白川
Pole Pole No.5 ドキドキと幸せのドルフィンツアー
後藤由紀子(ごとう ゆきこ)
「イルカと一緒に泳ぐ!」これは人生でやってみたいことのひとつだ。ザンジバル・ウングジャ島の南、キジムカジでは野生のイルカと一緒に泳ぐ事ができ、ドルフィンツアーが行われている。タンザニアに来て以来ずっと行きたいと思っていたこのドルフィンツアーに10月に行く事ができた。
ドルフィンツアーの前夜は東海岸パジェにあるParadise Beach Bungalowsに宿泊をした。ツアーも宿で手配をしてもらった。ツアーの当日は朝5時半に起きる。まだ外は薄暗い。支度をし、6時頃に外に出るとオーナーの三浦砂織さんと元気な犬たちが出迎えてくれる。外は肌寒い。部屋のすぐ目の前から海を眺める事ができるのだが、空を眺めていると水平線の一部分がだんだんと赤く明るくなり、日が昇り出した。朝日を見ているととても清々しい気分になる。そしてちょうど陽が昇りきったところで、キジムカジに移動するための車が迎えにきてくれた。車に乗っていざ、ドルフィンツアーへ出発!南の方へ向かう途中ではバオバブの木を見る事ができる。車に1時間程揺られウトウトしているうちに海辺に到着した。
浜辺にはマスクとフィンが並べられている。そこで自分のサイズに合うマスクとフィン選びを係の人と一緒にする。ちょうどいいサイズの物が見つかると、海辺の方で待っているように言われる。しばらく海辺の方で座って待っていると1人のお兄さんが近づいてきた。「おはよう、船の方へ移動をしよう」と言われ、お兄さんについて海の中へ入って行く。遠浅なので、水の中を船の方まで歩いて行く。水は透き通っていてとてもきれいだ。船に乗り込み、他の人たちも待つのかと思っていたが、どうやら貸し切りのようで沖に向けて出発!
シュノーケリングはしたことはあるが、何度も、何度も海に飛び込んで泳ぐ事ができるのかと若干の不安があった。そこでお兄さんに「海の中に飛び込んでもちゃんと沈まないで泳げるの?大丈夫なの?」と聞くと、「問題ないよ。海の中ではバナナのように浮けるから」との答えが返ってくる。えええ?バナナ?本当に大丈夫なの?
ちょっと怖いなーと不安に思っていたが、そうこうしているうちに船が止まり、「今日はここで泳ぐよ!ほらそこにイルカがいる。飛び込んで!」と言われる。 慌ててフィンとマスクの準備をし、いざ飛び込もうとするが、若干の躊躇があり、海の中に入った時にはイルカは海の底の方へ向かって泳いでいってしまった。そして海の中に入って、本当にバナナのようにプカプカ浮けるのだと、さっきは笑ってしまったお兄さんの話にも納得し安心した。
船に戻って、船でイルカの群れがいるところまで行く。そしてお兄さんが「飛び込んで」と言い、慌てて飛び込むと自分の真下をイルカたちが泳いでいる。イルカの後を追いかけて、追いかけて泳いでいると、1匹のイルカがこちらを振り返り戻ってきた。手を伸ばせば届きそうな距離にドキドキしてしまう。 そしてまた船に戻り、イルカがいるところまで船で行き「飛び込んで」のかけ声とともに海の中へ勢い良く飛び込む。するとまたイルカの群れが真下を泳いで行く。親子のイルカを見る事ができた。その親子の後を泳ぐイルカは顔の周りに白いものがヒラヒラとしていて、怪我でもしているのかな?と思っていたら、なんとイカをくわえて食べようとしているところだった。
その後も数回潜ったが、たくさんのイルカを見る事ができ、興奮と感動で大満足。少し疲れてきたのでもう潜らないと伝えると、お兄さんが「イルカの写真を撮ってから浜に戻ろう」と行ってくれ、イルカがいる場所に連れて行ってくれる。イルカは何匹も見る事ができるが写真に納めるのはなかなか難しい。イルカを見つつ30分くらいかけて浅瀬に到着した。船を降りて、浅瀬の中を歩き、浜辺に戻ってマスクとフィンを返す。乗ってきた車に乗り込み宿まで送ってもらってツアーは終了。
とても幸せな大満足な気持ちで宿に戻ってくることができた。最初は海に飛び込んで溺れないのかな、などと心配をしていたが、海の中では容易に浮く事も泳ぐ事もできる。最初は飛び込むのに躊躇してしまったが、イルカと泳ぐために大事なのは勢い良く飛び込んでイルカについて泳いで行く事だと思った。海の中に入ると一面真っ青な世界が広がり、そこにイルカがいて一緒に泳ぐというのは本当に感動する瞬間だ。そしてイルカの優しくて可愛い顔を見て癒されると共に、とても幸せな気分になった。人生でやってみたいことのひとつを今回達成することができたが、また行ってみたいという気持ちが強くなった今回のツアーだった。
(2012年12月15日)
*「PolePole」とはスワヒリ語で「ゆっくり」と言う意味です。タンザニアのゆったりした雰囲気をこのページで伝えられたらと思います。