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Kusikia si kuona No.5  農村滞在ルカニ村

相澤 俊昭(あいざわ としあき)


ルカニ村はキリマンジャロ山麗の西側にある人口1,500人ほどの小さな農村です。ここの村には弊社の農村滞在の受け入れ先のひとつであるアレックスさんの家があります。ルカニ村ではキリマンジャロ山の豊かな自然の恵みを受け、村人のほとんどがコーヒー、トウモロコシ、バナナなどの農作物を栽培しながら暮らしています。タンザニアにはセレンゲティ、ンゴロンゴロ、キリマンジャロ山、ザンジバルなど自然に関する見どころは沢山ありますが、地元の人々がどのように生活しているのか体験出来る農村滞在にこそタンザニアの魅力を感じると思います。今回、ルカニ村へ農村滞在に行ってきたので、その様子を紹介したいと思います。

ルカニ村へはキリマンジャロ登山の出発地点となるモシの町から車で1時間弱です。ダルエスサラームからはバスと車を乗り継いで、12時間ほどです。雄大なキリマンジャロ山の景色を見ながら、舗装された道路を走っていきます。途中、マーケットへ行き、滞在中の食料を購入します。私たちが着いた時は、もうすでに夕方の6時頃でしたが、それでも沢山の人々で賑わっていました。それにしてもみんな人懐っこく、野菜や果物を売っている村人が気軽に声を掛けてきます。マーケットで物を買う時の値段交渉など、何気ないやり取りを通して地元の人々と交流出来る機会があるのも、農村滞在の魅力のひとつです。

夜はホームステイ先の子供たちが、マーケットで買ってきた新鮮な野菜で食事を作ってくれます。この日は野菜と肉の炊き込みご飯と野菜の炒め物でした。これがまた素朴な味でとても美味しいです。夕食後はアレックスさんの兄弟が挨拶に来てくれ、歓迎を受けました。この日の夜は停電になりましたが、そのおかげでとても綺麗な夜空を見ることが出来ました。ダルエスサラームの都会ではあまりでは見ることが出来ない小さな星のひとつひとつまで見ることが出来ます。遠くには、月明かりに照らされて薄っすらとキリマンジャロ山も見ることが出来ました。

翌日はアレックスさんの兄弟がコーヒーを栽培している畑に行きました。ルカニ村の人々は山中にある自宅の周りに畑を持ちコーヒー、バナナ、果物などの栽培と牛、鶏、ヤギなどの家畜を飼っているところほとんどです。またそれとは別で、さらに標高の低いところにも畑を持っていてトウモロコシ、ヒマワリ、豆などを栽培しています。このようにトウモロコシや豆などコーヒーに代わる換金作物を生産していますが、ルカニ村の人々の現金収入のほとんどはコーヒーから得る割合の方が多いそうです。

私たちが行ったのは、自宅の周りにあるコーヒー畑です。畑と言っても、平地にある畑ではなく、山の急斜面にある畑なので、実際に農作業をするととても大変です。ここでは直射日光を嫌うコーヒーの木に太陽の日差しが当たらないように、もともとそこに生えてる木や背丈の高いバナナと一緒に植えて、直射日光を避ける工夫がされています。肥料も家畜として飼っている牛やヤギの堆肥を肥料としてやっています。値段が高いという理由もあるのでしょうが、化学肥料はほとんど利用しないそうです。バナナは主食なので、自宅で食べる分として収穫したり、市場の持って行き販売もしているそうです。コーヒー豆の収穫が行われるのは通常8月からだそうですが、運よく私たちが行った6月下旬には真っ赤なコーヒーの実がなっており、収穫と苗木を植えるという貴重な体験をすることが出来ました。苗木を植えるのも収穫もすべて手作業です。苗木の1本1本、コーヒーの実一つ一つを手で収穫していきます。普段、何気なくスーパーに並んでいるコーヒー豆を買っていますが、実際に農作業を手伝ってみると、生産者の努力や苦労がよく分かりました。

ルカニ村の人々のほとんどは敬虔なキリスト教徒です。今回、村の教会へ行く機会もありました。日曜日のミサには、スーツやドレスで正装した多くの村人が教会へ集まって来ます。300名ほど入る教会の建物のホールが老若男女問わず沢山の人で埋まります。牧師の説教が始まり、時折少年少女の合唱団によるアフリカ風のゴスペルが歌われます。ミサが終わると、教会の外で村人が教会に寄付すために持ってきた野菜やバナナ、鶏などを競売にかけます。この競売から得た現金で村に必要な物を買ったり、村人への寄付に使うそうです。この教会がただ単にお祈りを捧げる場だけでなく、村にとって社会保障のような大切な役割を果たしていることがわかります。またこうした習慣からわかるように、ルカニ村の人々はお互いに助け合って生活しています。農作物の収穫、村や教会の行事、結婚式などはみんなで助け合うそうです。

今回紹介したのは、農村滞在中のほんの少しの内容ですが、ほかにも小学校訪問(残念ながら夏休みで行けなかった)、料理の作り方などを体験する機会があります。笑顔で迎えてくれるホームステイ先の家族と村人に、家族のような親近感を覚えてしまい、ずっとここに居たくなるような数日間でした。みなさんも機会があればぜひご参加ください。

(2012年9月15日)

*;『Kusikia si kuona』とは日本語で百聞は一見にしかずという意味です。タンザニアで私が実際に見て、感じたことをこのページで紹介していきたいと思います。  

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