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  • 執筆者の写真白川

Kusikia si kuona No.11  -チンパンジートレッキング~ゴンベ・ストリーム国立公園-

相澤 俊昭(あいざわ としあき)


先月、日本からツアーで来られたお客様に添乗して、ゴンベ・ストリーム国立公園に行ってきました。ゴンベには野生のチンパンジーが住んでおり、観察できるところで有名です。今回は、貴重な体験をさせて頂いた、そのチンパンジー・トレッキングの様子を紹介したいと思います。

キゴマからゴンベへ ゴンベ・ストリーム国立公園はタンザニア西部のタンガニーカ湖に面した小さな国立公園です。余談になりますが、現在タンザニア最小の国立公園はビクトリア湖のサーナネ島国立公園(2.18km2 )です。サーナネ島国立公園が出来るまではゴンベが一番小さな国立公園でした。現在の広さは52km2 です。1960年からゴンベでジェーン・グドール博士がチンパンジーの研究を始めて、チンパンジーが道具を使用することの発見と餌付けに成功したことで世界的に知られるようになりました。今でも研究者が入って研究活動が続けられており、チンパンジーの他にも、アヌビスヒヒやアカオコロブス、ブルーモンキーなどの生態・行動・社会の調査がされているそうです。

ゴンベの湖畔 ゴンベ・ストリーム国立公園には、3つのチンパンジーの群れがいます(北部:ミトゥンバ、中央:カセケラ、南部:カハマ)。その中でもカセケラの群れが比較的、人に慣れており、見やすいとのことで私達もこの群れを追って、トレッキングをしました。

チンパンジー・トレッキングにはいくつかルールがあります。1)フラッシュ撮影の禁止、2)チンパンジーから10m以上離れる、3)1グループの観察の時間は1時間以内、4)チンパンジーと目を合わせない、5)チンパンジーの進路を妨げない、6)食べ物を持ち込まない、7)走らないなどといったルールです。また、トレッキングの1グループは5名以内で、必ずガイドを同行させてなければいけません。

朝8時にゲストハウス前でガイドと待ち合わせて、チンパンジートレッキングのスタートです。ゲストハウスのすぐ隣に国立公園の職員や研究者やガイドが住む集落があります。 頭のいいチンパンジーやヒヒは人が玄関を開け閉めする様子を見て、その仕草を覚えるそうです。勝手に入ってこれないように、各住宅の軒先にはフェンスが付けられていました。 チンパンジーやヒヒはあまり人を恐れていないようで、この集落まで来ることがあるそうです。

まずはこの集落を通り抜けて、湖岸沿いを1時間近く歩きました。途中で、遠くの森の木にいるブルーモンキーやアカオコロブスを見ることが出来ました。しばらく歩いていると、私達より先に出発してチンパンジーを探していたトラッカーからアルファ雄(群れの第一位雄)のファーディナンドが、この先の木の上にいるとの情報がガイドの無線に入りました。静かにゆっくりと近づいて行きました。この日のファーディナンドは一人で木の上にいました。アルファ雄なので周りに、何頭か群れのチンパンジーがいるのかと思っていたので、一人でいたことが意外でした。ガイドの説明によると、前日にタリメという子供のチンパンジーを殺して食べたので、その影響だろうとのことです。その様子は、どこかいけないことをしてしまったという恥じらいを感じさせるような様子でした。仲間も、ファーディナンドに対して、恐れを頂いているのか、近づきにくいのかもしれません。 一人で木の上にいて、湖の方を向いている姿はちょっと寂しげでした。1時間ほど観察して、私たちが宿泊しているゲストハウスの裏山にグレムリンがいるとの情報を聞きつけ、来た道を引き返しました。

するとそこにはグレムリン、ギムリ、ギズモ親子がいました。なんでもこのお母さんチンパンジーのグレムリンは子育てが上手なことで有名だそうです。先ほどの、一人で寂しそうなファーディナンドとは違い、こちらはどこか家族の和やかな雰囲気が伝わってきました。しばらくこの親子のチンパンジーを見ていましたが、チンパンジーが動物の中で一番ヒトに近いと言われることが分かるような仕草がありました。子供のギズモがお母さんのグレムリンが蟻つりをやっている様子を真似て、小枝を拾って蟻つりを自分でもやってみたり、母親の背中に乗ってじゃれてみたり、お乳を飲んだりと、まるでヒトの親子の関係を見ているようでした。一方、母親は自分が何かをやっている最中でも、子供のことを気にしている様子なんかは、本当にヒトにそっくりです。チンパンジーの親子もヒトの親子も、それほど変わらないのかもしれないですね。半日ほどのチンパンジー・トレッキングでしたが、とても印象に残る出会いとの連続でした。

(2013年9月15日)

*;『Kusikia si kuona』とは日本語で百聞は一見にしかずという意味です。タンザニアで私が実際に見て、感じたことをこのページで紹介していきたいと思います。  

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