは三度涙を呑んだ。伝聞では53%対47%とのこと。1995年が51%対49%で、不正の効果が強く疑われたが、今回はどの程度の票差だろう。単純計算では2万5千票くらいだろうか。このままではCUFは収まるまいと思うが、かといって決定的な不正の証拠は出ないと思うから、このまま認めざるを得ないだろう。再度、無駄な若者の血が流されないことを祈る。

(2005年11月1日)

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