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Tupo No.2  食事とウガリ、健康志向

幾山 未有(いくやま みゆう)


タンザニアの魅力の一つである食事。日本と同様、主食、主菜、副菜が揃っていて、味付けは主に塩で、スパイスやココナッツミルクを使うこともありますが、比較的癖がなくおいしいものが多いです。(そして私の場合、つい食べ過ぎてしまいます・・)そこで今回は、日頃私たちが口にしている日常の食事について、また周りのタンザニア人から聞いた健康志向について、紹介したいと思います。

<タンザニアの食事> まずは、一般的な食事について、紹介します。 昼食・夕食で食べる主なメニューを簡単に説明すると以下の通りです。 主食・主菜・副菜をそれぞれ組み合わせて食べます。

【主食】 ウガリ(※)、ワリ(米を塩と油を入れて 炊いたもの)、ピラウ(スパイスを入れて 炊いたご飯)、ビリヤニ(細長いお米をスパイス等を入れて炊いたもの。)ンディジ(料理用バナナ)、チプシ(フライドポテト)など。 ※ウガリ・・・詳しくは後述

【主菜】 牛肉、鶏肉、豚肉、ヤギ、魚、タコ、イカなどが入ったメイン料理。ムチュジ(トマトベースのソース)に入っていたり、塩やスパイスを振って焼いたりしたものなどがある。(牛肉・鶏肉・魚は比較的どこの食堂にもある。)

【副菜】 マハラゲ(豆を煮たもの)、ムチチャ(ほうれん草のような葉をトマトで炒めたもの)、ムレンダ(オクラなどが入ったネバネバのおかず)、カチュンバリ(トマトや玉ねぎなどのサラダ)、カベチ(キャベツをトマトで炒めたもの)、ジェゲレ(グリーンピースをトマトで炒めたもの)など

最近、日本でもテレビなどで取り上げられることも多い、ザンジバル。タンザニアで最も有名な観光地の一つです。テレビなどでは、明るく華やかな観光地の部分を主に紹介されていますが、一方で、奴隷貿易で栄えたという歴史もある場所です。ザンジバル・ストーンタウンにある旧奴隷市場跡には数回行っていますが、行くたびに昔の過ちに胸を痛めるとともに、今のタンザニアはありがたいと感じます。今回は、そのザンジバルを中心に行われていた奴隷貿易について、紹介したいと思います。

■奴隷売買 19世紀、ザンジバルでは、奴隷の売買が全盛期を迎え、オマーンのスルタンの支配のもと、アラブの商人たちを中心に東アフリカ最大の奴隷市場が開かれていました。 奴隷売買というと、現地の人はみな被害者かと思われがちですが、実際は少し違いました。イランやアラブの商人だけではなく、その地域の首長や商人が協力していることもありました。当時、象牙や奴隷売買などで富を得た最も有力な商人だったティップティプは、アラブ系スワヒリ商人の父とオマーン人の母を持ち、ザンジバルで生まれました。また内陸部タボラの首長ミランボも彼に協力していました。スワヒリ人・アフリカ人である彼らは、それぞれ、タンガニーカ湖の西側と東側の支配を進め、当時の象牙や奴隷などの貿易によって巨大な富を得たと言います。当時、アフリカ人が奴隷として売られた陰には、こうした現地の人たちの関与もありました。その他色々な理由で連れて来られた奴隷たちが、ザンジバルの奴隷市場に集められ売られていく、そのような時代がありました。

■内陸から奴隷市場へ 奴隷たちは、現在のタンザニアだけでなく、コンゴやケニアなどの国々から、陸路をひたすら歩かされ、バガモヨ、モンバサ、キルワといった海岸の奴隷市場へと連れて来られました。移動は、鎖でつながれながら、鞭で叩かれ、食べるものもろくに与えられず、非常に過酷だったといいます。それは数か月にも及ぶ過酷な旅で、多くの人が亡くなりました。そのような過酷な旅をすることで、強い奴隷だけが残り、ザンジバルの奴隷市場へと運ばれていきました。ザンジバルへの船を待ちながら、どんな思いでこの広いインド洋を見ていたのでしょうか。

いつも平日のお昼ご飯は、ローカルの食堂へ行ってこういった食事をしています。少しでも安くておいしい店を求めて放浪するのですが、こちらのローカル食堂は、ひっそりと営業していることが多く新規開拓が一苦労です。主に知り合いや口コミなどで広がるのですが、商売っ気がないところも好きです。

