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Tupo No.4  初めてのキルワ

幾山 未有(いくやま みゆう)

 先日、初めてキルワへ行ってきました。ダルエスサラームから約330km南にあり、ダルエスサラームからバスで約5~6時間かかる場所にあります。昔はかなりの悪路で長時間かかったと聞きますが、今ではほぼ舗装道路で、実に快適なバスの旅です。

 キルワは、海に面した小さな町で、港やビーチからは小さな漁船が見え、町のはずれに行くと塩田やカシューナッツとマンゴの木々が広がっています。今では人も少なくのどかなキルワですが、かつては東アフリカ最大の都市だったそうで、当時の遺跡が未だ手つかずのまま残り、世界遺産として知られています。

 最近では、この素晴らしい遺産を保護・支援するため、アメリカやEUの支援が入っていたようです。EUのプロジェクトでは、以下の冊子が作られ、キルワの見どころや様々なアクティビティを紹介しています。

 世界遺産のKilwa Kisiwani&Songo Mnaraや、ダウ船が固まってできたと言われるJiwe la Jahazi(ダウ船の石)、カバの聖地Mto Nyange、美しい海でのシュノーケリングが楽しめるRukila Island、アラブの建物が残る漁村Kilwa Kivinje、塩田など、見どころがたくさんあり、私もいくつか体験してきました。その中でも私のお気に入りをご紹介したいと思います。

■世界遺産 Kilwa KisiwaniとSongo Mnara

 キルワの世界遺産は、主にKilwa KisiwaniとSongo Mnaraにあります。キルワの町の中心部Kilwa MasokoからKilwa Kisiwaniへはボートで20分、Songo Mnaraへは同じくボートで1時間ほどです。

 どちらも14~15世紀のモスクやアラブ人の家や宮殿、お墓などが残っています。これらは、ザンジバルのストーンタウンやバガモヨにある建物と同様、珊瑚や石灰が使われており、当時のアラブらしいデザインの建築物です。それも一つや二つではなく、これだけ集合した状態で、人の手が加わらず(ある意味放っておかれている?)現在まで保存されていることが認められ、世界遺産に認定されているとのことです。

 世界遺産を眺めながらも、村の様子も垣間見ることができ、とても楽しい散策でした。

<Kilwa Kisiwani>

【Gereza(ゲレザ)】  16世紀初めポルトガル人の教会として建てられたが、後にアラブ人によって砦として使用された。  左:海側から、右:島から撮影

【Msikiti Mkuu(大モスク)】  当時最大のモスク。何度も改修し使用された。  左:内観、右:Kibla(メッカの方向を示すドーム型の場所)奥のKiblaが初めに作られたが、後に手前のKiblaが作られたため、2つKiblaがある。

【村】  左:島の中心部。キオスクらしきものは、この店一つしかない。  右:木陰でラジオを聞きながら、Mkeka(ござ)を編む

 左:村のおしゃれな娘さん。お祝いでも何でもなく、普段着がこれとはおしゃれだ。  右:水道はないので、井戸で水を汲む。深さは30mくらいだろうか。ちなみに電気も無い。

<Songo Mnara>

 左:潮の状況によるが、マングローブ林の中を水に浸かりながら遺跡群へ向かう。  右:【Mnara wa Songo(Songo塔)】ここに塔が建っていた。今はこのあたりまで海水が満ちる。

【Kasri Ya Sultani(スルタンの宮殿)】

 左:外観。バオバブの木々に囲まれていて木陰になっている。  右:中にある集会所のような場所。

 左:珊瑚がのぞいている壁。  右:マングローブの木を使った天井。

 散策で渇いたのどをココナッツジュースで潤す。内側のプルプルゼリーは絶品。

 小さな漁村があり、ちょうど魚とロブスターを捕獲したところに出くわす。(ちなみに、この魚はその日の晩御飯としておいしくいただきました。)

■Olelo View Point

 View Pointはそれほど特別なものではないですが、そこに行くまでの自転車&徒歩での道中が気持ちがよいし、様々な渡り鳥が見られるのが特徴です。カワセミやハチクイをはじめ、なんと野生のオウムにも出会えました。(片道自転車1時間+徒歩30分)

