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  • 執筆者の写真白川

Harufu ya Karafuu 第8回 ある休日の出来事

森田さやか

ワニが出るという川。今は水量が減っている。 今年4月の中ごろからダルエスサラームの郊外に住み始めた。市内の中心部から車で30分、渋滞があると1時間強の距離。一言で言うと田舎である。私が住んでいる家は本当に畑の中にある。大家さんが弊社スタッフAlexの弟さん。本当によくしてくれているので、バナナもオレンジもパパイヤもマンゴー(今は旬ではないが)もほうれん草も菜っ葉も、取り放題の食べ放題。寝室のすぐ横は木が茂っているので、毎朝美しい鳥の声で目覚めている(ただし早朝)。

こんな色のバッタにも遭遇!  当たり前のことだが、住む場所が変わると自分の行動範囲も変わってくる。田舎に住みだしたので最近の私の行動範囲は田舎だっ。新しい土地では新しい友達ができる。ある日曜日にみんなでのんびりおしゃべりしていたら、友達の一人が、家族で育てている蜂箱を見に行こうと言い出した。とりたてのまじりっけなしの蜂蜜は高く売れると前に力説してたっけ、と思いながら、おもしろそうだったので行ってみることにした。女の子たちは、蜂蜜になんか興味がないと言うのでお留守番。男の子たちを引き連れていざ、甘い蜂蜜へ!

 すぐにでも見られると思い込んでいたのだが、おいしい蜂蜜までの道のりは長かった。行けるところまで車で行き、途中からは草が生い茂る道をひたすら歩く。友達の父親が耕したという畑を見たり、子供がワニに襲われたことがあるという川を見たり、畑に生えていたさとうきびをほおばったり、菜っ葉を採取していたおじさんに「カメラ持ってどこ行くんだっ!」と怒られたりの珍道中を繰り広げながらやっと蜂箱の近くまでたどり着いた。

神聖な水で清められている友人、チチ。 ところが、蜂蜜を食べに行くなんて全く考えていなかった私は、その日の朝、ほんの少しだけ香水をつけて外出していたのだ。友達に「おい、さやか。においのするものを体につけてないよな?」と聞かれギクリとする。…。ほんの少しのにおいでも蜂は襲ってくるかもしれないと言われ、近くで写真撮ってきてね、蜂蜜もとってきてねとカメラを託し、彼らの無事を祈りつつ私は木陰で休憩をしていた。そしてしばらくして戻ってくる手ぶらの彼ら…。撮ってきた写真を見せてもらったが、蜂箱から遠いっ!!一体どういうことだと追い詰めると、彼らも蜂が怖くて至近距離まで近づけなかったのだそうだ。そんな彼らがおかしかったが、肝心のとりたて蜂蜜が食べられずがっかり。次回こそ私も一緒に行くから頑張ろう!とみんなで誓い合ったのであった。

輪になって踊り続ける人々。    帰りも長い道のりを歩いていたのだが、どこからともなく太鼓の音が聞こえてきた。音のする方へ近づいていくと、たくさんの人が集まって太鼓を演奏し、踊りを踊っている。するとさっきまで蜂におびえていた友達(チチ)が、それはンギンド人の伝統行事だと教えてくれた。タンザニア南部海岸沿いキルワ周辺の人々だ。チチの母親がンギンドで、この踊りにも参加していた。毎年この時期に行われるというこの行事は、シェタニ(魔物)を追い払うためのものだそうだ。故郷を遠く離れても、同じンギンド同士が毎年必ず集まっているという。  タンザニアに来て初めて見る観光客用ではない、本当に意味を込めて行われている太鼓と踊りにしばらく心を奪われてしまった。特別な壷に入れられた水で清められている姿を見ると、いつも冗談ばかり言っているチチもとても眩しく輝いて見えてしまう。本当に偶然であったが、貴重な体験ができてよかった。目的の蜂蜜は食べられず、蜂箱を近くで見ることもできなかったが、遠くまで来てよかった。最後になってしまったが、私を快く受け入れてくれたみなさんに、心から感謝の気持ちを。

  (2008年8月15日)

☆Harufu ya Karafuu(クローブの香り)は、とてもいい香りで多くのタンザニア人は好きだとか…。 森田さやかがタンザニアの良い部分、ステキな部分を書いていきます。

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