📷 <左:ポスタハウス食堂、右:FASTAFASTAの入り口。看板もなくまったく食堂がありそうに見えない・・>

<ウガリ> タンザニア人にとって無くてはならない主食、ウガリについてもう少し詳しく紹介します。ウガリは、お湯を沸かしてトウモロコシ粉を加え練ったもので、地方によってはミホゴ(キャッサバ)やクンデ(ササゲ(小さな赤い豆))を使用 することもあります。個人的には、ミホゴが入っているウガリが少しねっとりして好きです。

📷 <ミホゴ入りウガリと魚(ムワンザにて)>

ウガリを作るのはかなりの力仕事で、慣れていない私では、一人分がやっとです。

📷 <学校給食のウガリを作る様子。3人がかりでこねています>

食べるときは、手で食べやすい大きさにちぎって、よくこねて食べます。手でこねることによって、柔らかくおいしいウガリになります。 タンザニアの人たちにとってのウガリは、日本人にとっての白米のようなもので、ウガリを食べない日は無いし、ウガリを食べないとすぐにお腹が減ってしまって力が出ない、と言ってしょんぼりしている人もるほどです。それくらい欠かせない主食なのです。

また、ウガリには、大きく分けて2種類あります。センベとドナです。

📷 <左側がドナ、右側がセンベ>

センベは、殻を除いた白い粉を使用しますが、ドナは脱殻していない少し茶色みがかった粉を使います。お米に例えると、センベが白米、ドナが玄米、と言ったところでしょうか。 センベは、色が白くふわっとしていて柔らかい。ドナは、少し茶色くざらっとした感じがするのですが、食べているとほんのりとしたえぐみがあり、なんとも味わい深いです。昔はセンベが好きでしたが、最近はこのドナのおいしさが分かるようになってきて、ドナ派になりました。

<ダルエスサラームの健康志向>  タンザニアの人たちも、昔はセンベを好んで食べており、ドナは貧しい人が食べるもの、というイメージだったそうです。しかし現在は、ドナの方が栄養があって力が付く上に、健康にもよいということで、健康志向の人が多い、ここダルエスサラームでは、ドナの人気が高まってきました。(よく行く食堂では、ドナの注文の方が多いそう。)

しかし、さらに健康志向が高い、あるいは潔癖症の人も中にはいて、外食ではセンベしか食べないという人もいます。その理由は、トウモロコシには虫がつかないよう農薬を散布されていることが多いのですが、脱殻していないドナの場合、それをキレイに洗ってから粉にしている場合と、そうでない場合があるというのです。安い食堂、あるいは外食でドナを食べるということは、農薬を摂取してしまう可能性があるのでできるだけドナを避け、自宅でのみ生産元の分かっているドナを食べるというわけです。  また、先日出会った青年は、かなりの健康志向なようで、おかずを作るときは、魚を揚げる時以外は、一切油を使わないそうです。タンザニアの人気料理の一つ、チプシ(フライドポテト)を食べるなど、もってのほかとのこと。そしてこの方針は、彼の祖母の時からのようで、その祖母は、現在105歳でもピンピンしているそうです。祖母の時代であれば、このような健康志向はかなりの少数派だったはずですが、当時からこの意識の高さには、頭が下がります。

こういった健康意識の高い人たちは、油はヒマワリ油100%、高血圧・糖尿病を気にして塩・砂糖は控えめ、という日本人と変わらない気の使いようです。私が出会った人は、省庁勤めの人や新聞記者、その他身なりのきれいな人が多かったので、タンザニア全土でみると彼らはまだ少数派だとは思います。ですが、ダルエスサラームの中心部では、こういった人がかなり増えてきているのではないでしょうか。

また、最近は衛生面にも気を使う人がいるようで、食堂で出会った人のうち数名ではありますが、手でウガリをこねず、スプーンで食べていました。私からすると、ウガリを手でこねずしておいしいわけがない!と思うのですが、尋ねてみると、直接手で触って食べるなんて汚い、ウガリが熱くて直接触れない、などと言うのです。まるで日本人のような感覚ですね。 私としては、炒めているというより揚げているのでは?と思うほど不純物の多い油をたっぷり使ったタンザニア料理が好きだったので、このような傾向は少し寂しいような気もしますが、今後さらに洗練されていく彼らの変化を見守っていけたらと思います。

