白川
Tupo No.7 絵本作家 ジョン・キラカ
幾山 未有(いくやま みゆう)
ここタンザニアには、多くのアーティストがいます。歌、ダンス、絵、彫刻など、様々なアーティストがいて、道端で絵を売っていたり、博物館やアートスペースなどがいつもどこかでイベントを催しています。そのせいか、日本に住んでいた時より芸術をとても身近に感じることができ、生活の一部として楽しむ、という感覚が少し分かってきたような気がします。
そして先日、ひょんなことから、絵本作家で語り部のジョン・キラカ氏と出会いました。今回は、タンザニアが誇るアーティストの一人である彼とその魅力についてご紹介したいと思います。
そして、彼は私にも、絵本の作り方を少し教えてくれました。 「さて、どんな絵本を作ろうか。」 「どんな動物が登場すると面白いかな?」 「この登場人物は、ちょっと意地悪にしてやろう。きっと面白いぞ。」 「この子は、ずるがしこいんだけど、あとで痛い目をみるんだ。」 「そして、主人公は、知恵をみんなに教えるんだ。」
まったくの素人である私も、気軽に、「じゃ、こんなのはどう?」と提案すると、お腹を抱えて笑ってくれます。「君は人を笑わせるのがうまい!」普段そんなことを思ったこともありませんが、彼の手にかかると、次々とこうしてやろうとか、ああしたら面白いんじゃないか、というアイデアが浮かんできて、あっという間に時間が過ぎます。
こうしてストーリーを考えている彼の表情は、とても豊かで、難しい顔をしていたかと思うと、にやにやしたり、時には突然笑って吹き出したりすることもあります。隣を通ったハイヒールの女性が歩く音を聴いて、「まるで、ハイエナが骨をバキバキ食べているみたいだ!そんな場面を想像したら、面白くなっちゃった」などと言うのです。そんなことで、こんなに想像が膨らむとは・・・彼は面白いことを想像するのが大好きで、常に頭の中が面白いことでいっぱいなのです。
「僕は、人を喜ばせることが大好きなんだ。今ここで、僕たちが面白いと思って笑ったことは、絵本にして見せたら、子どもたちはきっともっと大笑いするよ!」
そう自信満々に言う彼は、とても楽しそうで、子どものようにウキウキした目をします。 彼と一緒にストーリーを考えていると、私も絵本作家になれる日が来るかも!?と本気で思わせてくれる彼の不思議な雰囲気に触れることができ、彼との会話はとても楽しい時間でした。これからも彼を初め、タンザニアのアーティストたちがますます活躍することを祈ります!!
そして、少し宣伝ですが、今月(2017年7月)末、彼がなんと大阪国際児童文学振興財団の招聘により来日し、大阪府立中央図書館にて、講演会を行います。ぜひ彼の話す姿を、そして絵本への思いを、実際に感じてください!彼を通して、タンザニアの良さが伝わりますように。
詳細は、こちらをご覧ください。 ▼大阪国際児童文学振興財団 ホームページhttp://www.iiclo.or.jp/03_event/02_lecture/index.html#kilaka
(2017年7月15日)
*Tupo とは、スワヒリ語で私たちは(一緒に)いる、という意味です。 タンザニアという国とその人々に寄り添って、タンザニアの今をお伝えしていきたいと思っています。