Harufu ya Karafuu 第7回 ムワンザへの小旅行
森田さやか
ムワンザの象徴、ビスマルクロック タンザニアの航空会社にプレシージョン航空という会社がある。タンザニア国内中に飛行機を飛ばしており、弊社も毎日のように予約をし、航空券を購入している。そんなプレシージョン航空が土日1泊2日で行くムワンザ旅行へJATA Toursから1名を招待してくれた。プレシージョンは4月末に新しくボーイングを1機購入し、このボーイングがダルエスサラーム-ムワンザ間を飛ぶので、そのプロモーションも兼ねてのご招待だった。いつもプレシージョン航空に予約をしたり航空券を買いに行ったりしているヤウミ(弊社スタッフ)が行けば一番いいと思っていたのに、「用事があるから行かない…」と言い、いろいろあって私にチャンスが回ってきたのでこれは行くしかない!ということで行ってきた。
メンバーは普段からプレシージョン航空をよく利用しているという各旅行代理店から1名ずつ招待された15名に加え、プレシージョン航空のスタッフ1名、総勢16名。さすが旅行業界で働いている人たちだけあって、みんな時間通りに空港に集合。
サーナネ島での散歩を終え、休憩を取るみんな私はうっかり自分の身分を証明するものを忘れてしまい、みんなに「おいおい、さやかがこれじゃお客様にしめしがつかないじゃないか~」と笑われながらも身分はわかっているということで許してもらった。チェックインを終えみんなで待っていたが、間もなくフライトの遅れを知らせるアナウンスが流れた。1時間遅れということだったけれど、私達は結局1時間半遅れでムワンザへ出発した。乗れると思っていたボーイングは帰りに乗ることになった。予定は狂うばかりだが、タンザニア人のおおらかなこと。安全が第一だから遅れても仕方がないと言いながらおしゃべりをし、あっと言う間に時間は過ぎてしまった。
約2時間のフライトを終え、やっと到着したムワンザ。私個人としては学生時代に一度訪れただけの町だったので、非常に楽しみであった。ムワンザに到着した途端、メンバーの女性一人が急におしゃべりになった。彼女はムワンザの出身らしく、迎えに来てくれていたマイクロバスでムワンザの町へ向かう車中ずーっと一人でしゃべっていた。「この道をずっと真っ直ぐ行くと私のおばさんちがあるのよ!」「ここは○○教会よ!」「私が通った小学校よー!」…。ムワンザオフィスにいるプレシージョン航空の人が私達を案内するために同行してくれていたのだが、彼の出番は全くなし。彼女の案内を聞きながらホテルに到着した。
少し遅い昼食を食べた後、ムワンザからボートで30分ほど、ビクトリア湖に浮かんでいるサーナネ島へ行った。用意してもらったビールやジュース、水などを各自持ち、島の中に作られたハイキングコースを歩く。サーナネ島ではライオンとハイエナが一頭ずつ檻に入れられて飼われている。かわいそうだとも思うが、近くで彼らを見るととても大きいので驚いたし、タンザニア人もライオンに触ったりしてとても楽しんでいた。
サーナネ島のライオン。男前だった島から眺めるビクトリア湖の景色がとても美しく、風の強い日だったのかいつもそうなのか、気持ちの良い風が吹いていてサーナネ島の印象はとても良いものとなった。夕食はおいしい魚料理をいただき、夜は元気なみんなとナイトクラブへ行って楽しく踊ってきた。
今回の旅は1泊2日だけの短いものだったが、またもタンザニア人のおもしろさを垣間見てしまった。例えばムワンザ出身の彼女、プレシージョン航空から招待された人が食べているバイキング料理を、母親が来たからと母親の分もたくさん取って、どこかへ消えていってしまった。翌日もプレシージョン航空が立てた予定がきちんとあるにも関わらず、友達か誰かに会うとかで、彼女指定の場所へみんなで送り届けた。別の女性は、ムワンザに親戚がいるから会いに行きたい、○時に△△へ迎えに来て欲しいと出て行ってしまったり、他の人はお腹が空いたから何か食べられる場所の前で降ろして欲しいと言い降りて行ってしまった。私はそんな彼女達の行動を見る度に驚いていたが、車や食事をすべて手配してくれていたプレシージョン側の人達も彼女達のわがままを、たぶんきっとわがままとも思わず快く受け入れていた。一緒に回っていた他のメンバーも全く気にする様子がなかった。招待された旅行で、しかも予定はきちんと組まれているのに、それを無視する彼女達、そしてそれを受け入れる人達。日本では考えられないことではないだろうか。日本人の私からは想像もできなかった行動を起こすこの彼女達と、それを取り囲む回りの人達を見ているのが非常におもしろかった。
ビクトリア湖をバックに。楽しさが顔に出てしまっている…。いつも考えていることだが、この人達はなぜいつもこんなに明るくおもしろく、そして優しいのだろうか…。たぶん彼らは自分達が親切で優しいなどとは思っていないのだと思う。当たり前のことをしているだけなのだと思う。それを私はすごく親切でみんな優しいと感じてしまう。今回の旅のメンバーは、アフリカ系タンザニア人+インド系タンザニア人+日本人一人。出発前実は、私だけみんなに馴染めなかったらどうしようと少し不安だった。しかしタンザニアでの生活で自分が日本人(外国人)であることを忘れてしまうように、この旅でもみんな普通に私に接してくれ、なんの違和感もなく過ごせたので本当に嬉しかった。みんな同じ業界の人間なので、仕事の話も合う合うっ!私はまだまだ新人なので、みんなの今までの良い思い出や失敗談を聞かせてもらい、いろいろと元気も出た。とても楽しく充実した2日間だった。
(特にこの日はプレシージョン航空全体に問題が起きていたようで)帰りは予定より4時間ほど遅れて出発した私達だが、まだまだムワンザにいたいと朝からごねていた私達から文句は出なかった。帰りに乗らせてもらえるはずだったボーイングにも乗れなかったが、誰からも文句は出なかった。
(2008年6月18日)
☆Harufu ya Karafuu(クローブの香り)は、とてもいい香りで多くのタンザニア人は好きだとか…。 森田さやかがタンザニアの良い部分、ステキな部分を書いていきます。