Kusikia si kuona No.15 -ンドゥトゥのサファリが面白い-
相澤 俊昭(あいざわ としあき)
この間、久しぶりにセレンゲティとンゴロンゴロにサファリに行って来ました。セレンゲティは去年の8月以来で約半年ぶりだったので、行く前から、かなり楽しみでした。今回、サファリに行くきっかけは、Anga’ta Campsという最近新しく出来たキャンプが、ツアーオペレーター向けに開催した視察ツアーで1泊2日という普通じゃ考えられない弾丸ツアーの日程でした。
今回、一番楽しみにしていたのは、ンゴロンゴロのンドゥトゥ地区を訪れる事でした。ンドゥトゥ地区といえば、毎年12月から2月にかけて、ヌーやシマウマのマイグレーションがここに集まって、一斉に出産と子育てのシーズンを迎えるところです。もう何年も前に行ったきりで、それから暫らく行く機会がありませんでした。草食動物がここで出産をするのは、この辺りに生えている草がミネラル豊富で、生まれたばかりの赤ん坊に栄養満点のお乳を与えることが出来るからだそうです。そうして母親から栄養たっぷりのお乳を飲んで、大きくなった赤ん坊達は大人達と一緒に、4月頃からセレンゲティを北上し、ケニアのマサイマラへと渡り、また一年後にこの場所に戻って来るのです。ただ、その移動途中にはライオンに襲われたり、川で命落としたり、幾つもの困難が待ち受けているので、一体何頭の子供が大きくなって戻って来ることが出来るのでしょう。自然の中で生きていくのは、なかなか大変なことだということを思い知らされます。
私が行った時も、ンドゥトゥ地区のあたり一体には、ヌーとシマウマの大きなグループがたくさんいました。車をいくら走らせても、遠く、地平線のかなたまでポツポツと黒い斑点のようにヌーやシマウマがいるので、おそらく何十万頭ものマイグレーションの群れでしょう。まさに圧巻の一言です。
また、ンドゥトゥ地区の魅力のひとつは、国立公園では認められていないオフロードドライブが可能だということです。運が良ければ、木の上にいるヒョウや、何頭ものライオンの群れをすぐ近くで見ることが出来るかもしれません。そういった評判からか、毎年、たくさんの観光客が、ここンドゥトゥ地区にやってきます。
この辺りロッジといえば、老舗のNdutu Safari Lodgeが有名ですが、一年も前から予約を入れても部屋が取れないということもあります。それだけ、人気があるのでしょう。最近では、Anga’ta Campsのようにマイグレーションの動きに合わせて、テントの位置を変えていくという、モバイル式のテントキャンプの数もかなり増えて来ました。部屋がまったく取れないという状況も少しづつ緩和されてきているように思います。テントキャンプは電気はソーラーから取り、シャワーはバケツ一杯程度と、不便さはありますが、ロッジと比べ、より自然を近くに感じれるのが魅力です。夜、どこからともなく獣の鳴き声が聞こえてくるという、かなりワイルドな体験が出来るかもしれないので、1日ぐらい泊まってみるのもいい思い出になるかもしれませんね。
(2014年5月15日)
*;『Kusikia si kuona』とは日本語で百聞は一見にしかずという意味です。タンザニアで私が実際に見て、感じたことをこのページで紹介していきたいと思います。