• 白川

Habari za Dar es Salaam No.64   "Budget 2007/8" ― 2007/8年度予算発表 ―

根本 利通(ねもととしみち)

 今年は6月に入っても雨は続いた。6月3日にダルエスサラーム日本人会の運動会が開かれたのだが、8時過ぎからぽつぽつと降り出し、9時過ぎには激しい降りになり、見る見るうちにグラウンドが水没していった。ちょっと放置しておいたテント設営のために使ったトラックはスタックしてしばらく動けなかった。それでも日本人は屋根の下のバスケットコートで、運動会を強行してしまうからすごい。見ていたタンザニア人は呆れただろうか?

 私のええ加減な記憶では6月に入っても大雨季が続いていたのは、20年間に2回くらいである。今年は3回目?でこれだけ降ったらダムの水位も十分で、計画停電は当分ないだろうと期待される(さすがに今年はないとは言わない)。心配されていたビクトリア湖の水位も、この8ヶ月で1.2m回復(上昇)したという。

📷  6月14日(木)に新年度予算案の発表があった。タンザニアの会計年度は7月1日~翌年の6月30日で、毎年6月の第二木曜日に予算案が発表される。これはお隣のケニア、ウガンダも同じである。この後、国会で予算案が審議される。各省庁毎に行われるから、7月末まで1ヵ月半の長期国会になる。この間ダルエスサラームにある省庁の役人もドドマに出張するから、役所での許認可も遅れるし、また各役所に予算がないから、仕事もなかなか進まないことになる。

 まず、数字面から見てみよう。2006/7年の会計年度の総括から。    (1)GDPの成長は5.9%(2006年)、7.3%(2007年)    (2)インフレ率は2007年6月末で4.0%(2001年ベース)    (3)GDPに対する国内の歳入は14.5%。    (4)外貨準備は5ヶ月。

 2006/7年の当初予算案は、4兆8506億シリングであった。政府が使っている正確な為替レートは分からないが、3億8500万ドルくらいだと思われる。年度末の歳入予定は、4兆7694億シリングということだから、予定の98.3%の歳入だったわけだ。ただし国内の歳入は2,419億シリングの増収になっている。

📷  さて2007/8年度の予算案だが、6兆668億シリングとなっている。27.2%の大幅な伸びである。対$の為替レートはこの1年ほとんど変わっていないから、$建てでも大幅な伸びになる。どうしてこういうことが可能なのか?経済は比較的順調に見えるが、好景気というわけではない。だいたいがタンザニアの政府予算は常に歳入欠陥である。2006/7年度予算案でも、国内の歳入予定は2兆4610億シリング、予算案の50.7%に過ぎない。残りは外国からの援助(22.4%)、借款(16.7%)、国内からの借入(3.4%)、債務免除(6.8%)で構成されている。

 今年度は国内の歳入予定が3兆5026億シリング(58.0%)、援助が24.5%、借款が14.1%、債務免除が3.4%となっており、国内からの借入を全廃する方針である。国内の歳入予定が3兆5028億シリングで、昨年度決算と比べ7997億シリングの増収がないといけない。昨年比29.6%の増収というのはかなり強気というか無茶な案ではないか?

 どこで増収を図るかという点だが、新たな増税案として2392億シリング収入増という数字が出ている(残りの5605億シリングは自然増なのだろうか?)。その内訳は酒、炭酸飲料、タバコ、石油関係の諸税の増税で344億シリング。道路整備基金としてガソリン、軽油の一律1リットル100シリングの値上げで1092億シリング。さらに車両の登録料のアップで605億シリングというのが主要な柱である。一部低所得者の所得税減税がある。

📷  さて歳出の方であるが、現在進行中のMKUKUTA(成長と貧困削減のための国家戦略)に沿って、重点は教育、インフラストラクチャー、農業、保健、給水の5部門に置かれている。具体的な数字でいうと、教育は予算案の17.9%、道路は12.8%、保健は9.7%、農業は6.2%。給水は5.1%を割り当てられている。

 内閣の責任者であるロワッサ首相が6月25日に国会で基調演説をし、その後の論議で明らかになったのは以下のような内容である。まず最重点の教育であるが、2002年からの5年間で小学校就学者が200万人増えたという。その上で、7,000人の新教員の雇用、2,183の教員住宅の建設、46,000人の貧困家庭の学生の授業料免除、500校の中学校の新登録などが挙げられている。

