Pole Pole No.10 ザンジバルの結婚式に参加して
後藤由紀子(ごとう ゆきこ)
10月10日に弊社スタッフのムゼーの娘さんの結婚式がザンジバルで催され参加してきました。今回はその結婚式の様子をお伝えしたいと思います。花嫁であるムゼーの娘ズベタさんは現在24歳です。ダルエスサラームで勉強をしているときに花婿と出会ったそうです。
<楽団を囲んで踊る女性たち>
結婚式当日の催しは16時から始まるとのことで、16時少し過ぎにムゼー家に到着すると家の周りには華やかな衣装を着た女性達、イスラムの正装をした男性達が集まっています。家の敷地からは大きなタアラブの音楽が聞こえ中の賑やかな様子が伝わってきます。
ムゼーに会うと家の中へと案内をしてくれ、門をくぐるとそこには50名程の色鮮やかな服を着た女性達が座っています。女性達が座っている前にはタアラブの音楽を奏でる少年達の楽団がいます。外で音楽を聞いたときはCDか何かを流しているだけかなと思っていたので生演奏をしていることに驚きました。そして大人っぽい声の主がまだ少年だと知り更に驚きました。
家の中に入り花嫁のいる部屋に通してもらい花嫁と初対面!とても美しくてそしてかわいらしい花嫁です。「おめでとう」と声をかけ挨拶をした後はまた家の外に出ました。すると外では先ほどまで座っていた女性達が楽団を囲んで楽しそうに踊っています。思わず一緒にリズムをとってしまう楽しさです。この頃には続々と人数が増え敷地内には100人以上の女性がいます。
<ムゼーを先頭に敷地内に入ってくる花婿>
しばらくは皆歌って踊ってと楽しんでいましたが、音楽が止んでしばらくすると視線が門の方へ集まっていたので何が始まるのかなと思っていると、ムゼーを先頭に花婿さんが入ってきてそのまま家の中へ入っていきました。その後は花嫁さんが待つ部屋に入ったようで窓から人影が見え、結婚の契りの儀式を行っているようでした。5分程するとまた男性だけが外に出てきてそのまま敷地の外へ出て行ってしまいました。
その後も敷地内にいる女性達の多くは残って踊っており、これで式も終わりかなと思い外へ出ると、ムゼーから場所を変えてまだ結婚式は続くと告げられ、車で5分程のホールへ移動しました。中はお香が焚かれているのかザンジバル!という匂いがしてきます。階段をあがると親族と思われる女性達が3人立っていて小さなかわいい箱をくれました。中をあけるとキャンディーとガムが入っていました。日本でいう引き出物でしょうか。ホールの中に入り座っていると、時間が経つにつれて女性達が続々と増えていきます。タアラブの楽団もいて音楽が奏でられると楽団を囲むようにまたダンスが始まります。30分程は皆で楽しく踊っていたのではないかと思います。
音楽が止み、皆が座ってしばらくすると袋が配られました。中身はお水、ジュース、サモサ、クッキー、ケーキ、ハルア(ザンジバルやペンバで食べられている甘いお菓子のような物)が入っていました。その後にムシカキ(牛肉の串焼き)とアイスが配られ軽食の時間となりました。その頃にはホール内にも多くの女性達が集まっていて200人くらいはいそうです。
<ホール内の様子>
ごはんを食べてしばらくすると道をあけるようにと一部の人たちが移動をさせられ、入り口の方がザワザワとしてきます。するとエメラルドグリーンのきれない色のドレスを着た花嫁がゆっくりとホールの中へと歩みを進めてきます。お姫様のような美しさです。花嫁がセンターのステージへ着くと写真撮影の時間がはじまりました。たくさんのフラッシュがたかれ、花嫁はポーズを変えたり、親族や友人と写真を撮っています。 気がつくとホール内にいた人が減っており、もうすぐすると花婿がやってくるとのことでしばらく待っていましたがなかなかやってこず、ザンジバルは現在計画停電があるとのことで、停電になる前の20時前くらいに式場を後にしました。
<美しい花嫁>
花婿を見たのは一瞬でしたがとても幸せな笑顔を浮かべ、花嫁もとても幸せそうな顔をしていて、結婚式に参加をした私もとても幸せな気持ちになりました。そして年齢は関係なく音楽に乗りながら楽しそうに踊る大人や子どもたちを見て、明るく陽気なタンザニアの人たちはやはりいいな〜と思いました。 また結婚式というと花嫁、花婿は一緒にいるものというイメージがありましたが、今回のザンジバルの結婚式に参加をして男性は男性、女性は女性で式が進められていくという異なる文化に触れたのも新鮮でした。新しい人生を歩み始めた2人の末永い幸せを願います。
(2013年10月15日)
*「PolePole」とはスワヒリ語で「ゆっくり」と言う意味です。タンザニアのゆったりした雰囲気をこのページで伝えられたらと思います。