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  • 執筆者の写真白川

Harufu ya Karafuu 第3回 初めてのラマダン

森田さやか

ザンジバルの友人、ムゼー。弊社で手配する ザンジバルでのツアーガイドやドライバーを引き受けている10月3日水曜日、弊社のドライバー・アーサーと私はお客様のお出迎えのため、タンザニアの世界への窓口、ジュリウス・ニエレレ国際空港にいた。 アーサーは売店の隅っこでひっそりと水を飲んでいる。私の顔にクエスチョンマークが出ていたのか、彼はさわやかな笑顔でこう言い放った。「イスラム教徒の人達がいる前で堂々と水を飲むのは良くないからね」。アーサーはキリスト教徒である。その言葉にえらく感心した私は、アーサーの隣でこれまたひっそりと少しだけ水を飲んだ。そして異教徒の慣わしを尊重しようとする人の姿を間近で見て、心がとても温かくなった。

 そう、この時はイスラム暦第9月、ラマダンの真っ只中だったのだ。今年のラマダンはタンザニアでは9月13日に始まった。この第9月の30日間、日の出から日没まで断食は続けられる。

 日本にいるイスラム教徒の人々がラマダンをしている姿もいつかテレビで見たことがあるが、日本でラマダンを意識して生活している日本人はほとんどいないのではないかと思う。私もそうであった。テレビやインターネットでラマダンが始まったことを知っても、その後はそれを忘れていた。

 しかしダルエスサラームに住んでいる今年は毎日ラマダンを意識していた。今まで日本以外の国でラマダンを経験したことがなかった私は、オフィスで、町で、どのように振る舞っていいのかわからず、正直始めはとまどっていた。断食をしているスタッフの前で水を飲んでいいのかな、従業員のほとんどがイスラム教徒の取引先に行く時は食べ物の話はしない方がいいかな(いつもそんな話をしているわけではありません)、などということを常に頭のどこかで考えていた。

友人ムゼーが話した、教会とモスク。 二つが近くに並んでいるのが見える ただそれは、私の考え過ぎであったのかな、と今は思う。少なくともダルエスサラームでは外でも食べ物、飲み物が売られている。イスラム教徒の人々の前でもみんな堂々とソーダを飲み、食事を取っている。しかも目の前で他の人が飲食をしていてもイスラム教徒の人々はそれを全く気にしていないように見えるのだ。私はそんな光景を見て驚いた。

住民の90%以上がイスラム教徒のザンジバル島がある。たまたまこのラマダン中にザンジバルのストーンタウンを訪れる機会があった。ザンジバルに行くことを告げると、友人達にどうしてラマダン中に行くんだと責められた。今ザンジバルに行ってもなんにもおもしろくないよ、昼間は店が閉まっているし、外で水を飲むことも許されないんだと言う。「ラマダン中のザンジバルなんて今度はいつ行けるかわからない、良い経験じゃないか」と私は反論してみた。ところが実際ザンジバルに着いてみるとどうだろう。外で飲み物は売られているし、観光客だけでなく、水を飲んでいるタンザニア人もいる。それはストーンタウンがタンザニアの中でも一番と言っていいほどの観光地になっているからかもしれない。

“今日はラマダン28日目”と書かれている。 月や星がかわいらしいしかしイスラム教徒の友人は、「ザンジバルはたくさんの異教徒が仲良く暮らしている島なんだ。教会とモスクが近くに建てられているだろう?すぐ隣にはヒンドゥー教のお寺もあるよ!」と自慢げに話していた。ラマダン中にイスラム教徒の前で飲食をするのがいいのか悪いのかは言明できないが、彼らはお互いの宗教を尊重し合っているのだと感じた。彼らが心の中で本当はどんな風に感じているかはわからない。もちろんぶつかり合うことあるのだろうが、お互いに尊重理解し合おうとしている人々を実際に見ることができて嬉しかった。

この文章はラマダンが明けるか明けまいかという日に書いている。タンザニアではラマダンが明けた次の日とその翌日が祝日になるのだが、それが明日からなのか明後日からなのかはまだわからない。メッカの月が満月になればラマダンは終わるのだ。月だけがその答えを知っている、そんな祝日もロマンチックでいいのではないかとのんきな私は考えている。

                          (2007年10月15日)

  ☆Harufu ya Karafuu(クローブの香り)は、とてもいい香りで多くのタンザニア人は好きだとか…。 森田さやかがタンザニアの良い部分、ステキな部分を書いていきます。

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