白川
Shwari No.5 Gombe Stream National Park -ゴンベ渓流国立公園-
石原裕介(いしはら ゆうすけ)
タンザニアの東部、タンガニーカ湖東岸にあるゴンベ渓流国立公園。ここは、著名なチンパンジー研究家、ジェーン・グドールがチンパンジーの調査・研究を行っていたことで有名なタンザニア最小の国立公園だ。緑豊かな木々に覆われた山にはチンパンジーが住み、他にも、レッドコロブスモンキーやヒヒなど、霊長類が多く生息する。
先日、日本からのツアーに同行し、そのゴンベへ2泊3日で行ってきた。チンパンジーに関する知識もなく、今まであまりチンパンジーのことを考えたこともなかったが、実際にこの目で見て、研究者の方々からお話を聞くことで、とても勉強になり、またすばらしい経験となった。今回はそのゴンベの様子をお伝えしたいと思う。
初日は移動で終わってしまったが、翌日からチンパンジーを見に、チンパンジートレッキングに出かけた。チンパンジーを追いかけ山に入っているトラッカーからガイドに連絡が入り、その連絡をもとにガイドが私たちを森へ案内する。時には汗だくになりながら急斜面を登り、時には木や枝を潜り抜けるように歩いていく。そして、30分から1時間くらい歩いただろうか、ついにチンパンジーのグループと出会うことができた。
チンパンジートレッキング中は、常にチンパンジーと同様に行動する。チンパンジーが動けば私たちも動き、彼らが止まったら私たちも止まる。時に見失うこともあるが、彼らの後を追ってしばらく歩いていると再び遭遇することが多かった。チンパンジーをこんなに近くで、またこんなに長く見られるとは思っていなかったし、最後にはチンパンジーがレッドコロブスモンキーを狩って食べているところまで見られたので、大満足だった。
最近は、特定の動物を棚に上げ、「知的だから保護しましょう」「かわいいから保護しましょう」といった議論がまかり通るようになっている。しかし、その動物と人との関わり方や、その動物の自然界での位置づけをしっかり考えていく必要があると思うし、ある限られた種類の動物だけではなく、自然を全体として考えていかなければならないと思う。今回チンパンジーとのふれあいを通して、そういったことを深く考えさせられた。
(2009年9月15日)
*「Shwari」 私の大好きなこの言葉は、スワヒリ語で「平穏」を意味し、タンザニアでは挨拶でも用いられるほど頻繁に使われます。このコーナーでは、そんな穏やかでのんびりしたタンザニアの様子を、みなさんにお届けしていきたいと思います