 左:マンゴとカシューナッツの木々の横を走る。  右:オウムに出会えるのは、かなり珍しい。

 Olelo View Pointからの眺め。塩田や向こう側の陸が見える。  1時間の自転車と30分歩いた後の魚のスープは格別。

■キルワの人々と生活

 キルワの人々はというとその雰囲気がとても好きになりました。おとなしくて穏やかで、人をだます気配が全くありません。外国人を見ると一旦は少し険しいような構えた顔をしますが、挨拶したり手を振ったりするだけで、一気に顔がほころびます。今回一人旅でしたが、一度も寂しいと思うことはありませんでした。

 物価もダルエスに比べるとかなり安く、収入もそれほど高いようには見えませんが、貧乏な感じはあまりなく、緩やかに穏やかに生活している印象です。外国人へのしつこい勧誘や、生活に対する愚痴もあまり聞きませんでした。

 ちなみに、ここに住む民族は主にMatumbiとNgindoです。Matumbi語を少し習ったので、ご紹介します。Matumbi語はスワヒリ語と共通する言葉が多いようです。スワヒリ語もMatumbi語もするすると滑らかにしゃべるので、初めにMatumbi語に切り替わったのを聞いた時、スワヒリ語かと思いました。

 ・おはよう Habari ya kindae?  ・こんにちは Habari ya mwitwekati?(お昼) / Habari ya kitamwinyo?(夕方)  ・こんばんは Habari ya kiloo?  ・ありがとう Dashukuluu

 また、キルワの人々にとって欠かせないのは、やはり海の幸です。私も毎日魚のスープや揚げたものを食べていました。ただ最近は、価格が高くなってきているようで、地元の人たちにとって手に入りにくくなっているといいます。

 Kilwa Kisiwaniでは最近、獲った魚をほとんど外へ出荷してしまうようですし、個人的に楽しみにしていたタコも、最近はあまり獲れず苦労しているそうです。

 左:連日の魚のスープ。かなり塩がきついがおいしい。塩とライムのみで味付けするのがキルワ流。  右:エイのから揚げ。油がのってとてもおいしい。肉厚で満腹になる。

 左:キルワ滞在最終日にやっと出会えたタコ。店のママ曰く、ここ数日タコを探し歩いたそう。タコを入手できずに店を開けられない日が続いたとか。  中:港で出会ったイカ。売ってもらおうと近寄ったが、これは漁師さんたちが自分たち用に釣ってきたもので、売り物ではないとのこと・・残念。  右:こういった小魚はたくさんとれる。天日干しをするので日持ちもする。

★Special Thanks★  今回の旅でお世話になったのは、Kilwaの中心部Kilwa MasokoにあるKilwa Info Centre。EUのプロジェクトで、地域情報を提供するこのセンターが建てられたそうです。ここには常にガイドがいて、ツアーやアクティビティの手配をしてくれます。私は暇な時間ここに入り浸って、一緒におしゃべりしたり、昼寝したり、ご飯を食べたりしていました。こんな変な私を受け入れてくれる優しい人たちです。

 左:Kilwa Info Center外観  中:いつもの仲間とランチ  右:一番お世話になったJamila。ガイド歴12年とベテラン。私の拙いスワヒリ語や質問攻めにもいつも優しく笑顔で対応してくれました。また家の夕食にも招待してもらったり、別れ際にピアスのプレゼントをくれたり、と感謝しかありません。大事な友達の一人になりました。

★おまけ★  その他、Kilwa Kivinjeという町や、シュノーケリング、塩田にも行きました。

【Kilwa Kivinje】

 左・中:キルワの中心部(Kilwa Masoko)から約25km離れたところにある小さな町。かつてはアラブ人が多く住んでいたため、アラブらしい建築物並ぶ。  右:Kilwa Kivinjeで歴史を語るおじいさん。猫を手なずけている。

【シュノーケリング】  左:近場の海だったからか、クラゲが多かった。Rukila Islandまで行けば、もっときれいだったかも。  右:地域のママ達のグループが運営する塩田。この頃はすでに収穫が終わってしまっていた。雨の時期にもよるが、大体7月、10月、12月と年3回、塩の収穫をするのだそうだ。

 キルワの子どもたち。

                                                            (2017年2月1日)

*Tupo とは、スワヒリ語で私たちは(一緒に)いる、という意味です。 タンザニアという国とその人々に寄り添って、タンザニアの今をお伝えしていきたいと思っています。

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