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Upepo wa Tanzania 第9回 Malaria(マラリア) 

池田智穂(いけだ ちほ)


 マラリアとは、ハマダラ蚊の媒介するマラリア原虫の血球内寄生による伝染病である。赤血球内で増殖・分裂して血球を破壊する時期に発熱。隔日に高熱を発する三日熱、最初の発作から2日平温があって4日目に高熱を発する四日熱、および不規則な熱帯熱(悪性マラリア)に分かれる。【広辞苑より】

マラリアは、タンザニアでは死因の上位を占める恐ろしい病気であるとともに、とても身近な病気でもある。日本人にとっての風邪のようなもので体調が悪いと、「どうもマラリアのようだ」とか、「マラリア検査にいかなければ」と、タンザニアの人はよく言っている。私も少し調子が悪いというと、「マラリアかもしれないから検査してきたほうがよいよ。」と、タンザニア人の知人から言われるほどだ。  私はタンザニアに来て、1年半でこのマラリアに3回もかかった。ただ私の場合は、上記のように高熱は出ず、頭痛、下痢、嘔吐、めまい、だるさが続くというもであった。

 マラリアの検査は簡単にできる。公立の病院ならTsh500(約40円)、私立の病院でもTsh1,000~Tsh2,000(約90~180円)くらいで検査してくれる。人差し指に針を刺しそこらから血を採取して検査をする。検査結果は15分くらいですぐわかる。

 採取した血の中に寄生虫が含まれていれば「マラリアに感染している」ということになる。参考までに、寄生虫を見せてもらったが、円を半分に割った外周の中に点があるような形をしていた。

 診断書には、「白血球200中に寄生虫が○○個発見された」という風に記述される。

 この寄生虫の数も1個~100個くらいまであるそうだ。症状も人によって様々で、同じ寄生虫の数が出ても、その人の体力や、年齢によって症状は重かったり、軽かったりする。もちろん体力がない子どもや老人の場合は、寄生虫の数が少しでも症状は重くなる。私は今まで3個か2個しか出たことがないのだが、嘔吐、下痢、頭痛、ダルさが続きそれだけでもかなり辛い。私の知人で6個でたという人がいたが、その人はその時は若く、普通に少し体がだるかっただけだったという。かと思うと、2個でも、1週間ほど仕事を休んでしまうくらいつらい人もいる。一般的に寄生虫の数が多いと高熱も出るようだ。症状がひどい場合は、注射を打ったり入院までしなければならないが、それほどひどくない場合は、5日ほどの投薬で治る。

 現在、マラリアの薬もたくさん種類があって日本の風邪薬のように簡単に薬局で手に入る。家の近くの薬局にあるものを全て見せてもらったが、スイス製、ベルギー製、中国製、イギリス製など実にたくさんの薬があり、値段はTsh6,500~Tsh12,000(約600~1,100円)くらいだった。私は初めてマラリアにかかった時に、病院で処方してもらった中国製のものを飲んでいるが、よく効き、だいたい2日くらいでたいぶ症状は治まる。私が飲んでいるものは、一日一回、飲み始めの日は4錠、その後4日間は2錠ずつ飲み続けるというもので、薬が終わったら、もう一度きちんと寄生中が消えているか、検査しにいく。

 私が3回もマラリアにかかって、不思議に思ったことは、前述したように私がかかるマラリアはいつも高熱は出ず、初めは下痢、嘔吐、めまい、頭痛、そしてだるさがずーっと続くので、自分が想像していたマラリアと違った。はじめは何かでお腹を壊したのかなと思ってしまうほどだ。ただし、その後症状はどんどん酷くなり、めまい、頭痛も伴う。しかし一向に高熱出ず、微熱が続くのだ。

 そこで、その理由を調べるべく、いきつけの薬局のMr.Ismaelに質問をしにいった。(ちょうど薬を飲み始めて4日目で体調もだいぶよくなり、長く外出できるほど元気ではないが、家でただじっとしているのもつまらなかったからだ)彼が言うには、最近のマラリアは私のマラリアのように高熱が出ないものが多いという。(彼は高熱が出るマラリアのことをAcute(Clinical)Malaria【急性(臨床)マラリア】、最近多い高熱が出ないものをMalignant Malaria【悪性マラリア】と呼んでいた)その為、マラリアとすぐ分からずに、病院に行かず、悪化させてしまう例が多いそうだ。周りのタンザニア人に聞いても、ほとんどが「最近はマラリアになってもあまり熱がでないなぁ」と言うほうが多かった。だから、定期的にマラリア検査に行くことが大切なのだ。Mr.Ismaelはいろいろと医学用語を使って1時間ほど講義してくれたのだが、用語が難しくその半分くらいしか理解できなかったので申し訳ない。病院の検査をしてくれる人にも、図々しく実験室まで入れてもらって顕微鏡まで覗かせて頂いた。そこでも、忙しいのに丁寧にいろいろと説明をしてくれ、また「タンザニア人は何て親切なんだ」と思わずにはいられなかった。

  (2006年10月)

  *Upepo wa Tanzania(タンザニアの風)では、あるスワヒリ語をキーワードに、池田智穂がタンザニアの日常について紹介していきます。

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