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Kusikia si kuona No.30  『サダニ国立公園』

相澤 俊昭(あいざわ としあき)


  10月半ば、サダニ国立公園に行って来た。2016年現在で、タンザニアには国立公園が16ヶ所あるが、今回サダニ国立公園を訪れたことで、未訪問の国立公園はチンパンジーで有名なマハレ国立公園、ビクトリア湖のルボンド国立公園、花が咲き乱れるキトゥロ国立公園などあと数か所を残すのみとなった。いつかすべての国立公園を制覇したいというのが個人的な夢である。 

<サダニで見たキリン。キリンは本当にたくさんいた>
<草原の向こうにバッファローの群れがいた>  ダルエスラームから幹線道路を北へ走らせると4-5時間ほどでサダニ国立公園に着く。途中、バガモヨという町を経由するのだが、バガモヨは昔、インド交易の港町だったところで、郊外にカオレという小さな都市国家の遺跡があり、ドイツ植民地時代の役所跡、キャラバンサライ、ローマン・カトリック教会などの見所がある。静かな漁村で綺麗なビーチもあり、ダルエスサラームから日帰りで行ける観光地として人気がある。サダニに行く時は、このバガモヨと組み合わせて、2泊3日にするのも面白いかもしれない。 

<サダニのボートサファリの様子>
<ワミ川のカバの群れ>
<川辺に身を潜めるワニ>  バガモヨ~ムサタ間の道路が舗装され、道が良くなったので、いまではこのバガモヨを経由するルートが一番の近道になる。それ以前はダルエスサラームからモロゴロ方面へ車を走らせ、チャリンゼを経由し、タンガ方面へ北上するという大きく迂回するルートが一般的だったそうだ。おそらく6-7時間ほど掛かったであろうことを思うと、だいぶ身近な国立公園になったと思う。その気になればダルエスサラームから日帰りでも行けてしまうかもしれない。 

<国立公園の中にあるサダニ村。商店、小学校などもある>  サダニは2005年に国立公園に昇格した、比較的新しい国立公園だ。サダニ動物保護区の他に隣接する森林保護区、牧場などを併せて国立公園となった。面積は1,100㎢ほど。小さな国立公園だが、タンザニアで唯一、インド洋に面する国立公園として知られている。ユニークな国立公園で、沿岸部でよく見られるような植生や海に出ればイルカ、クジラもいるそうだ。また国立公園の北部には綺麗なビーチがあり、時期が来るとウミガメの産卵や孵化を見ることが出来るそうだ。なかなか面白い国立公園だ。 

<塩田で作業をする人びと>
<塩田に集まるフラミンゴの群れ>  陸上の動物だとキリン、バッファロー、バブーン、イボイノシシ、ウオーターバックなどはほぼ間違いなく見られるし、あまり期待は出来ないが肉食獣のライオン、ヒョウの他にゾウもいる。特にゾウは近年、頭数が増えているようで国立公園の北部にゾウのサンクチュアリーを作って、ロッジ経営をしている人もいるそうだ。また話を聞いた国立公園の職員の話だと、時々、ビーチまでゾウが出て来ることもあるそうだ。動物とインド洋が出会う公園を謳っているサダニならではの面白い光景かもしれない。公園内を流れるワミ川ではボートサファリも出来る。これが結構楽しい。2時間ほど川下りだがワニ、カバの群れ、カワセミ、ヘロンなどの水鳥もたくさん見ることが出来る。また、夜になるとナイトサファリも出来る。昼とは違った野生動物の生態や活発に動く様子を見ることが出来て、これまた面白いと思う。見られる動物が少ない分、アクティビティーを充実させることでそれを補っているという感じだろうか。 

<ゲストハウスの外観>
<ゲストハウスのリビング。かなり広々としたスペースだった>
<きちんと掃除されたきれいなベッドルーム>  サダニを訪れてみて、驚いたのが、国立公園の中に人の住む村があるということだ。聞いてはいたが、まさか国立公園のど真ん中にあるとは思っていなかった。国立公園に昇格する際に、それまで住んでいた村人が他の場所に移住するのを拒否し、現在に至っているそうだが、野生動物を見た後に、そばを村人が歩いていたりするので、ちょっと興醒めすることもある。またワミ川沿いには塩田があり、いまも稼働している工場がある。この人口圧が動物に与える影響が大きいのではないかと心配になるが、塩田にフラミンゴの大群が集まってくるということもあるそうだ。

<ゲストハウスの目の前に広がるインド洋>  サダニ国立公園には何ヶ所かロッジがあるが、ここに泊まる際は国立公園が運営するゲストハウスも選択肢に入れてほしい。宿泊料金が安く(素泊まりでUS$36ほど)、ビーチの目の前に建つという立地条件もさることながら、トイレ・シャワー完備、台所、テレビ、ソーラー発電の電気、そしてちゃんと水も出るのが嬉しい。大人数用の一軒家風のゲストハウスもあり、家族やグループで泊まるときはここを予約すればいいと思う。インド洋を眺めながら、きっと充実した休暇が送れると思う。

(2016年12月15日)

*『Kusikia si kuona』とは日本語で百聞は一見にしかずという意味です。タンザニアで私が実際に見て、感じたことをこのページで紹介していきたいと思います。

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