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  • 執筆者の写真白川

Kusikia si kuona No.2  キリマンジャロ・アフリカ最高峰に登る

相澤 俊昭(あいざわ としあき)


1月に休みを利用して、キリマンジャロ登山に行ってきました。頂上で見た日の出と太陽に照らされて輝く氷河は最高に綺麗で、一生忘れられない思い出となりました。登山中は肉体的にも精神的にも辛く、大変でしたが苦労、興奮、達成、感動など人間が感じるすべての感情があり、ここでしか得ることの出来ない体験の連続でした。

私が利用したのは4泊5日のマラングルート。登山出発地点となるキリマンジャロ国立公園のマラングゲートは標高1,800mほどあり、ここで入山手続きを済ませて登山開始です。

初日は鬱蒼とした熱帯雨林の中を進み、標高2,700mのマンダラハットまで約12Kmの行程を歩きます。登山道は緩やかな傾斜で時折、綺麗な花を咲かせている植物やバブーン、マングースなどを見ることができ、ハイキング気分で歩いていけるので結構楽しいです。湿気と気温が高いので服装はTシャツに半ズボンで登りました。11時頃に出発して約5時間ほど歩き、初日の宿マンダラハットに到着です。

夕方になると気温がぐんと下がり寒いので持ってきたフリースを着込みます。夕食はダイニングでコックが用意してくれたボルーム満点のおいしい料理を食べます。ここで圧倒されたのは満天の星空!もはやどれが星座なのかもわからないほど小さな星まで見えます。翌日も新たな景色に出会えること期待して寝袋に入りました。

2日目の早朝はうすい霧に包まれていましたが、しだいに晴れました。ひんやりとした森の空気は澄んでいてとても気持ちが良かったです。朝食をとり、7時過ぎに出発です。この日は森林限界を抜け、高山地帯を通る約15Kmの行程を標高3,720mのホロンンボハットまで約6時間ほどかけて歩きます。初日と比べ気温が下がり、肌寒く感じるので持ってきている衣類を重ね着します。森林地帯を抜けると遠くに白い氷河がある頂上が見えてきます。マラングルートは森林地帯を抜けると常に頂上が見えているので、キリマンジャロの風景を楽しみながら登れます。また傾斜も緩く平坦な道を進むので他のルートに比べると女性的な印象です。途中、ガイドが植物やチャガ人々がその昔、彼らの儀式で使っていたというKifinika Cultural Site※について解説してくれ、残りの道を歩きホロンボハットに到着です。このハットは非常に見通しの良い場所に立っているのでどこまでも続く雲海の景色がとても美しかったです。

このハットは非常に見通しの良い場所に立っているのでどこまでも続く雲海の景色がとても美しかったです。

3日目は砂漠地帯を通り、約15Kmの行程を標高4,703mのキボハットまで歩きます。この日はガイドの提案でマウェンジトレッキングルートに続く道を通り、ゼブラロックを抜けてキボハットまで歩きました。砂礫地帯を歩くのでズボンは真っ白になるし、酸素が薄くとても乾燥しているので埃と乾燥対策が必要です。このあたりから高所反応が出てくるので、深呼吸と温かい飲み物でたくさん水分を取るように心掛けました。登山中は1日、3リットル以上飲んでいたと思います。また標高も上がるので、身体を冷やさないように体温の調節がこまめに出来るようにザックの中に衣類を入れておきました。

酸素の薄さで呼吸を荒くしながら歩き、ようやくキボハットに到着です。この日は前の日に比べかなり疲労しているのが感じられます。ここから見える頂上は近くに感じますが、傾斜がきつい斜面にヘビのようにクネクネと続く道を見ると、まだまだ頂上は遠いなと感じます。

夕食を出されましたが、この日はさすがに食欲がなくほとんど胃に食べ物が入っていきません。すこしでも口に入れようとスープだけは飲みます。夕食後は今夜の頂上アタックに備えガイドと話し合い、必要な衣類に着替えたり、荷物のパッキングします。パッキングが終わったら仮眠をとりますが、酸素の薄さで全く眠れません。意識が飛んだと思ったら目が覚めるの繰り返しです。頭痛もなく、高所順応が上手くいっているようたっだので、とにかく少しでも体力を回復させるように横になっているだけです。夜10時頃に起きて、クッキーなど軽食を取って、いよいよ登山行程中最も過酷な頂上アタックです。

頂上アタックは真っ暗な急斜面をヘッドライトで灯りを頼りに進んでいきます。道は火山礫でズルズルと滑りやすいうえに、足が沈み歩きづらいです。すでに早くに出発した人もいるようで遠くの斜面にヘッドランプの灯りが見えます。途中の休憩で後ろを振り返ると、真っ暗な空に無数の星がキラキラと輝いています。誰もが肩で息をしていて辛そうです。急斜面になると各グループの歩くペースもバラバラになり途中で引き返す人もいるそうです。

ギルマンズポイントの手前の岩場が最もきつく、これに耐えながらひたすら歩き続ける根性が必要です。こうなると自分との闘いで、頂上まで行けるのかという不安と自分が頂上に立っているという希望の2つが交差に入り混じってきます。自分の内面でいろいろな試行錯誤が繰り返され、何度もガイドに励ましてもらいキリマンジャロ登山のドラマが生まれます。兎に角、呼吸を意識して、自分のペースで歩き体力が消耗する前に登りきることが大事です。最後の岩場をよじ登り、ギルマンズポイント(5,681m)に到着。体が重く、動きも鈍いですが、そのままウフルピークまでクレーターの縁にそって雪の積もっている岩場を疲労困憊の中、歩き続けます。

午前6時15分。空が明るくなり始めるころウフルピーク(5,895m)に到着。日の出になると赤い太陽の光に照らせれて輝く氷河と岩とどこまでも続く雲海の絶景が見えてきます。頂上に立ちたい、その一心で歩き続けてきた苦労が一気に報われる瞬間です。これまでの道のりは本当にきつく、進んでも進んでも辿り着かない頂上に、同じ苦労を味わっているだろうほかの登山者はガイドに抱えられながらポレポレで歩いてきます。

兎に角、ひたすら歩いて、キリマンジャロの最高地点に着きました。まわりを見渡すとここより高いところはなく、自分がアフリカ最高地点に立っている実感が湧いてきます。感無量、感動いろんな感情が心の中に湧いてきます。キリマンジャロは自分にとって一生忘れない山です。下山途中、気づくとその姿が名残惜しく何度も振り返って見ていました。終わってみると、つい数時間前の出来事がまるで夢のようでした。

※Kifinika Cultural Siteについて Kifinika Cultural Siteはマンダラハットからホロンボハットへ行く途中にある小高い丘です。タンザニアが植民地になる以前、チャガの人々はこの丘で祖先への祈りや雨乞いの儀式などを行っていたそうです。今はそういったことは行われていませんが、彼らにとっては特別な場所であり続けているそうです。

(2012年3月15日)

*;『Kusikia si kuona』とは日本語で百聞は一見にしかずという意味です。タンザニアで私が実際に見て、感じたことをこのページで紹介していきたいと思います。  

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