• 白川

Habari za Dar es Salaam No.76   Budget 2008/9 ― 2008/9年度予算案 ―

根本 利通(ねもととしみち)

 6月12日に新年度予算案がムクロ蔵相(Msutafa Mkulo)によって発表された。ケニア、ウガンダの新年度予算案発表も同日である。この間、ミクミ国立公園でのテレビロケに行ったり、日本に一時帰国していたりしたので、新予算案の概要、問題点、議論を把握していなかった。週末に、新聞をまとめて読み返した。日本ではTICAD Ⅳ、そしてその後洞爺湖サミットでアフリカの問題は大きくクローズアップされたはずだが、果たしてタンザニアの経済の現状はいかがなものか?

📷  まず予算案の大枠を見てみよう。  (1)今年度の歳出:7兆2160億シリング(前年度比18.9%増)    ・通常予算:4兆7260億シリング(前年度比24.5%増)    ・開発予算:2兆4900億シリング(前年度比13.1%増)  (2)今年度の歳入     ・国内の税収および非税収入:4兆7280億シリング(前年比35.0%増)    ・海外からの借款、贈与、援助:2兆4300億シリング(前年度比3.2%減)    ・NMB株売却益:580億シリング

 国内の歳入の占める比率が、2006/7年度予算案では50.7%、2007/8年度は58.0%だったが、今年度は65.5%とさらにアップし、外国への依存率の低下、財政の健全化が進んでいると見ることができるようだ。GDPの成長率は2007年は7.1%、インフレ率は7.0%とされる。 今後4年間の経済成長率を平均7.8%、インフレ率を7.0%以下に押さえ込むことが目標とされている。(ただし2008年4月のインフレ率は9.7%)

 2007年の経済成長を部門別に眺めると、通信部門の20.1%が最大で、次いで鉱業(10.7%)、金融(10.2%)、商業(9.8%)、建設業(9.7%)、保健(8.8%)、製造業は8.7%、農業は4.0%とされる。個人所得はTsh548,388で、前年比14.6%の大幅な伸びである。US$換算は難しいが、この統計局の数字($1=Tsh1,277.4)を使うと$430ということになる。2008年8月現在のレートは$1=Tsh1,160である。 

 さて新聞(Daily News)の掲げる予算案のハイライトを見てみよう。    ・ガソリン、ディーゼルに増税なし。工業用重油は減税。   ・車両登録料、道路通行許可料見直し。    ・ビール、ワイン、ソフトドリンクは増税。   ・タバコも増税。    ・携帯電話会社も増税。   ・輸入農具に対する減税。   ・教育とインフラに重点歳出。

📷 車両に関して言えば、昨年大幅に引き上げられた年間の登録料が引き下げられた。特に2,500cc~5,000ccのカテゴリーは33万シリングから14万シリングに引き下げられた。 昨年の大幅アップが不評だったし、石油代の高騰もあるから、車両利用者にはほんのちょっぴりの朗報だろう。

 歳出を部門別に見ると、教育部門が最大で1兆4304億シリング(前年比31.7%増)。インフラ(道路)が9733億シリング(同25.2%増)。保健部門が8038億シリング(同36.3%増)。農業が4600億シリング(同21.4%増)。エネルギー鉱山が3834億シリング(同8.3%増)。水が2306億シリング(同25.4%減)。ここまでが重点6部門で、唯一予算が減少しているのは水部門だが、これはシニャンガ、カハマ地区の巨大な(350億シリング)プロジェクトが完成したためで、重点が落ちたわけではないと説明されている。 

 重点部門に大幅な増加が見られるということは、そうでないとみなされた部門への割り当ては減っているということになる。具体的に見ると、畜産開発水産、労働雇用青少年育成、情報文化スポーツ、地域開発女性などの省庁の予算割り当ては微々たるものになると思われる。予算案では省庁毎ではなく、部門毎に発表されているので、正確な数字は今後のことになるが、同じ省庁といっても、予算規模では大きな格差がある。 

 個人の所得税減税も提案されている。従来最低課税限度は月8万シリングだったが、それが10万シリングに引き上げられる。また、その上の区分が、従来は18万、36万、54万シリングだったのが、それぞれ36万、54万、72万シリングと引き上げられた。ただ、所得自体の上昇を勘案すれば、微小な減税だろう。

📷  さて、この予算案に対する評価であるが、政府系の「Daily News」ではなく、ケニア系の「East African」(6月16日付け)はこう述べている。「タンザニアは自分の身の丈で生きる」 

 2007/8年度のタンザニア経済はうまくいった。歳出が予算を超えることはなく、昨年度予算で公約した国内借り入れゼロを達成し、余剰(2億8220万USドル)をもって終わりそうだ。これは一部の税率は下がったにもかかわらず、タンザニア国税(TRA)の努力により税収が増えたこともあるが、海外からの贈与、借款が大幅に増えたことにも依っている。海外依存をこのまま続けるわけには行かないので、タンザニアは国内歳入をふやす健全な方向に向かっていくだろう。

 ただ、免税対象の削減など、TRAによる増収の努力は身近に感じることは出来るが、依然抜け穴は多く、公平な税負担という感覚には程遠いように感じられる。取りやすいところからとって目標値を達成するという感もある。また近年観光振興のために、空港での検査は緩やかになり、たかりのような言いがかりは少なくなって来ていたが、8月に入り、旅行者の日常薬に「安全保障上、禁止されている」と賄賂を要求する例も出てきた。空港入国は観光客にとっては第一印象である。TRAの動きが、実際には小役人の懐を潤すことのないよう望みたい。 

 実は、下級役人の小さなたかりなどは目先の問題に過ぎない。予算国会の時、火力発電所を巡って前首相他の辞任にいたったリッチモンド・スキャンダル解明の急先鋒であった国会議員が、「呪われて」入院するという騒ぎがあった。ドドマの国会議事堂で、夜間ある複数の人間が議事堂のその議員の席に白い粉をばらまき「呪術」行為を行ったという噂が出て、国会内に究明委員会が出来たという何ともお笑いのような(?)報道もあった。でもそれ以外に、累積外債返済を巡る前大統領だとか、政府高官を含んだ巨額なスキャンダルが常にくすぶっているのが現状である。 

 おまけとして、6月18日に発表されたザンジバル政府の予算案を見てみよう。総予算3417億800万シリングだから、タンザニア連合政府の予算の21分の1程度の規模である。ただ人口規模で言えば34分の1であるから、それなりに大きいというべきか。歳入は1345億シリングの予定で予算の39.4%しか自力の収入がない。つまり外部依存率が高いわけだが、内部の収入の中に占める観光収入の比率を考えると外部依存率はさらに高いように思われる。ザンジバルは昔から商業立国であり、輸出入に頼り、その関税も抜け穴が大きいことで有名だったから、今後どういう道をたどるのだろうか?経済成長率は昨年は6.5%、今年の目標は6.8%とされている。 

(2008年8月3日)

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