白川
Harufu ya Karafuu 第3回 初めてのラマダン
森田さやか
そう、この時はイスラム暦第9月、ラマダンの真っ只中だったのだ。今年のラマダンはタンザニアでは9月13日に始まった。この第9月の30日間、日の出から日没まで断食は続けられる。
日本にいるイスラム教徒の人々がラマダンをしている姿もいつかテレビで見たことがあるが、日本でラマダンを意識して生活している日本人はほとんどいないのではないかと思う。私もそうであった。テレビやインターネットでラマダンが始まったことを知っても、その後はそれを忘れていた。
しかしダルエスサラームに住んでいる今年は毎日ラマダンを意識していた。今まで日本以外の国でラマダンを経験したことがなかった私は、オフィスで、町で、どのように振る舞っていいのかわからず、正直始めはとまどっていた。断食をしているスタッフの前で水を飲んでいいのかな、従業員のほとんどがイスラム教徒の取引先に行く時は食べ物の話はしない方がいいかな(いつもそんな話をしているわけではありません)、などということを常に頭のどこかで考えていた。
住民の90%以上がイスラム教徒のザンジバル島がある。たまたまこのラマダン中にザンジバルのストーンタウンを訪れる機会があった。ザンジバルに行くことを告げると、友人達にどうしてラマダン中に行くんだと責められた。今ザンジバルに行ってもなんにもおもしろくないよ、昼間は店が閉まっているし、外で水を飲むことも許されないんだと言う。「ラマダン中のザンジバルなんて今度はいつ行けるかわからない、良い経験じゃないか」と私は反論してみた。ところが実際ザンジバルに着いてみるとどうだろう。外で飲み物は売られているし、観光客だけでなく、水を飲んでいるタンザニア人もいる。それはストーンタウンがタンザニアの中でも一番と言っていいほどの観光地になっているからかもしれない。
この文章はラマダンが明けるか明けまいかという日に書いている。タンザニアではラマダンが明けた次の日とその翌日が祝日になるのだが、それが明日からなのか明後日からなのかはまだわからない。メッカの月が満月になればラマダンは終わるのだ。月だけがその答えを知っている、そんな祝日もロマンチックでいいのではないかとのんきな私は考えている。
(2007年10月15日)
☆Harufu ya Karafuu(クローブの香り)は、とてもいい香りで多くのタンザニア人は好きだとか…。 森田さやかがタンザニアの良い部分、ステキな部分を書いていきます。