Kusikia si kuona No.28 『ミクミ国立公園サファリ』
相澤 俊昭(あいざわ としあき)
この間、あるお客さんのガイドでミクミ国立公園に行って来た。初めての人には聞き慣れない国立公園かも知れないが、ミクミはタンザニア南部にある国立公園だ。タンザニアの野生動物サファリだと、一般的には北部のセレンゲティ、ンゴロンゴロあたりが有名で、タンザニア南部の国立公園に馴染みがある人はほとんどいないかも知れない。しかし、南部にはルアハ国立公園、セルー動物保護区など、見られる動物の種類、数の多さ、そして何と言ってもその野性味で北部の公園に優る公園、保護区がある。ただ、訪れる観光客自体が少ないのと、セルーではハンティングが行われているので動物の警戒心が強く、逃げ足が速いなどのデメリットはある。ミクミ国立公園はその中でも比較的、動物が見やすいサファリ初心者向けの国立公園だろう。国立公園のど真ん中を国道が走っており、道沿いにライオンが寝そべっていたなんてこともある。私自身、ミクミのサファリはかなり久しぶりだった。多分、一年ぶりぐらいだったと思うが、とても楽しめた。
<ミクミ国立公園のゲート。ここから野生動物の住む国立公園に入る>
<ゲートを通過するとすぐにキリンが現れた。ゆったりとした優雅な動物だ>
<ヌーも見ることができる。牛とも馬とも似つかない不思議な生き物だ>
ミクミ国立公園はダルエスサラームから西へ約300km、車で6時間ほど走ったところにある。ダルエスサラームからそれほど遠くない距離にあるので、在留邦人やビジネス出張者が週末休みを利用してサファリを楽しむのにうってつけの国立公園だ。公園の南部はアフリカ最大の保護区、セルー動物保護区と隣接しており、タンザニアの中でも有数の生態系を形成している。公園の中を走っている国道を挟んで、北部の湿地帯、サバンナ、疎林が主なサファリエリアだ。南部はミオンボ林が群生しており、視界が悪く、あまりサファリには向いていない。面積が3,230㎢とタンザニアの国立公園の中でも4番目の広さになるのだが、サファリをするポイントが北側の湿地帯やサバンナに集中しているので、1泊2日で十分楽しめる広さだ。運が良ければ、ライオン、ゾウ、キリン、バッファロー、インパラなど、一通りの動物はここで見られてしまうので、サファリ入門者にはお勧めの国立公園だと思う。動物が全く見られなくてがっかりという目に遭うことも少ないだろう。
<私たちが到着した日の早朝にオスライオンがバッファローを狩ったそうだ。仰向けに倒れているのが分かる>
<獲物のすぐそばにライオンがいる>
<沼で見たワニ。サイズは若干小さく2.5メートルくらい>
<運よくゾウの群れにも出会うことができた>
<ゾウの群れ。現在、密猟でその数を激減させている>
ミクミにはいくつかの宿泊施設があるが、私たちが泊まったのはFox Safarisが経営するVuma Hills Tented Camp。公園の南部のミオンボ林の丘を利用して建てられている高床式のテント型キャンプだ。蒸し暑いダルエスサラームから行くと、木々に囲まれたキャンプはひんやりとした空気が流れており、とても爽快な気分させてくれる。設備面もホテル並みとまではいかないが、中にはトイレ、シャワーなど一通りの設備が整っているので、大自然の中で十分すぎるほど快適に過ごせる。テントの布一枚を隔てれば、すぐ外は野生動物が暮らす大自然という野性味溢れる宿泊施設だ。たまにはこういうところに泊まるのもある意味贅沢だろう。
<ヴーマ・ヒルズ・テント・キャンプの外観。このように斜面に建てられている>
<テント内部。ベッドの後ろにはトイレとシャワーがある。ホテルとほどんど変わらない設備が整っている>
ミクミサファリはダルエスサラーム発着の1泊2日のサファリで公園外のロッジに泊まって安く済ませようと思えば、$850ぐらいで行けてしまう(2名の場合)。公園内のロッジに泊まっても、$1,000ちょっとで収まるだろう。リーズナブルに短期間でサファリを楽しみたいという人にはお勧めの国立公園だ。
(2016年8月15日)
*『Kusikia si kuona』とは日本語で百聞は一見にしかずという意味です。タンザニアで私が実際に見て、感じたことをこのページで紹介していきたいと思います。