<おまけ その①> 週に一度は行くポスタハウス食堂 (街中、ガーナ通り:Ghana Avenueにあるポスタハウスの社員食堂ですが、誰でも利用できます。 営業時間7:00-15:00)のメニューを紹介します。(2016年9月現在) 安くておいしくて副菜も豊富で、色々と違う食堂も行ってみましたが、やはりここが一番です。 以下は、お昼(12時)のメニューです。

Ugali Nyama [ウガリ、牛肉のムチュジ、副菜] TSh. 2,500 Ugali Maini [ウガリ、レバーのムチュジ、副菜] TSh. 2,500 Ugali Dagaa [ウガリ、小魚のムチュジ、副菜] TSh. 2,500 Ugali Chicken/Beef curry[ウガリ、チキン/ビーフカリー] TSh. 3,500 Ugali Kuku [ウガリ、鶏肉の素揚げ、副菜] TSh. 4,000 Ugali Samaki [ウガリ、魚の素揚げ、副菜] TSh. 5,000 MIXER YA NDIZI [ンディジともう一つ主食を選べる。牛肉のムチュジ、副菜] TSh. 3,500 (ンディジ以外でも、リクエストすれば2種類の主食を半分ずつよそってくれて、色々な組み合わせが可能。) Biliyani Mbuzi [金曜だけの特別メニュー。ビリヤニ、ヤギの肉を焼いたもの、カチュンバリ] TSh. 5,000 Juice(Ukwaju/Parachichi) [タマリンド/アボカド+パッション+マンゴの2種類] TSh. 500

* 主食は、ウガリの代わりに、ワリorピラウorンディジも選択可。(センベの場合はTSh. 500さらに安くなる。)ンディジは、モシ産とブコバさんがあり、モシ産は柔らかく、ブコバ産は少し固め。おすすめはモシ産。 * すべてに副菜が付く。主にマハラゲ、ムレンダ、ムチチャorチャイニーズ、カチュンバリ、カベチ。運が良ければ、全部入っていることも。運が悪いと、マハラゲとムレンダのみという悲しいときもある。 * 副菜のジェゲレは、オーダーすれば+TSh. 500でつけてくれる。 * ジュースが激安だがおいしい。タマリンドのジュースは少し砂糖が多めなので要注意。

📷 <左:ご飯・チキンカリー、中央:ミクサー(ご飯と料理用バナナのハーフ&ハーフ)、右:ピラウダガー(ピラウと小魚のムチュジ)>

混雑時は、一度に10人以上から注文を受けるが、敏腕スタッフJUMAさん(写真右側)は、すべての注文を覚えることができ、厨房に通す。厨房が間違えたものを出してきたら即指摘するという素晴らしい記憶力。 📷 <ポスタハウスの注文カウンター>

<おまけ その②> その他、朝食や昼食に食べる軽めの食事も色々あります。私のお気に入りを少し紹介します。 【サンブサ】日本でもインド料理に行くと食べられるサモサのようなもの。肉が入っているものが多いが、個人的には、ジャガイモのサンブサが一番おいしいと思う。(毎日食べても飽きない)

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【ザンジバルピザ】 通常のピザとは違い、生地でミンチ肉・野菜・玉子などの具を包んだものを両面焼きあげる。

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【チプシマヤイ】 フライドポテトの玉子とじ。フライドポテトも玉子も両方日本にあるのに、なぜこの最強の組み合わせが日本にはないのかと思わせる。

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【ムトーリ】 料理用バナナのスープ。ジャガイモのポタージュスープのようでとてもおいしい。 疲れた胃を優しく包み込む。 📷

📷 <左:ハーフケーキ、右:マンダジ(ドーナツ)>

📷 <左上:料理用バナナ、右上:MAGINBI(サトイモのような大きい芋)、左下:キャッサバ、右下:サツマイモ>

(2016年10月1日)

*Tupo とは、スワヒリ語で私たちは(一緒に)いる、という意味です。 タンザニアという国とその人々に寄り添って、タンザニアの今をお伝えしていきたいと思っています。

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スタッフ投稿【目次】

JATAツアーズのスタッフたちが綴るタンザニアをご紹介します。 ​【目次】 ​ ★Kusikia si kuona(百聞は一見にしかず)    相澤 俊昭 ​ ★Habari kutoka Lukani(ルカニ村ニュース)  アレックス(ルカニ村出身) ​ ★Habari kutoka Kingolwira (キンゴルウィラ村ニュース)  グビ、ハミシ、ヤウミ(キンゴルウィラ村出身) ​ ★Hab

 

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