 また、インフラストラクチャー部門では幹線道路の建設・舗装、中央鉄道の整備、空港の近代化がそうだが、現実には現在建設中の道路の財源すら不足しており、新年度に予算配分が増やされても、新たな道路建設プロジェクトは始まらないという。今年度建設予定の舗装道路は527.5kmだそうだ。キゴマ~スンバワンガ道路、キロンベロ橋、ダルエスサラーム外環状線などが後回しになりそうである。現在運休中のダルエスサラーム~ドドマ間の中央鉄道の再開通はある模様だ。保健部門では2010年までに各地区(Ward)毎に保健センターを配置する。11の州病院の改善などが挙がっている。

 農業生産は2006/7年度は1,102万トンの穀物生産があり、国内需要の112%だったという。農業部門では灌漑が強調され、2000haの新たな耕地の開墾が目標とされる。マニヤラ、タボラ、シンギダなどに16の小規模ダムの建設が計画されている。2,500人の農業普及員の雇用、89,000トンの肥料、3,000のトウモロコシとキビの改良型種子、1,000万の紅茶とコーヒーの種子の配布などが挙げられている。給水に関しても首都圏(ダルエスサラーム周辺のこと)だけではなく、全国的に開発調査が始まっているようだ。

 予算案では特に強調されていなかったように感じるが、地方分権化という流れも続いている。タンザニア全土には21州があるが、その中で「辺境」とみなされる6州(キゴマ、リンディ、ムトワラ、ルクワ、タボラ、ルヴマ)への割り当てが増やされるという。タンザニア政府の予算案には「通常予算」と「開発予算」があるのだが、その開発予算の割り当てが増え、州の病院などが改善される。ただ地方分権化の流れの中で、新しい州、県、郡、地区、村の設立要請が485件もあるようだが、その費用を鑑みて、段階を追ってする必要がうたわれている。

 優先分野があるということは一方で優先順位が低い分野があるということである。例えば共同体発展・性・子ども省への割り当ては全体の0.18%に過ぎす、省としても過去2年間で14%削減となっている。

📷  予算案発表の翌日(15日)の新聞の朝刊のトップは英語紙、スワヒリ語紙を問わず、予算案のことである。「Daily News」は政府系の新聞であるが、「予算案は生活費を引き上げる」とトップでうたった。翌日は「予算案は自力更生を求める」となった。自力更生はウジャマー時代の重要なスローガンだったが、今は政府にも国民にも別の意味で自力更生を求めるようになるのだろうか?

   今回の予算案の特徴は車両関係の大幅アップである。まず石油関係のExercise Dutyが上がった。道路使用税といって道路建設の財源に充てる課税がガソリンと軽油の1リットルにつき100シリングあったのだが、それが倍の200シリングになった。さらに車両登録費用が、今まで1年20,000シリングだったのが、3段階に分けられ、1,500cc以下は8万シリング、1,500~5,000ccは23万シリング、5,000cc以上は10万シリングとされた。一般の車はなんと10倍以上の値上げである。数年前までは最初に登録すればよかったので、毎年更新になっただけで増税と感じたのだったが、とんでもない値上げである。

 石油関係の値上げは、交通費の値上げ、ひいては物流のコストのアップを意味し、地方から来る食料品が値上がりすることになる。従って国民からの不満は強かったが、この予算案の税収の増収の幹である石油関係は変更しないと政府は最初から強硬だった。軽油のExercise Dutyの4シリングの値上げが撤回され、また車両登録費用が3段階から5段階になり、小型車の費用が下げられたものの、その分中型車(2,501~5,000cc)の分が33万シリングにアップされるという微小な修正はあったものの、6月22日予算案の大枠は通過した。賛成234票、反対36票であった。

 その後、地方のバスがまず値上げをし、ダルエスサラーム市内のダラダラもゲリラ的に値上げしていたが、7月20日には地方、市内のバス、ダラダラの運賃20%アップが正式に認められた。これからインフレが加速するのではないかと心配される。

(2007年8月1日)

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