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Kusikia si kuona No.19  -『タザラ鉄道〜Tanzania Zambia Railway』-

相澤 俊昭(あいざわ としあき)


 タンザニアとザンビアを結ぶ国際鉄道にタザラ鉄道と呼ばれる列車があります。タザラ鉄道は1967年にタンザニア政府の要請に応え、中国が非常に低利の好条件で建設をスタートし、1976年に開通しました。2国間の友好関係だけでなく、これを機に中国によるタンザニアへの経済進出のきっかけになったのかもしれません。実際に敷いてある線路のコンクリート製の枕木をみると、一本一本に「中華人民共和国」と書いてあります。タンザニアのダルエスサラーム駅からザンビアのニューカピリムポシ駅までは1,860キロあるので、その間の全ての枕木(一体、何本あるのか想像がつきませんが)にこの文字が刻印されているのだと思うと、これほどインパクトがあることはないと思います。いまでもタンザニアではビルや道路の建設に従事している中国人を、よく見かけますが、今よりも圧倒的に物が不足している40年以上も前に、未開の土地を切り開きながら線路を敷いていった当時の人たちの苦労を思うと、その大変さに頭が下がります。この線路に沿って、建設に関わった人達の汗が染み込んでいるのかもしれませんね。

<ダルエスサラーム駅の様子>  話が逸れてしまいましたが、以前からタザラ鉄道に乗ってみたいと思っていて、ようやくその機会に恵まれました。道中の様子はインターネット上でたくさん紹介されているので、今回はその時に気付いたこと、役立ったことをメモ書きで書きます。私が乗ったのは、ダルエスサラームからムベヤまでです。一部、人から聞いた話もあるので、その都度、確認することをお勧めします。

 タザラ鉄道は急行列車と普通列車があり、週にそれぞれの列車が1往復で計2往復しています。ダルエスサラーム駅を基準にすると、急行は火曜日出発(15:50)、普通は金曜日出発(13:50)になります。ただ、出発時間の変更や給料未払いによる従業員のストライキで止まることは頻繁にあることなので、その都度、最新の情報を得るのが一番確実です。

<1等車のコンパートメント>  タンザニアとザンビアの国境駅ナコンデで列車の乗り換えがある時期もありましたが、いまは無くなって全区間において直通運行のようです。座席のランクは1等と2等の寝台車両とSuper Seaterと3等の座席車両があります。旅行者には、快適さと安全面から4人部屋の1等がお勧めですが、窃盗などが心配な人は1等のコンパートメントを一つ丸ごと買い上げてもいいかもしれません。もし一人で乗車する場合は同乗者と必ず一人は部屋に残って荷物の見張り番をするなどのルールを話しておけば、そこまで心配する必要はないかなと思います。聞くところによると一番危ないのは停車中で、途中の停車駅で、見ず知らずの人が列車に乗り込んで、誰もいない部屋から荷物を盗んで行くことだそうです。同乗者が信頼出来そうな人ならお互いに協力して荷物の見張り番をするのもいいと思います。ただし、パスポートとお金などの貴重品は肌身離さず持っておいてください。ちなみ、切符には列車番号と部屋番号とベッド番号まで記載されていましたが、座席の確保は早いもの勝ちです。

<車窓からの眺め>  1等の部屋の内部は左右に2段ベッドが並んでおり(枕と毛布付き)、出発するとミネラルウオーター1本と石鹸が配られます。私は寝袋を持参しましたが、これは正解でした。列車の窓は大抵壊れていて、ちゃんと閉めることが出来ないので、窓を開けっ放しで、一晩中走ることになります。深夜になると、冷えた外気がもろに入ってくるので、備え付けの毛布だけでは物足りなさを感じると思います。最低限、ジャンパーぐらいの防寒着はほしいところです。

<線路の枕木。1本、1本に中国の国名が刻印されている>  列車内での食事は、出発前に食料の買い出しをしておくのもいいですが、途中の駅に売り子がいるので、バナナや揚げパン、ムシカキと呼ばれる串焼肉などを買って済ませることも出来ます。こうした途中の買い食いも、結構いい思い出になると思います。ちゃんと食事を取りたい方は、食堂車あるので、そこでタンザニアの料理を食べるのがお勧めです。1等だと、ウェイターが注文を聞きに来てくれ、部屋まで持って来てくれます。いわゆる、ルームサービスのような感じです。ワリ・クク(ご飯とフライドチキン)やウガリ・ニャマ(ウガリと牛肉の煮込みシチュー)などがTsh4,000〜Tsh5,000です。ビールも販売しているので、車窓の風景を眺めながら一杯やるのもいいですね。

<サマキ(揚げ魚)売りのおじさん>  先ほど、出発前に石鹸が配られると言いましたが、列車にはシャワー室があります。一応、チェックしたら、やはりお湯は出ませんでした。でも、浴びることは可能です。トイレは、水桶があって、用を足したら自分で流す水洗式トイレです。便座が壊れているか、無くなっているので、かなり不便さを感じます。さらに列車が走行中は揺れが酷いので、用をたすのは苦労すると思います。

 タンザニアからザンビアへの出国手続きは、Tunduma(トゥンドゥマ)呼ばれる国境の町で行われます。着くと、係員が乗ってきて、スタンプを押してくれるそうです。ザンビアへの入国はNakonde(ナコンデ)の停車中に行われ、ビザを購入します。ザンビア紙幣への両替はMbeya(ムベヤ)を過ぎた頃に、両替商が乗り込んでくるので、その時にするのがいいそうです。

<食堂車の様子>  こう書くと、かなり不便そうな列車を想像されるかもしれませんが、ちゃんと事前に知っておけば、かなり楽しい列車の旅になること間違いなしです。広い国土を横断するので、ダルエスサラームのような都会から田園風景の広がる田舎まで、様々な角度から人々の様子や町の風景を見ることが出来ます。列車はゆっくりとしたスピードで進んで、窓から入ってくる風も心地いいです。人との出会いにも恵まれ、とてもいい思い出の列車の旅でした。

(2015年1月20日)

*;『Kusikia si kuona』とは日本語で百聞は一見にしかずという意味です。タンザニアで私が実際に見て、感じたことをこのページで紹介していきたいと思います。  

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