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  • 執筆者の写真白川

Pole Pole No.7  タンザニアの人の温かさ

後藤由紀子(ごとう ゆきこ)

  タンザニアに住んで早くも1年が経った。初めての海外暮らしとひとり暮らし。どうなることかと思ったけれどなんとか1年過ごす事ができた。これも周りの人たちのおかげだと思う。それは道端で出会った人から近所の人まで多くの人の温かさと助けがあってだと思う。色々なことがあったけれど今回はその中でも印象に残っている人とのやりとりをいくつか紹介したいと思う。

 理由は覚えていないけれどある時タンザニアで生活することにちょっと疲れて下を向いてぼやぼやと歩いていた日があった。すると突然前から「Jambo!(やあ)」という声が聞こえてきた。一体誰だろう?と思って顔をあげるとそこにはすてきな笑顔があった。でもそこにいたのは私の知らないおじさんだった。偶然道で出会った彼の元気な挨拶と満面の笑みで何故だか私の張りつめていた気持ちはなくなり、心がふと軽くなった。それと同時に私が好きなのは知らない人同士でも挨拶をし合ったりできるこの人と人との関係で、それがタンザニアを好きになった理由のひとつだったなと、原点を思い出させてもらった。 日本では全く知らない人に挨拶をすることはなかなかないと思う。けれどここタンザニアでは全員ではないけれど知らない人も挨拶をしてくれる。タンザニア人同士を見ていてもお店で同席したときなど知らない人同士でも挨拶をしている。そしてその挨拶に気持ちが入っていると人のことを元気にするのだなと挨拶の大切さを一瞬道ですれ違った彼から学んだ。

<ダルエスサラームの街と港>

 また別の日に殺虫剤を買いにスーパーマーケットに行った。売り場で商品を手に取ってどれがいいのかな〜と見ていると、側にいたカップルの男性が「ゴキブリ出るの?だったらこれがいいよ!」と商品を手に取って教えてくれる。私が殺虫剤を探しているということを伝えると「じゃあこれが本当にいいよ。この彼女もゴキブリが嫌いで家でも使っていているけどよく効くよ」と教えてくれた。それでは試してみようとひとつ買ってみた。するとタイミングがいいというのかその日の夜にゴキブリが現れたので早速スプレーを使ってみると効果はてきめん。教えてもらった殺虫剤が効いたのはもちろんよかったけれど、私がいいなと思ったのはこうしてスーパーの中でも会話が生まれること。スーパーではほとんどの場合は形式的でお店に入って商品を選んで会計をしてお店を出る。この間に誰かと会話をすることはほとんどないと思う。けれどこうしてお客さん同士で、それも知らない人同士でこれはいいよ、とかそういった会話ができるのはすてきだなと思う。知らない人にも気軽に話しかけ、困っているときに助けてくれる人たちがいる。そうした人たちに出会う度に心が温かくなる。

<近所の道>

 話はまた別になるが私は普段朝7時すぎに家を出て、家に戻ってくるのは夜なので近所の人と接する機会はほとんどない。時々会えば挨拶をする程度で同じアパートに住んでいる人を把握していない。この関係は日本とあまり変わらないのかなと思う。先日アパートのことに関して教えてほしい事があり、アパートのまとめ役のようなことをしている下の家を訪ねた。それまでほんの数回挨拶した程度の関係でお互いのことはほとんど知らないない。突然訪ねて大丈夫かなと不安を持ちつつベルを鳴らすとその家のお父さんが出てきてくれた。「こんばんは。ちょっと教えてほしいことがあって・・」というと彼は家の中へどうぞと快くいれてくれた。ソファに腰をかけてまずは自己紹介をはじめる。そして彼の家族のことを壁にかかっている写真を指さしながら教えてくれる。家族の話から年末はどこに旅行に行くか、仕事のことなどを話した。「ところで、今日来たのは〜」と言わないといつまでも楽しい会話が続きそうだった。ご近所さんのことを知れたのはもちろん嬉しい。もっと嬉しかったのはそれまでよく知らなかった私のことを快く家に招き入れてくれて、家族のことなど普通の会話ができたことだ。私は玄関先で話をして話を終わるものだと思っていたので少しビックリした部分もあった。日本でもし突然近所のあまり面識のない人が訪ねてきた時にその人のことを快く家にいれて、会話を楽しめるかなと思うと、もちろん環境や状況が違うことはあるけれどやっぱり難しいと思う。ここは人と人の距離が近く、温かい態度で接してくれるのがひとりで暮らしている私には嬉しかった。

<知り合いの一家>

 もちろん住んでいればいいことばかりじゃない。イライラする事もなんでこんなことされないといけないの!なんでこんなことが起こるの!と怒ることも悲しくなることもある。時にそれはタンザニアの人が原因だったりすることもある。けどそんな私の気持ちを治めてくれるのは上記のようなタンザニアの人たちの温かさと優しさだ。まだしばらくタンザニアでの生活が続く予定だ。その中で出会うタンザニアの人たちの温かさと優しさから学び、今後の人生に活かしていけたらいいなと思う。

(2013年4月15日)

*「PolePole」とはスワヒリ語で「ゆっくり」と言う意味です。タンザニアのゆったりした雰囲気をこのページで伝えられたらと思います。

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