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Kusikia si kuona No.12  -セレンゲティ・サファリ-

相澤 俊昭(あいざわ としあき)


前回のゴンベ国立公園のチンパンジー・トレッキングの後に、私達はセレンゲティ国立公園を訪れました。セレンゲティはマサイの言葉で『果てしない平原』と言われるように、どこまでも続く草原の風景が特徴的です。サバンナにアカシアの木々が点在する風景や、夕日に赤く染まった草原を動物が移動している景色を写真などでご覧になった方もいらっしゃるかと思います。アフリカの雄大な自然を象徴するような風景が、ここで見ることが出来ます。また、セレンゲティ国立公園はケニアのマサイマラ保護区に接しており、一年かけて草食動物が、この二つの公園を移動するマイグレーションが有名です。一方、ゴンベは湖に面した森の国立公園ですので、風景もそこに住んでいる動植物も全く違います。両者を見比べてみるのも面白いです。

キゴマからセレンゲティまでの移動は、まず飛行機でムワンザまで飛びます。そして、ムワンザでサファリカーに乗り換えて、セレンゲティまで移動します。現在、キゴマとムワンザ間は週3便で定期便が飛んでいます。キゴマからムワンザまで車で、景色を見ながら陸路移動するのもいいですが、この空路での移動手段が一番効率的だと思います。また、その日の内にセレンゲティ西部の入り口にあるロッジまで移動出来るので、翌朝からゲームドライブが楽しめます。

今回のサファリで私たちが通ったルートは、セレンゲティ西部のンダバカゲートから入園して、キラウィラ地区を通り、そしてセロネラ地区に抜けるルートでした。時期が8月下旬だったので、ヌーとゼブラの大移動(マイグレーション)は、とっくにケニアとの国境近くまで移動しており、見ることができませんでしたが、それでも時々、ゼブラ、ガゼル、ヌーなどの草食動物を観察出来ました。また、運良く、チーターの親子に出会うことが出来ました。全体的には、この時期のセレンゲティ西部は動物の密度はかなり低く、代わりに所々、野焼きの場所が目立ちました。この野焼きは計画的に行われているようで、枯れた草原に火を付けて、早めに新芽を出して草食動物を集める目的もあるようです。以前、ケニア側に行ったマイグレーションを早くセレンゲティへ呼び戻そうという理由で使われているという話を聞いたことがあるので、かなり人の手が加えられている自然だなあという印象を受けました。まぁ、国立公園側も観光客が来てこそなので、仕方がないのかも知れません。

その後、グルメティ川でカバとワニの群れを見て、ムサビ平原を通り抜けて、セロネラに向かいました。やはりここはセレンゲティのサファリには、欠かせない場所だなあと思いました。ビックファイブのゾウ、ライオンはもちろんのこと、ヒョウの兄弟を3頭も固まって見ることが出来たので、かなり満足度の高い場所でした。また、近くには川が流れているので、水辺に集まって来るカバ、ゾウなどの動物や水鳥も結構多いです。セレンゲティに行ったら、必ず訪れた方がいい場所の一つでしょう。

今回、残念だったのが、密猟の罠に引っかかり、怪我をしている動物を何頭か見たことです。密猟者が仕掛けた罠から運良く逃れても、首や足にワイヤーを付けたまま走っている動物を見ると大変心が痛みました。実際に、野生動物の密猟は行われています。最近、タンザニアでは密猟によってゾウの頭数が激減しており、このままのペースで進めば数年以内に絶滅すると心配されています。象牙も犀角も、高額な金額で取引され、海外へ違法輸出されていくのです。密猟をして動物を狩るのには、毛皮や象牙などの商品としての価値だけでなく、肉を手に入れる為などの食料目的など様々な理由があると思いますが、動物はいつまでも存在するべきなので、止めるべきだと思います。サファリに来る観光客にも美しい自然には、こういった裏の姿もあることも知ってほしいと思いました。

最近、ケニアの保護区で動物の密度が少なり、以前の様にたくさんの動物を見る事が出来なってしまい、タンザニアの国立公園を訪れる人が増えていると聞きます。訪れる人が多くなればなるほど、動物や環境に与える影響も多くなると思うので、これからタンザニアの国立公園がどのように変わって行くのか、興味深いです。

(2013年11月15日)

*;『Kusikia si kuona』とは日本語で百聞は一見にしかずという意味です。タンザニアで私が実際に見て、感じたことをこのページで紹介していきたいと思います。  

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