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  • 執筆者の写真白川

Shwari No.2 Lukani village― ルカニ村滞在記 ~キリマンジャロの村より~―

石原裕介(いしはら ゆうすけ)  キリマンジャロ山麓、標高1,500m程のところにあるルカニ村。ここは弊社スタッフ、アレックスの生まれ故郷であり、今では弊社が行う農村滞在プランの滞在地の一つにもなっている村で、キリマンジャロ山に降る豊富な雨によってもたらされる、緑が大変豊かなところです。先日、そのルカニ村に、3泊4日という短い時間でしたがお邪魔してきました。

 ダルエスサラームをバスで北上すること560㎞、およそ8時間。まずはキリマンジャロ山の麓の町、モシまで向かいます。「タンザニアの長距離バスはものすごいスピードで飛ばす」と言われている割に、意外と丁寧な運転で快適でした。(頭上の荷物置きから他人のバッグが落ちてきて頭に直撃したことはありましたが…)モシからさらに、乗用車に乗り換え山を登ること1時間、ついにルカニ村に到着です。

<村の子どもたち>  村に着くとさっそく子どもたちから熱烈な歓迎(いや、洗礼?)を受けます。どこからともなく子ども達が集まってきて、遊ぼう遊ぼうという声がかかるのです。まさに歌あり踊りありの世界ですが、一緒になって遊んでいるとあっという間に時間は過ぎ、気がついたころにはもう日が落ちています。それでもなお子どもたちは元気いっぱい遊んでいて、夜になって私が宿泊先の家に戻った後も、子どもたちの笑い声が家の外に響いていました。

<静かな夜>  日中は日差しが強く、それほど気温の差は感じませんでしたが、やはり高度が高い分、朝晩はセーターが必要なくらい気温は下がります。本当にとても涼しく過ごしやすい快適な気温で、夜寝苦しいほど暑いダルエスサラームが嘘のようでした。そしてさらに、星空の美しいこと…。空には満天の星空が広がり、また木々の隙間からかなり低い位置にも星が見えていました。そのためか、いつもより空に近くなった気がします。

<緑豊かな村>  道沿いに広がる農園では、バナナやキリマンジャロコーヒー、アボガドやその他たくさんの種類の木々や作物が植えられていて、村を歩いていると、本当に緑がきれいだなと感じます。また、道中いろいろな人や動物に出会えました。ふとニワトリが歩いているなと思っていたら、その後ろを小さなヒヨコ達が親鳥について歩いていたり、ヤギや牛、またその世話をする子ども達など。都会では絶対に感じることのできない、のんびりとした時間の流れを感じます。

<ルカニ村の小・中学校>  村の小・中学校にも見学に行きました。小学校では子どもたちが授業を受けていて、和気あいあいと、楽しそうに勉強していました。鐘の音が響くと、休み時間なのでしょうか、みんな一斉に外へ走り出し、追いかけっこを始めます。  一方、中学校はまだ建設途中で、すべての学年に授業を行えていないのが現状のようです。それでも、生徒が一生懸命勉強している様子が伝わってきました。かつては一握りの子どもでしか中学校に進学できなかったそうですが、昨年はルカニ小学校のほとんどの卒業生がこの中学校に進学できたそうです。 

 滞在中はその他にも、教会の日曜礼拝へ行ったり、ピックアップトラックの荷台に乗って山を降り、麓の市場へ買い物に出かけたりもしました。どれも、日本のみならずダルエスサラームでもめったに体験できないものでしょう。久しぶりに都会の雑踏を離れ、身も心もリフレッシュすることができました。

 また、滞在中、アレックスから村の話を聞くことで、ルカニ村の苦悩も垣間見たような気がします。かつてこの村の主要な換金作物はキリマンジャロコーヒーでした。しかし、世界的なコーヒー価格の暴落から、農家はコーヒーの生産を続けていくことができず、次々と栽培は放棄され、同時に村人の生活水準も年々低下しているのだそうです。 キリマンジャロコーヒーと言えば日本人のほとんど誰もが知っているコーヒー豆ですが、日本からは知ることのできない、コーヒー産地の現実がそこにはありました。現在ルカニ村では、京都大学の辻村英之先生が村人と協力しながら、日本へのフェアトレードコーヒーの輸出に取り組んでおられます。そのコーヒーの売り上げの一部は積み立てられ、前述の中学校の建設に使われる予定だそうです。そして今夏には、フェアトレードコーヒーの産地を訪ねるツアーも日本から計画されています。

 この滞在を通して、決してダルエスサラームでは見ることのできない、タンザニアの一面をほんの少しだけ感じられたような気がします。 

(2009年3月15日)

*「Shwari」  私の大好きなこの言葉は、スワヒリ語で「平穏」を意味し、タンザニアでは挨拶でも   用いられるほど頻繁に使われます。このコーナーでは、そんな穏やかでのんびりした   タンザニアの様子を、みなさんにお届けしていきたいと思います

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JATAツアーズのスタッフたちが綴るタンザニアをご紹介します。 ​【目次】 ​ ★Kusikia si kuona(百聞は一見にしかず) - 相澤 俊昭 ★Tunatembea - 白川 千尋 ​ ★Habari kutoka Lukani(ルカニ村ニュース) - アレックス(ルカニ村出身) ​ ★Habari kutoka Kingolwira(キンゴルウィラ村ニュース) - グビ、ハミシ、ヤウ

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