• 白川

Twende Pamoja No.8 どうする私?究極の選択

橋本芙美子(はしもと ふみこ)


 タンザニアに来てからはや1年4ヶ月が経ちました。到着してすぐから今に至るまで、ずっとどうするべきかわからないことがあります。それは、お金の助けを求められたときに渡すべきかどうか、ということです。ダルエスサラームでは通勤途中の大通りでよく見かけ、信号待ちのときに車の窓まできて「お姉さん・・・」と悲しい表情で手を出されます。また、子供たちはフロントガラスを拭いてきます。道を歩いていても、地面に座り込んでしまっている人の前を通るときはとてもつらいです。そんな人を見ると、どんな気持ちで一日を迎えているのだろう、と心がいたみます。

日本でホームレスの人々とすれ違う機会はあっても、声をかけられることがなかったのですが、ここでは外国人は特に声をかけられやすいかもしれません。いや、外国人でなくても基本的には誰でもです。旅行者であっても同じです。

そんなとき、どするのが良いのでしょうか。 ①お金は渡さない。 ②ほんとうにその人が非常に困っており、かつ自分にそのとき助ける力があるなら渡す。 ③タンザニア式助け合い精神で渡す。

これは多くの人から聞くことですが、お金を渡すことは、路上生活者・今現在他人からの金銭の助けによって生活している人がそのままの生活を続けることの手助けになってしまう、またお酒や麻薬を買う人がいるので、よくない。少しでも助けたいなら、食べ物を買って渡すほうがよい、というもの。なるほど。①を選択するなら、自分の心に渡さぬと決意しておいて、いざその場面になってもぶれないようにする必要がありそうです。②は見極めが難しそうです。③はよく見かけます。タンザニア人は、頼まれたときでも頼まれないときでもほんの小額を物乞いのおじさん・おばさんに渡す人が多くいます。こどもに食べさせる人も見たことがあります。持つものが持たないものに施すのは当然、という考えがあるようです。また、ホームレスの人に対してでなくても、小銭を渡すというのは感謝の気持ちを表したり、人間関係を円滑にしたりという役目も果たしているようにも思えます。 

先日同じビルで働く男性が、仕事が終わって帰り際に、門番のおじさんに自ら「コーヒーでも飲んで」と200シリング(小さなカップに入ったアラビックコーヒーは1杯50シリング)を渡していました。どうして渡したのか尋ねたところ、何かあったときに配慮してもらうため、たまに渡している、という回答でした。でも私には、いつもご苦労様という感じで心から喜んでそうしているように見えました。

またある日曜日のこと、車で走っていると、足の悪いおじさんが棒を支えにいつもの場所に立っているのが見えました。信号待ちの車を1つずつ回っており、私の番が来ました。この究極の選択について自分の中でまだ答えが出ていないので、とりあえず、「教会に行くけど行く?」と聞いてみました。そうしたら、「行く」というので一緒に行くことに。行くと言ったのは、今にも降り出しそうな空模様だったからかもしれません。道中では少しだけ話しました。その人は遠くからバスに乗って、わざわざうちの近くのインド人が多く住む地域に来て、道路に立っているのでした。妻子もいます。家族のために足が悪くても手を使って何か仕事ができるのでは、と言ってみようかと思いましたが、言えませんでした。

この人だって何もこんなところに立ちたくはないけど、今はそうするしか思いつかないんだろうな。もし私がどこの会社にも雇ってもらえなくて、自分で何か商売する力もなかったら、どうするだろう。路上に出る勇気もありません。礼拝が終わるとまた適当なところでおじさんを降ろしましたが、行きの車の中では200シリングか300シリングでいいから、と頼まれたのに、帰りの車ではもう何も言ってきませんでした。

路上の人々でなくても、家の警備のおじさんなどからもよく、交通費がないとか、誰々が病気になったので病院代、と言われます。難しいけど、どの選択をしたとしてもその人にとって一番良いようになりますように。タンザニアを出発するまでに、自分なりの答えを見つけたいです。

(2011年10月15日)

*「Twende Pamoja」  スワヒリ語で、一緒に行きましょう、という意味です。タンザニアのいろんな場所や出来事を紹介することを通して、タンザニアの魅力を一緒に発見していけたら、と思います。

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