Pole Pole No.13 絶景ポイントまでのトレッキング
後藤由紀子(ごとう ゆきこ)
タンザニアでは12月、1月が1年の中でも最も暑くなります。私の住んでいるダルエスサラームは日差しも強く日中の気温も高く、夜も寝苦しい日々が続きます。「あ~どこか涼しいところに行けたらいいのに!暑いよー」という毎日です。アフリカ、タンザニアと聞くとこのような暑い場所を想像する方も少なくないと思います。しかしアフリカと言えど大陸は広く様々な気候があり、そしてここタンザニアも国土が広くタンザニア内でも海に面したダルエスサラームのように海洋性気候で蒸し暑いところもあれば、内陸ドドマのように乾燥地帯もあります。そしてここタンザニアでは「涼しいところに行けたらいいのに!」というそんな願いが叶う場所もあるんです。そこはタンザニアのスイスとも言われてるルショトです。
<畑の中から見るIrente View Cliff>
そのルショトに12月末に行ってきました。ルショトはダルエスサラームから約380Km、タンガからモシへ向かう街道にあるウサンバラ山地の中腹にある町です。標高は1,500mを超えます。ダルエスサラームからは直行バスで7時間程かかります。ルショトが近くなってくると窓から入ってくる空気もひんやりとしてきます。ウサンバラ山の麓からルショトの町中まではくねくねとした栃木のいろは坂のような山道を進んでいきます。途中のバス停のようなところで下車していく人もおり、そこでバスが停車するとおいしそうなプラムや野菜を売っているママ達がわっと窓に駆け寄って商売を始めます。ここルショトでは農業が盛んで生産された高原野菜はダルエスサラームやアルーシャ等へ出荷されています。
<目の前に広がるマサイ平原>
お昼過ぎにルショトの町に到着し、ロッジにいても何もすることがないのでロッジのマネージャーに「今からできることはない?」と聞くと夕日を眺めにIrente View Pointまで行ってはどうか?と提案が。そんなに遠くないけれど一人で行くのは難しいだろうとのことでガイドを呼んでもらいました。今回私のガイドをしてくれたのはルショト出身のクリスティーナさんです
<☆Irente View Pointからの眺め>
ロッジを出発し歩きはじめると道の周りから「ハロー」「ジャンボ」「マンボー」といった挨拶が聞こえてきます。しばらくすると民家や小さなお店がある場所から離れ、大きな木のある道やとうもろこしやキャベツ畑の脇や中を抜けて歩いていきます。歩きながらクリスティーナが生えている植物の話などをしてくれるので飽きずに歩みを進められます。ロッジでは30分ほどで着くだろうと言われていましたが30分では辿り着かず、出発から1時間ほどしてやっとIrente View Cliffが近くに見えるくらいまでたどり着きました。辺りは緑が青々としていてとてもきれいで、目前に見えるIrente View Cliffもしばらく眺めていくなるすてきな風景です。ここまで来てよかった、頑張って上まで歩くぞ!とまた思いを新たに歩き始めました。
<2013年最後の夕日!>
Irente View Cliff Hotelの入り口まで着くと、クリスティーナからここから先は2つの道があるけどどちらがいい?と聞かれました。ひとつはホテルの敷地内を通り簡単にView Pontまでいける道、二つ目はView Pointまでは少し時間がかかるけど景色のいい道。迷わず二つ目の道を選びましたが、予想以上に山道でクリスティーナについていくのもやっと。ふと顔を上げてあたりを見回すと本当に景色が良くてこっちにして正解だったなと内心思いました。山道を登り終え、坂を上ると目の前を何も遮ることなくマサイ平原が目下に見えます。崖の先までいくとそのまま落ちてしまいそうですがやはり景色は絶景です。しばらく夕日が沈み始めるのをそこで待ってみますが、風が強くなり始めたので元来た道を戻り、Irente View Cliff Hotelの近くから夕日を眺めました。ちょうどこの日は12月31日だったので2013年最後のきれいない夕日を見納めてとっても贅沢な気分になりました。帰りは日が暮れてしまい歩くのは難しかったのでタクシーを手配してもらいロッジに戻りました。
View Pointからの眺めは絶景なのでルショトに行く機会があればぜひトレッキングをして訪問してみてください。
(2014年4月15日)
*「PolePole」とはスワヒリ語で「ゆっくり」と言う意味です。タンザニアのゆったりした雰囲気をこのページで伝えられたらと思います。